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竜に乗ってどこまでも! 新春☆初夢フェア2024 ~竜編~
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【ゆめまぼろし】
恋人ができた。といって
三条 神無
は飛び上がって喜ぶようなたちでもない。彼と会うときもいつもの無表情で不愛想なのだが、それでも恋人は神無との逢瀬を喜び楽しんでくれた。
「やあ、三条さん! 会えてうれしいよ」
「……ええ。私も」
「今日はどこへ行こうか? 三条さんとならどこでもパラダイスだよ、ハッピーだよ!」
「まかせるわ。どこへでも」
「そうかい? じゃあシーサイドアウトレットでショッピングとしゃれこもうか。近くにおいしいラーメン屋があるから、お昼はそこにしよう。その後、大観覧車にも乗ろう!」
彼は二十代、神無よりいくぶん年上で、けれどどこか少年の初々しさを持っていた。実に好青年だ。恋しい人をエスコートしようと張り切るがためか、いささか空回りするところもなきにしもあらずだが、その頑張りは神無にも好ましく思えた。
「どう? ここのラーメン、こってり系のがっつり系でたまらないんだよね。って、女の子には少しボリューミーすぎたかな……? だ、大丈夫?」
「大丈夫。おいしいわ。それに麺を少なめにしてもらったから」
「あ、ああそう。それはよかった。いつのまに。気づかなかったな、はは……つ、次は観覧車へ行こうか、すごく景色がいいんだよ! 乗ったことあるかい? あれ……今日はメンテナンスのため休業……?」
「……残念ね。観覧車はまたの機会にして、別のところへ行きましょう」
「う、うん。そうだね、そうしよう。ごめんよ……ははは」
彼はたびたび、控え目な自信のなさを覗かせた。いささか気の回らないところも。神無はそれを彼の誠実と謙虚のあらわれと受け取ったし、人の良さに惹かれもしたが、彼自身は至らなさを恥じているようだった。気にすることないのに、と神無は幾度も伝えたものの彼の自己肯定の低さは変わらず、しかしその誠実から挽回しようと張りきり空回る、見事な悪循環なのだった。
「大丈夫、気にしないで。こんなのは失敗でもなんでもないわ。私も気にしてない」
「うん……ありがとう。三条さんは優しいね、でも僕っていつもこうなんだ。ずうっと前にもこんなふうにひとりで空回って、怒らせてしまって……」
言いかけ、彼は唐突に表情を無くした。なにか思い出しているふうだったが、すぐにまた軽い笑みで隠した困り顔に戻り、
「はは。この後、どうしよっか……?」
そう言って所在なく頭をかいた。
「……水着が着たいの。海へ行きたい」
珍しく神無からそう希望を伝えると、彼はなにか神妙な顔を浮かべた後、そうだね。行こうか、と笑った。
常夏の海。青い海。浜辺は白く輝いて、太陽はそこへ寝そべる恋人たちの肌を小麦色に焼き上げるのに忙しい。
「どう……かしら」
「さ、三条さん」
思い切って新調した水着だった。自己肯定が低いといえば神無もそうで、かなうならもう少し肉感あるボディになりたかったなどと内向的な一面を無表情の一端へちらりにじませたが、彼は興奮しがちに、
「す、すごく綺麗だ。三条さん……君は素敵だよ。自信を持って」
「……ありがとう」
ほんのりと神無は頬を染め、照れくさそうにはにかんだ。
しおからい水へざんぶと飛びこみ泳いだりはしなかった。砂の上へゆったりと腰かけ、並んで水平線をじっと眺めた。時おり二言三言をかわし、笑い合った。まわりではしゃぎまわるまぶしい恋人たちのように振る舞えればと思わなくもないが、神無にはそれが精いっぱいで、彼もまた穏やかな笑顔を見ればまんざらでもなさそうだ。そこに救われる思いだった。
「海って楽しいね。三条さん」
「ええ。とても」
寄り添い合ってしばし、過ごした。
ややあって彼は立ち上がり、言った。申し訳なさそうに、そしてどこか清々しく、寂寥もにじませる笑顔で。
「ありがとう。三条さん……やっと思い出せたよ」
「…………」
彼を本当に癒したのは長く過ぎた時の流れであったかもしれないが、どちらにせよ、きっかけは必要だったのだろう。神無はその背を押したのだ。
「僕はここから……歩き出した。わき目もふらず、海へと向かって。覚えていないけれど、きっと泣いていたと思う」
夏のぎらつく太陽は失せ、海水浴に興じる客たちも煙のように消え、海の家や出店も虚空へ溶けた。月が昇り、星が瞬いた。
「あの子を怒らせたと思った。もうダメだって。僕はいつだって早とちりなんだ。なんてことないミスを、とり返しようもない大失敗だと思い込んで……はは、君にも迷惑をかけたよね」
「迷惑なんかじゃない。あなたの恋人だってきっと分かってた。それはあなたの優しさだって……でも、彼女だって人間だもの。もちろん虫の居所が悪いときだってあるでしょう。そうでないときもね。運が悪かったのよ」
「そんなことにも気づけないだなんて、ああ。僕って本当にダメだなあ」
自嘲のように口にするが、しかしもう彼の表情はおどけた苦笑いで、この世の終わりのような絶望の色は失せていた。
彼は月を眺めて、神無を見つめ、最後にもう一度、ありがとう。そう告げて、ほのかな光にほどけて風に乗り、消えていった。
神無もしばし月を眺めながら、何度かせきをした。いつもは無口な神無が、いつもよりずいぶんとしゃべったものだから、ひどく喉がかわいていた。空気の乾燥もあるだろうか。
「……くしゅんっ」
なにしろ1月だ。真冬のビーチはひどく冷え込んで、神無は鳥肌の浮き出た素肌を両手に抱く。
いつのまにやら、犬の散歩をしていたらしい通りすがりのおじいさんが目を丸くして、水着姿の神無を見つめていた。神無は口元を引きつらせながら、逃げるように浜辺を駆けだした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年01月04日
参加申し込みの期限
2024年01月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年01月11日 11時00分
参加キャラクター一覧
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