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竜に乗ってどこまでも! 新春☆初夢フェア2024 ~富士編~
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常春の庭って、島にある場所だったんだ。
ヨットは滞ることなく海をゆき、やがて小島にたどり着いた。
上陸してすぐ、七瀬は常春の名が伊達ではないことを知った。まるで冬を忘れたように暖かいのだ。風は北ではなく東南から吹いており、春のように丸みをおびている。ウォルターによれば、海流の関係でこの付近は奇跡のように暖かいのだという。少なくともマリーナとは別天地だ。
「上着は置いていっても平気だよ」
ウォルターがブルゾンを船内に残したので七瀬もならった。
緑豊かな島だった。トートバッグを肩にかけウォルターはどんどん歩いて行く。
「さ、常春の庭はあの丘の上だ」
ウォルターは飛ぶような足取りだ。七瀬は小走りで追いかける。
「待ってください。ウォルターさん、足速い」
「倉前は若者だろう? おじさんの僕に追いつけなくてどうする?」
「ウォルターさんは」なんとか彼にならぶと七瀬は不満げに言った。「おじさんなんかじゃなかですよ」
「いーや、おじさんだねぇ。もうじき老眼になるだろうし、お腹も出るし髪も薄くなっちゃうかも」
「やめてくださいよ。こんなにスマートで若々しいのに。僕と同じマタ大生やって言ったって通じますよ、ウォルターさんなら」
「そうかい? お世辞でも嬉しいよ」
「本心ですっ」なぜだかむきになって七瀬は断じた。「僕はそんなお世辞を言わんです!」
あまりに七瀬が熱心なので、ウォルターは愉快になってしまったらしい。それそこお腹をかかえるほどに笑った。
「参ったなぁ、もう……ありがとう」
「そんな笑わなくたってええじゃないですか」
「ごめんごめん、悪気はないんだ。でも僕は、倉前のそんなところをかわいいって思うんだ」
「か」と言ったところで七瀬はしばらく言葉に詰まった。「かわいい、ですか」
「褒め言葉だよもちろん。小馬鹿にしているように聞こえるなら『健気』と言いかえてもいいよ」もうウォルターは笑ってはいなかった。「僕だったらつい、茶化して逃げそうなやりとりになっても、倉前は逃げずにちゃんと応じるじゃないか。wholeheartedly……っていうか、いい日本語訳が思いつかないなぁ、そうか『一途(いちず)』? 一途って感じだね。それは倉前が、僕なんかよりずっと言葉を大切にしているからだと思うな」
「そんな」真正面から褒められると、さすがに照れる。七瀬はうつむき加減に言った。「相手がウォルターさんだからですよ」
「僕も、相手が君じゃなかったらこんなこと言わないよ」
けれどウォルターは、七瀬から視線をそらさなかった。
ほんのすこしだけ沈黙の時間をすごして、
「そろそろ着くよ」
「はい」
ウォルターと七瀬は歩みを再開したのだ。
手をつないでいるわけではない。けれど心と心は、結ばれていると七瀬は感じている。
小さな島の観光地、常春の庭を一言であらわすならこうなるだろう。
丘に登るころにはもう汗ばんでいた。常春という言葉は誇張ではない。
緑の芝がひろがる英国風の庭園だ。足元は煉瓦道、建物も石造り、多年草の花壇にはビオラの紫、シクラメンの緋色、ネメシアの黄色桃色が花をつけ、ヒューケラドルチェと呼ばれる赤みを帯びた緑の葉がこれを飾る。豊かなバラ園も見事だった。松の木も植えられていたが、他と見事に調和していて違和感はない。人工物をふくめすべてがパステルカラーで、水彩画のなかに迷いこんだように錯覚してしまう。
「いいところですね」
「だろう?」
「ウォルターさんの故郷は、もしかしてこんな感じでしたか?」
「そうだなぁ。似ているところもあればそうでないところもあるねぇ」
だからいいのさとウォルターは言った。
まだランチの時間には間がある。
観光客はいるもののほんのわずかだ。スタンドで紙カップのコーヒーを買い、飲みながらしばし庭園を散策した。
「休憩しないか。ちょうどあそこに東屋(あずまや)がある」
池のほとりをウォルターは指さした。
「ええ」
東屋、と心の中で七瀬はくり返す。
ウォルターさんと東屋……ああ、
先日
九夜山で見た光景ですね。
ならんで座った。ウォルターはポケットから文庫本を取り出して開く。
「その本は?」
「中島敦の短編集。『山月記』が載ってるやつだよ。急に読み返したくなってねぇ」
「いいですね。僕も最近読んだばかりです」
最近……?
そういえば。
七瀬はまばたきした。
もしかして、これって僕が、自分に都合のいい夢を見ているだけなんでしょうか。
だって今日の記憶には、ウォルターさんとの最近の思い出が断片断片ながらちりばめられているから。
青いスポーツカー。
おしるこ。
ハーフバースデーって言葉。
そういえば松は、花札でいうところの一月ですよね。
さらに東屋。
そして『山月記』。
やっぱり夢かと思うと、夢の中なのになぜか急に眠くなってきて、七瀬はうつらうつらしはじめた。
ああ、いけないいけない。せっかくいい夢なんだから楽しまなくっちゃ。
と思ったときにはもう、七瀬は頭をウォルターの肩にもたせかけている。
ウォルターさん。
口に出さずに呼びかけた。
しばらくこのままいさせてもらっていいですか。
いいよ、とウォルターが言ったような気がした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年01月01日
参加申し込みの期限
2024年01月08日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年01月08日 11時00分
参加キャラクター一覧
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