いざ勝負！！！！｜リアクション

いざ勝負！！！！

　その日、朝からガールズバンド「衝動少女」の練習だった。いい感じに熱が入ってしまい、もう少しもう少しと休憩をのばしているうちにいつの間にか時刻は14時過ぎだった。
「ああ、さすがにお腹すいた」
　楡宮遠海が肩を落としたのを見て、星野アカリがくすくすと笑う。
「我慢した分だけ、今日は爆食になるんじゃない？」
綾瀬ルイとメイも苦笑する。
「あ、それならビュッフェなんか良いんじゃない？　食べ放題のほうが気にしなくて済むし」
ルイの提案に、全員が賛成したのだが、
「あ、ただのビュッフェじゃないのもあるけど」
　メイがスマホの画面を見せてくる。
　遠海は画面の文字を読んでいく。
「星が丘、ステッラ・デッラ・コリーナのビュッフェ大食い大会」

　数十分後。
　衝動少女のメンバーはステッラ・デッラ・コリーナの店内にいた。
「じゃあ、参加申し込みしてくるわ」
　三人は普通に食事をするとのことで、遠海だけが受付を済ませた。
　そして。
大食い大会専用の大皿を手に料理を目の前にした遠海は目を見開いた。
「まずはサラダ」
　一番近くのサラダバーコーナーから、千切りレタスと千切りキャベツを盛り付け、ドレッシングを少なめにかける。さらにポテトサラダとマカロニサラダを葉類の隣へ。
「次、肉、魚」
　ステーキ、チキンカツ、鮭のムニエル、タラの西京焼きを盛り、その横にフライドポテト、スパゲティ、グラタンを乗せていく。
　四人は席に着いた。遠海は大食い大会参加を示す腕章をつけているが、席はアカリ達と共にする。
　大皿を前にした遠海は両手を合わせた。
「いただきます！」
「ていうか、盛付けが綺麗すぎる」
　３人が驚愕するなか、遠海は食事を始める。箸で目一杯キャベツとレタスのサラダを掴み大口で口の中へ。すかさず口の周りを拭いて、ゆっくりと咀嚼。
「うん、美味しい」
　しっかり飲み込んでからそう行って、ムニエル鮭の魚の骨と皮を取り除き、一口。ステーキを切り分け、２口食べ、チキンカツにソースを控えめにかけ……と手際よく料理を捌いていく。肉はもちろん、魚の食べ方は満点だ。しっかり身だけをはがして全てお腹の中へ。グラタンの伸びたチーズは綺麗にスプーンに巻き付け、残さず平らげた。
「さ、２回戦、行ってくるね」
「いや、遠海？　まだ二十分も経ってないんだけど」
　アカリが恐る恐るといった様子で聞いてくる。
「ゆっくり食べて大丈夫だから」
　一切ペースを落とさず、大皿に盛り付けた料理を３杯分食べきり、さらにデザート４個とドリンク３杯。
　大会の審判の審査が入り……。
「ごちそうさまでした！！！」
　超早食いというわけではないので、優勝とは行かなかったが、準優勝である。

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