冒険野郎に捧げる歌｜リアクション

冒険野郎に捧げる歌

　ひとしきり結晶音楽を楽しんだあとは、辺りをもう少し散策する。
　光り輝く結晶、これを見て、鳴らして楽しむだけではもったいない。

「ニャッ、みんニャ、アレを見るニャ！」

　もう少し奥へと入ってみれば、水に沈んだ大きな結晶が見受けられる。
　海と繋がっているのか少しだけ水は揺れており、水の中で剥がれた結晶が波によって打ち上げられていた。

「わぁ……綺麗……」
「これ、持ち帰ってよかと？」
「オレが許可するニャ！　……あっ、でも多くは持ち帰っちゃダメニャ！」
「はーい！」

　ヒロシの許可を得て、波で打ち上げられた結晶を集めていく４人。
　砂のように細かい結晶から、小石のような大きさ等様々な大きさがあった。

　まゆらは小石の大きさの結晶をいくつか拾い集めて、小袋に詰め込んで。
　七瀬は七つの結晶を集めて小瓶に詰めて、思い出とともに閉じ込めて。
　修とあおいはお互いにお互いの結晶を選び、小袋を渡しあった。

「あ、そうだ」

　ふと、修は何かを閃いたというように、荷物の中からレジャーシートを広げる。
　洞窟の中を歩いて疲れただろうし、ここで一旦休憩を取ろうと提案する。

　奥深くまで歩いたためか、あおいもヒロシもへとへとで。
　七瀬もまゆらもクタクタになってしまっていた。
　だから、綺麗な水晶湖を前に食事にしようと。

「賛成！　あたしもお弁当持ってきたし、皆で食べよっ！」
「ん、確かに休憩無しで歩いたら危なかし、ここで休も。ヒロシのお話とかも聞きたかー」
「オレの冒険譚か？　構わんニャ。それはもう、凄い冒険ばっかりだからニャ！」

　レジャーシートに座り、食事をしながらヒロシの冒険譚に耳を傾けた４人。
　その最中でも、洞窟の中の結晶は光を跳ね返して様々な色を作り、辺りを輝かせていた。

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