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竜に乗ってどこまでも! 新春☆初夢フェア2024 ~茄子編~
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きちんと手入れされた庭とは裏腹に、佇む大きな洋館には人の住む気配がまるでない。
噂を頼りに馬車を乗り継いできた
小山内 海
は、どうしたものかと門の前で立ち尽くしていた。
(ここで間違いないはずだけど)
来客を拒んでいるかのように錆び付いたドアベル、所々レンガの欠けた門柱。全てが荒れ放題であれば諦めもつくのだが、やっぱり門扉から覗く庭だけは様相が違う。
石畳には躓きそうな綻びもないし、目地だって雑草が生えていない。丁寧に剪定された草垣の向こうには、見頃を迎えた花が咲いているのか、風は甘く軽やかだ。
けれど、どれだけ目を凝らし耳を澄ませてみても、人どころか猫1匹と歩いている姿は見つけられそうにはなくて、海は困ったように空を見上げた。
(……帰りの馬車は、明日まで来ないよね)
まだ陽が落ちるまで幾分かあるけれど、ここは街道から逸れた辺鄙な場所だ。今から街道まで向かったところで、最終の乗り合い馬車に間に合うかはわからない。
そんな都市と都市を繋ぐ街道ですら、夕刻を過ぎれば通るのは獣か野盗の類いに限られる。他に人の住んでいそうな建物が見つかりそうにないこの場所で、当てもなく動き回るのが危険なのは子供でもわかることだ。
であればどうするか。目の前には一晩を過ごすには十分な屋敷はあるが――。
もう長いこと手入れがされていないことが伺える館の屋根には、大勢の鴉が集まって鳴いている。もし曇天でも広がっていたならば、立派なホラー小説の幕開けとなったに違いない。
たった1つ幸運なことがあったとすれば、遠くまで晴れ渡った空は雷鳴を轟かすこともなく、野宿をするより安全に夜を過ごせそうなことだろうか。
(そうと決まれば、明るいうちに準備をしなくっちゃ)
海は小さく息を吐くと、覚悟を決めたように門扉を開こうと手をかけた。
人の出入りもなければ手入れされることもないのか、ドアベルと同じく錆び付いたそれは、大きさも相まって海にはとても重く感じる。
それでも、すごすごと帰るわけにはいかない。海は足元の大きなトランクを一瞥して、ひと息に扉を開け放った。
不用心なことに、玄関扉は施錠されていなかった。
ならば誰かいるのかもしれないと思ったが、やはりノックくらいでは応答もなく、呼び鈴の代わりになりそうな物も玄関口には無い。
こんなとき、大声を出せればと思いはするのだが、今さら無い物ねだりをしたって仕方がない。
(ええと、どこなら目に付くかな……)
彫像の影にもならず、玄関ホールに踏み入れた者が必ず見るところ。
海は中央の大きな階段に向かってぺこりと一礼すると、「おじゃまします」と一筆書いたメモを階段中程に置いた。
ひとまず、これで家主や管理人が戻ってきたときに問題にはならないだろう。
どこか使える部屋はないかと客間を探す海は、そういえばと瞬いた。
(思ってたより、綺麗?)
屋敷の中は、庭に比べれば手入れが行き届いているとは言い難いものの、一晩過ごすのも難儀するほどの荒れ放題でもなかった。
ほんの少し風を通して手入れをすれば、日が沈みきるまでには寝床も十分整うだろう。潤沢な薪が必要になるほどの寒さでもなく、多少の食料は手元にある。
(お水はきっと大丈夫だよね、あんなに綺麗なお庭なんだもの)
少なくとも、部屋を掃除したり顔を洗う程度には困らないはず。一晩過ごして目的の人物と会えなければ、今回は諦めて出直すほかない。
適当な部屋に入り、窓を開ける。少し籠もっていた空気の中に、ふわりと花の香りが混じった。
(誰が手入れしているのかな)
海が聞いた話では、この屋敷には少し偏屈な腕の良い職人が住んでいるということだった。けれど、この有様では少し所ではなく結構な変わり者なのかもしれないし、住んでいるのではなく通いで庭だけ管理しているのかもしれない。
パンを捏ねるであっても、宝石を磨き上げるであっても、なんらかの職人というのは気難しい人が多い気もする。だから、話を聞いてくれない可能性もあると海は覚悟してきた。
(……でも、会えないとは思わなかったな)
ベッドのシーツをテラスで軽くはたき、これからどうしようかと空を眺めた。
元々、ここにいる職人だって何の職人かは誰も知らないのだ。思い出のオルゴールを直してくれたとか、医者に見放された腕を治してくれたとか。噂話は尾ひれが付き物と言うけれど、様変わりしすぎて何の職人であるのかまったくわからない。
それでも、最後にはみんな口を揃えて言うのだ。「なんにせよ腕が確かなのは間違いないよ」と。
ベッドを整え、海はトランクから赤子ほどの大きさの人形を取り出した。馬車を乗り継いだが、着替えなどをクッションに包んだからか、どこも欠けてはいなくてホッとする。
(見た目は壊れてないのにね)
これは、海が生まれた頃に買い与えられた人形だ。
似せて作ることで災いを肩代わりすると言われており、壊れてしまったときは感謝して教会に供養を申し出るなんてことが地域に根付いている。
だから本当は、役目を終えた人形を修繕する必要は無い。けれど長年連れ添った人形を手放してしまうことが嫌で、海はここの職人でダメなら諦めると家族に願い出てやって来た。
(だって壊れたのは……身体じゃなくて)
ぎゅうっと人形を抱きしめて、海はもの悲しそうに家族の罵声を思い出した。
最初は海が声を失ってしまう事故に遭ったとき。人形が守ってくれなかったと非難を浴びせられるのを聞いていた。
そして次に、この人形のオルゴール部分が壊れてしまったとき。この人形には、子守歌代わりにオルゴールが仕掛けられている。けれど、あるときを境に全く鳴らなくなって、海の住む街ではどんな技術者に見せてもお手上げだと言われてしまった。
まるでそれは、再び海が声を失ったかのよう。そして、2度と海の声は戻らないと告げているようで、人形は家族から疫病神と罵られた。
(そんなことない)
姉妹のように傍に居て、友のように苦楽を共にした。そんな人形を罵られ、海は悲しみこそ覚えたが家族を恨みはしなかった。やり場のない想いがそうさせたのだとわかっているし、有無を言わさず取り上げもしなかったから……こうして送り出してくれたからこそ、人形を大切にしている海の気持ちもわかってくれているはずと信じて。
(せめて誰かがいたら、職人さんのことが聞けたのに)
ふぅ、と溜息を吐いてベッドに人形を座らせると、海は掃除用具を探しに立ち上がる。さすがによく知らない屋敷に人形を置いておくのは不安だが、両手が塞がるとわかっていて連れて行くこともできない。
(大人しく待っててね!)
小さな子供に言いつけるように微笑んで、海はそっと部屋を後にした。
バケツに半分ほどの水を汲み、雑巾や箒を持って部屋に戻ると――海は、一瞬違う扉を開けてしまったのかと思って慌てて扉を閉めた。
右を見て扉の数を数え、左を見て階段の位置を確認し。それから廊下に飾られた調度品の場所も確認して、間違えていないことを確認する。
(合ってるよね?)
けれども扉を開けると、掃除の必要も無いくらいにピカピカとした部屋が待ち受けていた。
オルゴールのような少し冷たい音色が響き、早朝の森のような澄んだ香り。これでは、屋敷を見た時に思ったホラー小説ではなくて、童話が始まりそうな予感さえする。
ひとまず掃除用具を入口の傍に置いて、ゆっくり扉を閉める。確かに部屋の中身は大きく変わっていないようだけど……。
(私の人形!)
そうだ、ここがあの部屋だと言うのなら、荷物がないとおかしい。トランクよりも何よりも先に、ベッドに座らせていた人形を探すべく目を凝らすと、ベッドの上に座っても居なければ下に転がってもいない。
人形は、ベッドの上ですやすやと眠っていた。
体勢を変えれば瞼が動き、その目を閉じることはある。けれど、胸を上下させて呼吸をするなどありえない。
まさしく『眠って』いる姿に、海は驚いた。そうっと顔を覗き込むけれど、陶器のように冷たく滑らかな肌も首関節も人形らしさはそのままで、人に化けたというわけでもないらしい。
海の気配に気付いたのか、人形はパチリと目を覚ました。じぃっと自分と同じ青い瞳を持つ少女を見つめ、枕を腰掛けにするようにして起き上がった。
『うごけるの!?』
すると、人形は「うごける」の部分に丸を描くように指先を動かした。オルゴールの鳴らなくなった彼女は、声を出すことが出来ないのかもしれない。海は手早く50音表を書いて、人形と対話を試みた。
やっぱりこの人形は海が大事にしていた物に違いなく、お喋りは楽しい。なのに、修理のために調子の悪いところを教えてと言えば、人形はそっぽを向いてしまうのだ。
(どこが悪いのかわからないと、直しようがないのに……)
直りたくないのだろうか。家族からの罵声を当然のことのように受け止めて、教会で供養されるべきだなんて思っていたら。
そう思わせてしまったのが悲しいし、そんな考えを叱り飛ばして抱きしめたい。でもなにより、こうして対話出来るようになったのだから、何を望んでいるのかを知りたい。
『しょくにんに会ったら、何をねがう?』
――うみのこえをとりもどす。
その言葉に、海は瞬いて思わず自分の喉に触れた。
多種多様の噂話の中には、確かに医療に関する噂もあった。それならば確かに、治るのかもしれない。
(そんなこと、考えもしなかった)
代償に何を求められたとか、怖い話を聞かなかったわけじゃないけど、差し出せる物があったとて、あれもこれもと願いを叶えてはくれないだろう。
きっと叶えてくれるのは、心から望む1つだけ。
海はそっと人形を抱きしめる。
もし海が声を出せるようになったなら、この身代わりになると言われる人形は2度と歌うことはないし、家族から罵声も浴びないのだろう。
では、人形が直ったら? 喜ぶのは海1人ではないのか。
ぐるぐると考え込みそうになるけれど、何度考え直してみたって海の答えは決まっていた。
『ごめんね』
それがどちらの意味での謝罪だったのか、ずっと傍で見守ってきた人形は知っている。そしてきっと、海がその意思を曲げないということも。
だから人形は、静かに瞼を下ろした。キラキラした空間は消え失せて、元の部屋に戻っていく。
たった1つだけ違っていることがあるとすれば――誰かの声が、出るようになっていたということだ。
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担当ゲームマスター
浅野 悠希
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年01月03日
参加申し込みの期限
2024年01月10日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年01月10日 11時00分
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