【マラソン大会】お花がいっぱい♪ フラワーマラソン！｜リアクション

【マラソン大会】お花がいっぱい♪ フラワーマラソン！

　大会前の日曜日の午後。青山絢はシーサイドタウンにあるマンションの一室でソファーに座ってテレビを観ていた。
　頂を白く染めた雪山は荘厳で美しく、思わず指を使ったフレームで最高の一枚を模索する。
　そこに忍び足で近づく水谷真優理の姿があった。わくわくした気持ちを抑え切れない笑みで背後に立つと絢の両目を、そっと手で隠した。
「だーれだ」
「二人しかいないのに？」
「だーれだ」
「……真優理さん」
「大正解。こっちを見て」
　促されるままに絢は後ろを振り返る。
　真優理は真新しいウェアを身に纏っていた。マラソン仕様らしく、伸縮性の良さそうなロングスパッツに目がいく。
「もちろん、絢ちゃんの分も用意したよ」
「ありがとう。意外と本気みたいで、びっくりした」
「サンマさんの勧誘は強引だったけど、参加を決めたのは私だからね」
　真優理は明るい笑顔で絢の首に腕を回す。頬を引っ付けた状態で、頑張ろうね、と口にした。その腕に軽く触れて、真優理さんも、と小さく返した。
　その後、二人は恋人らしく、始まったばかりの午後を共に過ごした。

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