いざ勝負！！！！｜リアクション

いざ勝負！！！！

　目を開けると、不思議な空間にいた。まるで温水プールの施設のような。床にはヨガに使うようなマットが敷かれている。冬だというのにほわほわした空気が漂っている。
　隣には水着姿のウォルター・B。稲積柚春もタンクトップビキニのショートパンツ系水着を来ていた。
「えーと、なんでここにいるんだっけねぇ？」
「たしか、ワットと勝負をするって話で」
「そういえば唐突にそういう話になったんだったねぇ」
「今日は僕がワットの疲れを取るためにマッサージするから、気持ちよかったら僕の勝ち。痛かったらワットの勝ちでなんでも言うこと聞くよ」
「ははは。そういうことなら受けようかな。どんなマッサージなのかなぁ？」
「いい香りがするオイルを塗りながら全身をほぐしていく感じ」
　アロマテラピー検定に合格したばかりだ。マッサージに良いリラックス効果のあるオイルをチョイスしている。
　柚春はウォルターに、マットの上に腹ばいになるよう伝えた。
「じゃあ、行くね」
　温めたオイルを背中に垂らしていく。
「わっ」
「びっくりした？」
　驚くほど体が跳ねたのだ。温かいオイルとは言え、ヌルヌルした液体が体を滑ったら驚くだろう。
「触るね」
　背中から腰にかけてオイルを塗っていく。
「あー……いいね、これ」
「ここ、凄い硬い……。こうすると、どう？」
「ん！　うん、つぼだねぇ」
「肩から二の腕もガチガチ」
　柚春はウォルターの両腕をぎゅっと握って、もみほぐして行く。
「あ、ワットの、太いから……手が、回らない」
「稲積、もう少し強くても良いよ。上手いね」
　二の腕のマッサージは凝りが剥がれるまで念入りに続いた。
　背中、腰、首などもまんべんなくオイルで揉みほぐし。終わる頃には、ウォルターの全身は脱力気味になっていた。
「どうだった？」
「悔しいけど、かなりうまかったよ。香りも良いし、眠くなるしねぇ」
　柚春は嬉しそうに手を合わせて、
「だったら僕の勝ち？　ご褒美……くれたり、する？」
　その瞬間、ウォルターに手首を掴まれ、唇寸前まで顔を近づけられる。
「へ……あ……？」
「男をからかうのは、良くないよ？」
「！！！」
　イケボで囁かれ、一瞬で顔が真っ赤になった。ウォルターはすぐに手首を話す。
「なんてねぇ？　特に唇は大事にしようね、稲積？」
「う……」
　完全にからかわれたのだった。

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