星降る夜とホットスナック　～かろやかに、サックリと～｜リアクション

星降る夜とホットスナック　～かろやかに、サックリと～

「珪さん、星が降ってます。すごいですね」
「あぁ、まさかこんな光景が見られるとはね」
　早川珪と手を繋いで、三夜湖畔を歩く綾辻綾花は、ドキドキを抑えられなかった。
　二人の周りを、七色に輝く星が飛び回っている不思議な日に、紛う方なき夜デート。
　もう楽しみしか無い。
「寒いから、屋台村に寄っていこうか」
　焼き鳥におでん、大鍋をかき回す豚汁の店や、痛風鍋なんてものまである。
「珪さん、あそこにホットワインのお店がありますよ」
「そりゃあいいね。体が温まりそうだ」
　ワイン好きの珪はいそいそと歩き、綾花も同じ店でホットココアを購入。
　座るところを見つけて、別の店で買った肉まんとあんまんを半分こにしてほっと一息だ。
「あぁ、温かいシナモンの香りってのはいいね、癒やされるよ」
「ココアも体があったまります～」
　紙コップの中身を少しずつ飲みながら、あんまんにぱくつく。
　あつあつのあんこをしっとりふわふわの皮と一緒に食べると、甘さも温度も丁度いいのだ。
「まぁ、お星さまが」
「はは……生き物みたいだね」
　綾花の手のひらや、珪の膝上に乗ってくる星は、ぴかぴか瞬き飛び回り忙しい。
　身を切る冬の夜、星たちはの煌めきはいっそう冴え渡り、綾花たちの吐息が風に吹かれていった。

◆

　じゅわわわ～と音をたてて、唐揚げが油の中を泳いでいる。
　シオとタルトは生唾を飲み込みながら、じっと完成を待つ。店主の目がキラリと光ったと思うと、ざるで一気に引き上げだ。
「へいお待ち！　熱いから気をつけてね！」
「ありがとうございまーす！」
　２人は大きな紙コップに山と盛られた唐揚げを受けとり、もらったお箸でさっそく一口。
「あふ、あつあつ！」
「肉汁の暴力ー！」
　サクサクの衣に歯を立てると、弾力にあふれる肉とたっぷりの肉汁があふれ出す。あまりの熱さにはふはふと口を動かすと、鼻からは醤油の香りが抜ける、絶品の唐揚げだ。
「あぁ、美味しかった。タルトさん、次はどこに行きますか？」
「うーん……あ、あれにしよう！」
　買い食いを楽しむシオとタルトが、次に標的と定めたのはたこ焼きの店。
「えーっと、ねぎまみれ、チーズまみれ、辛子マヨネーズスペシャル……？　くーっ、迷っちゃうね！」
「あ、このお店たい焼きもありますよ！」
　迷いに迷って、タルトはチーズまみれたこ焼き、シオはたい焼を購入。２人で半分こして食べることにした。
「あー、しっとりした皮と、あんこが熱々でたまらないね！」
「しょっぱいチーズと交互に食べるとまた、いくらでも食べられますね～」
　たこ焼き店を後にして、満たされたお腹をさすりながら、しばしお散歩タイムである。
「ふー、寒空の下でのホットスナックは最高ですよね～」
「うんうん♪　こたつで食べるアイスにも通ずるものがあるね」
「分かりますー！　冬はこってりしたアイス食べたくなりません？」
「なるなる！」
　２人のアイス談義は、しばらく続いたのだった。