いざ勝負！！！！｜リアクション

いざ勝負！！！！

　白真白は深呼吸をした。
　対面した対戦相手は百戦錬磨の小学生。直近の大会で優勝したらしい。
「よろしくお願いします」
「うん、よろしくね」
　丁寧な態度ではあるが、こちらを舐めている雰囲気がする。優勝などしてしまえば、真白も調子に乗らない自信がない。
（一回味わってみたいなー）
　まずは先攻後攻を決めることにした。やり方は審判役の前でのコイントスだ。
「……では、君からだね」
　小学生が頷いて、
「先攻で、僕が行きます。ドロー」
　カードを引いて、手札に加え、
「モンスターを出します。魔法カードも伏せて場へ」
　彼の初手としてはかなりスタンダードだった。モンスターと魔法カードを仕掛けで素早くターンを終わらす。
「うん。私のターン！　ドロー」
　引いたカードに目を通す。
（能力的にこの特殊な効果を発動させるのが良いかな。よし）
　真白は特殊能力を持ったモンスターを場へと出す。少し防御力が低めだが、能力があるのだ。
「こっちも魔法カードを伏せて、ターン終了」
　小学生はにやりと笑った。
「カード、ドロー！　モンスターを１体召喚し、敵のモンスターを攻撃」
　ドローカードを確認しないうちに、召喚と攻撃命令が下った。彼の場にはモンスターが2体。
「！」
　すかさず、と言わんばかりである。
（でもまぁ、墓場に行くのは都合がいいからね）
　防御力が低かった真白のモンスターは一発で撃破されてしまい、カードは墓場へと埋葬された。
「モンスターの特殊効果発動！」
　真白は墓場を指した。
「このカードが墓地へ行った時、倍の攻撃力で復活する。代償として防御力が三段階ダウン！」
　小学生は笑みを崩さず、
「伏せカードをオープンします」
（あの魔法カードは？）
　1ターン目は手持ちの魔法カードをとりあえず伏せておくというのはありがちだが、使えるカードだったのだろうか。
「カウンター魔法、敵の防御と攻撃の数値の入れ替えを行います」
「なっ」
　タイムリーなカードである。
　周囲に集まった客達がしんとなった。

「引き強いな」
「このタイミングであのカードかよ」
「これは結構きついだろ」
「防御が三段階ダウンだからな」

　うつむいた真白はすっと笑みを浮かべた。
「こちらは通常魔法カード発動！」
「え」
　小学生が目を瞬かせる。
「敵モンスターを1ターンだけ洗脳する」
「！？」
　真白は敵モンスターを指名。
「こちらの味方になったモンスターで君のもう一体のモンスターを攻撃」
「あ」
　もう１体のモンスターはかなり弱かったので、そこで勝負がついてしまった。
「う……そんなぁ」

　すると客達がざわざわ。
「読みがちか」
「てか、２ターン目で戦略詰めすぎなんじゃ」

　すると、小学生が肩を落としながら、
「負けました。ちょっと僕が甘かったです」
「あはは。カードの引きにも寄ったけど、我ながら攻防すごかったね。お疲れ様」
　握手をして終了。なぜだか、周囲からの拍手に答えつつ、次に備えるのだった。