星降る夜とホットスナック　～かろやかに、サックリと～｜リアクション

星降る夜とホットスナック　～かろやかに、サックリと～

「おばけバーガー？」
「しゅわっと新食感？　ハンバーガーが？」
　三夜湖畔の＜あったか屋台村＞にて、Mysterymartという聞いたこともない名前のコンビニを見つけた絢と真優理は、不思議なメニューに目を丸くしていた。
「えっと、ミスチキとおばけコーヒー、それにおばけバーガーを一つお願いします」
「私は、おでんと、おばけつくね、おばけコーヒーお願いします」
　店員は２本角の鬼だったが、『温めますか』と『お席をご利用ですか』と『しゅわしゅわ食感のレベルはいかが致しましょう』という質問はコンビニっぽくて笑いそうになってしまった。
「私、１しゅわにしてみたよ、真優理さん」
「私は勇気出して、３しゅわにしてみたわ」
　絢と真優理はテーブル席に陣取り、湯気をあげるホットスナックを見つめた。
　まぁ、見つめていても真相は分からないので、思い切って口に入れてみる。
「炭酸みたいにしゅわっとはじけて、溶けて消えちゃったわ。おいし～」
「私のは、もうちょっとソフトな感じ……見た目も味もハンバーガーだけど、面白いね」
　絢とホットスナックを分け合う真優理は、３０代相応の分別というものがまるで無いように、きゃっきゃとはしゃいでいる。

（黙っていれば大人可愛いんだけど、ちょっと残念というか……でも、こういう所も好きよ、真優理さん）

「絢ちゃん、つくね最後の１個食べて！　はい、あーん」
「は、恥ずかしいよ……」
　絢は、つくねと恥じらいを一緒にのみ込んだ。