冒険野郎に捧げる歌｜リアクション

冒険野郎に捧げる歌

「さてさって、次はこの池ニャ！」

　次にヒロシが訪れたのは旧市街のどこかにある、めちゃくちゃ広い蒼天クラゲ池。
　青く輝く、透き通った水の中を優雅にクラゲが泳いでおり、淡い光が池の中を照らす。
　しかしクラゲ達がどんなに照らしたところで、池の底は見えない。真っ暗な青が支配を続けていた。

「こんな池があったのか……凄いな……」
「真っ青の中に浮かぶクラゲ達……まるでスカイランタンみたいね」

　ヒロシと共にこの池に訪れたのは佐藤英二と真境名アリサ。
　幻想的で不思議な光景はこの世のものとは思えない絶景。思わず英二はスマホを構えたが、それは無粋な気がして写真に収めるのをやめた。
　代わりにしっかりと目に焼き付けるために、じぃっと池の奥底を見つめて、見つめて、見つめて……。

「アレッ！？」

　ふと、英二が何かを見つけた。クラゲ達が悠々と揺らめく池の底に何かが動いたようで、もう一度じぃっと見つめる。
　同じようにアリサも見つめていると、ゆらり、真っ暗な青が僅かに動く。

「なにかしら、アレ……。ちょっと気になるわね」

　そう呟いたアリサはこんなこともあろうかと、と突然服を脱ぎ始める。
　ヒロシも英二も『えっ！？』と驚く様子を見せたが、流石に全裸になるわけがない。
　アリサはきちんとした水着を既に着込んでおり、脱ぐだけですぐに泳げるようにしておいたのだ。

「ちょっと潜ってくるわね。何かあったら戻ってくるわ」
「き、気をつけて！」
「冒険するのはいいけど、無茶しちゃダメニャよー！」

　２人の心配をよそに、そのままアリサは真っ暗な青の奥底へと潜っていく。

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