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竜に乗ってどこまでも! 新春☆初夢フェア2024 ~富士編~
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なんとかなるもんだな。
意外ではあった。
迷ったすえ、花音はバイク用のフルフェイスヘルメットを着用してバイト先に出たのだ。人間用のメットに入るのか不安はあったものの、やってみると狼頭はすっぽり収まった。パイザーもおろせば狼男には見えない。もちろん別の種類の不審者ではあるため、途上うっかり銀行やコンビニに入らないよう気を付けた。
でも気にしすぎだったのかもしれない。出勤してみると不思議なもので、フルフェイスメットの花屋店員はあっさりと世間に受け入れられたのだった。
「いらっしゃいませ」
メット姿で接客する。
「こちらになります。リボンの色はどうしますか?」
メット姿で花束を包んで手渡す。
「配達可能地域は……」
メット姿で電話にも出る。これはいささか難しかった。
やればできる。
半日勤務して花音は手ごたえを感じた。フルフェイスメット姿の花屋店員、ひょっとしたら世界のフラワーショップ史上初の存在ではなかろうか。しかもメットを脱げばその下はウルフ、空前にして絶後であろう。だがそんな姿でも仕事はできるのだ。
花音が自信をつけはじめたそのとき、
「お花屋さん?」
不安そうな声がした。
「お花屋さん、いますか?」
彼女だ。
彼女が店先に立っていた。ベージュのステンカラーコートに赤いストール、今日も目が覚めるほど魅力的である。
思いがけぬ彼女の登場に、花音は瞬間冷凍状態となった。だが彼のフリーズドライの原因を、彼女は自身の発言にあると考えたようだ。
「あ、そうか。ここお花屋さんでしたよね。お花屋さんで『お花屋さんいます?』ってわけわからないですよね」
私ったら、と言うかわりに左右の頬に手をあてて彼女は言ったのである。
「私が探しているのはここで働いている店員さんです。えっと、京極さん、いますか?」
そうかメットのせいか。
「京極は俺っス」
申し訳なさそうに花音は告げた。しかし彼女は不思議そうな顔をするばかりだ。
「……でも、なんだか見た目がちがいません?」
「これには事情があるっス」
「声もなんだかちがいますし」
「ヘルメットのせいだと思うっス」
ところが彼女は納得しないのだ。
「まさかあなたはお花屋さん、じゃなくて京極さんの偽物……ですか?」
静はふたたび両頬に手を当てているが、今度はぼっと赤面しているのではなく、冬枯れ近いアメリカンブルーの花みたいに青ざめているのだった。
「ほ、本物っスよ」
「京極さんをどこへ連れて行ったんですか」
「ここにいるっス」
「じゃあお顔を見せてください!」
彼女らしからぬ権幕だ。
そんなに俺に会いたがってくれてる……。
嬉しく思う反面、
いまの俺の素顔を見せたら、彼女気絶してしまうかもしれねえ!
悲観的な気持ちにもなる。
昨夜あれだけ会いたかったのに。
望み通り会えたのに。
それが、こんなかたちになるなんて。
花音は店内を見渡した。周囲の通りも。幸い誰の姿もない。
「あの、何を見ても驚かないって、約束してくれるっスか」
「えっ?」
「いきなり変なこと言って申し訳ないっス。でも約束してほしいっス、静さん」
彼女は理由をたずねなかった。
「……わかりました」
うなずいたのである。真剣な表情だ。
信頼にこたえなくては。
彼女の。
静さんの信頼に。
あっ!
遅ればせながら花音は、ごく自然に彼女を名前で呼んだ自分に気づいた。
俺、やっちまった。
苗字を飛ばしていきなり名前呼び。フィギュアスケート四回転半アクセルジャンプ並の大技をいきなり決めちまった。
――いや、やればできる、ってことなのかこの場合。
ずっとそう呼びたかったのだから。
とにかくどっちにしろ、覚悟決めるときみてぇだ。
花音は首の下から、ヘルメットに両手をかけたのである。
力を入れずとも簡単にヘルメットは脱げた。これで元に戻っていたら奇跡だが、残念ながら花音は手に、ふさふさの毛の感触を味わっている。
声にならぬ悲鳴をあげて、静が失神するところを花音は想像した。
マジごめんなさいマジごめんなさい、俺、狼男でごめんなさい!
想像に負けて目をぎゅっと閉じた花音だったが、実際は予想と百八十度ことなる結果となった。
「お花屋さ、いえ、京極さんだったんですね~!」
ポインセチアが開花したような笑みを静は見せたのだ。
よかった。マジで。
花音は安堵のあまり溶けたアイスクリームよろしく溶け流れてしまいそうな気持ちになる。
「俺、普通の顔してるっスか? なんていうか猛獣っぽいっていうか……」
「はい。狼さんの顔になってます」
「さっきのヘルメット顔よりヤバくないっスか」
「ヤバいなんてとんでもない。かわいいです!」
静の表情は、嘘をついている人間のそれではない。
それに、と静は春の日向(ひなた)のように告げるのである。
「目がおんなじですから。いつもの京極さんと」
「目が?」マーマレードみたいに苦みの混じった笑いを花音は浮かべた。「俺、よく『目つきが悪い』って言われたもんっスけど、おかげで、し、静さんに気づいてもらえたんだから災い転じてナントヤラってやつっスね」
意識してしまうとなかなか、ストレートに『静さん』と呼びきれない。当の彼女が何十センチという至近距離のしかも正面にいるのだからなおさらだ。
「そんなことないです」
静はさらに半歩、花音との空間を詰めて言った。
「私、前から京極さんの目、優しそうで好きだなって思ってました」
優しそうで
コーン!
花音は自分がダルマ落としのダルマの位置に立っていて、この瞬間足元の積み木が、巨大なハンマーで爽快に打ち抜かれたような気がした。
好き
だな
一瞬重力の存在を忘れるような快感だ。
生きていて、よかった。
この目に生まれついてよかった。
「ヘルメットをかぶってたとき、京極さんの目、わからなかったけど、脱いでくれたらすぐにわかりました。狼さんになってたって、京極さんならすぐ見わけられます」
さらに静の言葉はつづき、さらに花音の足元の積み木は、快打とともに飛んでいく。
嬉しいですとか感激ですとか素直に言いたいのだけど、感情の高潮があまりに高すぎて、しばし花音は口がきけないのだった。
「あー、でも、今日の京極さんが狼さんだって知ってたら、それなりの格好をしてきたのに」
「それなりの? どういう格好っスか?」
「それは」言いかけた静だが、ふと思いついたのかストールを首からといて広げた。「ちょうど持ってた。ほら」
真っ赤なストールを頭にかぶる。
「赤ずきんさん! 狼さんとくればこれですよね」
なんということのない茶目っ気なのに、花音はもう彼女の仕草がかわいすぎて、地面に倒れジタバタしたいくらいだった。
でも、と気がついて言う。
「俺が狼だったら、赤ずきんちゃん、食べられてしまわないっスか?」
「え、『赤ずきん』ってそんな話でしたっけ?」
あれー? と静は片眉をあげた。
「狼さんが『お嬢さん、お逃げなさい』とか歌い出して、私がスタコラサッサのサと逃げて」
「白い貝がらの小さなイヤリングを持って俺が追いかけて行くんスね」
「そうです。それで最後なんか仲良く歌ったりして」
「あのそれ、『森のくまさん』では?」
「あら私ったら!」
ここで花音は目が覚めた。
「……」
朝か、時計を眺めてつぶやく。
さあ今日も花屋のアルバイトだ。
想う。
今日は彼女に会えるだろうか――。
もし会えたら、今日は彼女のことを名前で呼べる気がする。
本当にできるかどうかは、ともかくとして。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年01月01日
参加申し込みの期限
2024年01月08日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年01月08日 11時00分
参加キャラクター一覧
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