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寝子島高校
雪帽子、目深にかぶって
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負けられない戦いがそこにはある。大げさではあろう。ルーザーに多大なリスクがあるわけでもなし、しかし確かにこの戦いには負けられないのである。なぜなら負けてしまったら、何だか大変なことになってしまいそうだから。
「ちょっ……と、近くないかい? 志桜里君」
「ふふふ。少しは抵抗してくれないと、張り合いがないわよ? 秘ぃ」
卵城 秘月
と
吉住 志桜里
の攻防戦はサウナにて始まった。いわゆる一つの我慢比べだ。低温多湿なフィンランドサウナにおいては日本式ドライサウナに比べ長期戦の様相を呈すると思われる。なお勝者にはささやかな栄誉と和菓子店のおしるこセットが贈られる。敗者側? 言わずもがなだ。
まあ一つ述べておくなら、敗北にはちょっと表に出せない淫蕩淫靡なる屈辱が伴うであろう。大げさに言うならばだが。
タオル一枚、個室に向かい合う。満ちる蒸気にじんわりと温まり紅潮してゆく。
「フィジカルで秘ぃと勝負するの、思えば中々無いわよね。新鮮だわ」
「そりゃあ、武道やガチンコ勝負となれば本職には敵わないからね。確かに新鮮かもしれないね。これなら私も志桜里君と勝負できそうだ」
片や古武術道場の師範代、片や寝子高バスケットボール部員、どちらが上などと断ずるも野暮だが少なくとも、メンタルや我慢対決ならば対等だろう。
秘月には少しばかり、有利な点もあるかもしれない。
「これで整体師を志しているからね。サウナで整うのは人体のメンテナンスを学ぶ上でも重要だし、これも修行の一環というところかな」
「なるほど、秘ぃらしい理由ね。でもだからといって、私に勝てるかしらね?」
「善処するつもりだよ。……しかしそれはそれとして、近くない?」
「ふふふふふ」
喧嘩殺法紛いの道場で日々鍛錬に明け暮れる、体力お化けな志桜里を相手に無謀な戦いかもしれないが、秘月としては十分に勝算もあると思っている。しかしながら今さら気づく、この勝負には致命的なルールの欠陥があった。
「妨害アリ?」
「アリ♪」
志桜里のカモシカのような脚が伸び、爪先を秘月の腿へなぞらせる。戯れにヴィヒタ、白樺の枝葉を束ねたものを取り胸元やら腹やら叩いてやるとそのたび秘月の肩は跳ね尻は浮き、頭頂へ向かって血潮は駆け上る。志桜里はそのまま秘月の腿へ足をかけ、指を伸ばす。
「き……気分はマーラに誘惑される修行僧、ってところかな」
「あら、まだ軽口叩く余裕があるのね? ならもう少し飛ばしていくわよ」
美脚の滑らかな曲線が秘月を惑わせる。負けてなるかと反撃に打って出ようとするも、眼前で揺れる爪先に整えられた爪の一つ一つに目が惹きつけられてしまいまともな思考が巡らない。個室で良かった。こんなあられもないところを他人に目撃される羞恥には耐えられそうにない、いや待てそもそも個室でなければこんなことになっていないのでは? 秘月の視界はぐるぐると回り始めた。
一方志桜里は酔っていた。酒の酩酊というイミではなく秘月の痴態に酔った。何と良い反応を返してくるのだこの友は。志桜里の指先爪先で突くたびに活き良く跳ねる肢体をさてどうしてやろうか、どう鳴かせてやろうかと思案に暮れる彼女もまた相当にのぼせていた。
「ああ、熱い……身体が火照ってたまらないわ。こう熱くなってくると、余計に悪戯したくなってくるわね。ねぇ、秘ぃはどう……?」
「え、いや、ちょっと。志桜里君……?」
おもむろに立ち上がり、秘月へのしかかる。両手を捕まえ指を絡めて、喉元を食い破る振りをし萎縮させてからの甘噛み、首筋から耳元まで伝う汗を舐め取り震えた声を上げさせた。
「や、やめ、もう……」
「ほらほらどうしたの? 返しの一つもないと、つまらないわよ。ほら、秘ぃ?」
圧倒的優勢、勝敗の条件など頭からとうに消し飛んでいるがともかく優勢だ、ぐいと押し倒しさらなる追撃へかかる志桜里。しかし瞬間、秘月は思わぬ反攻へ打って出た。勢いよく身を起こし志桜里を抱きすくめたのだ。たがいに汗濡れて熱く昂った身体が密着し、今度は志桜里の肩がぴくりと跳ねた。
「わっ? ひ、秘ぃ?」
「もう……限界! はやく外にいこ? 私、もう……!」
すっかり目を回しているらしい。縋るように志桜里の背を抱く秘月の吐息は荒く熱く、低温なフィンランドサウナだとしても危険な兆候かもしれない。すぐに外へ出さなければ。
(と、思っているかい? 志桜里君……!)
しかし秘月の作戦であった。と言っても秘月にとってもギリギリの策だ。正直理性を保っているのが怪しいくらい、志桜里の攻めに陥落寸前である。
「これはまずいわね。もう出ましょう秘ぃ、ほら立てる?」
秘月を力強く支えて志桜里は立ち上がり、入り口扉へと向かう。
(そう、このまま志桜里君が扉を開いて先に出てくれれば、私の勝ち! 嘘は言ってないしな。これぞ……)
「起死回生の策。な~んて、思ってる? 秘ぃ」
とんと背中を押された。少しよろめき、扉から半歩足を踏み出しているのは、秘月のほうだった。
「……詰めが甘かったか。私の負けだね」
「甘い甘い♪ けど私もそろそろ限界だったの、早く出ましょう、今すぐ!」
勝敗はさておいて、ギリギリまで頑張ってからの外気浴は清々しく格別な心地だった。
和菓子店ねこだんごで、志桜里は勝者の権利に与ることとなった。
「んんんん。甘い!」
「お気に召していただけたようで何よりだよ」
秘月は少々散財だが、まあ友人が喜んでくれているようで悪い気はしない。
「それにしてもサウナ、よかったわね。また一緒に行きましょう」
「次はもう少し、ゆっくりと堪能したいところだけどねぇ……」
秘月が言うと志桜里は意地が悪そうに口の端をつり上げ、器用におしるこをすくった木のスプーンを突きつけた。
「私はいつだって、秘ぃにぶつかっていくわよ。秘ぃも好きでしょ? そういうの」
二の句が継げず、成す術無く、秘月はスプーンのおしるこを啜った。
甘味の余韻に浸りつつ店を後にすると、雪が降っていた。旧市街の店舗の前などには良く生垣や観葉植物の一つや二つ据えられていたり、通りには街路樹も並ぶがそれらのいずれもが頭に白く、帽子をかぶっていた。
「やぁ。積もったね」
「あら、すごいわね」
思わず二人、ほうと吐息を漏らす。道を歩くと側溝のすぐ脇に小さな地蔵が立っている。寝子島らしく猫を模った猫地蔵だ。雪帽子を目深にかぶり、少し寒そうにしている。志桜里は地蔵の頭を手のひらで払ってやった。
「傘地蔵かい、志桜里君」
「かぶせるものは持っていないけれど、せめてと思って」
しかし周囲を見渡せば、雪帽子も悪くない。どの緑も白く覆われ、くっきりとした二色のコントラストは目に鮮やかで楽しく、粉をまぶしたようなパウダー状の雪がさらりと積もる様は風情があり美しかった。
「冬だねぇ。志桜里君」
「綺麗ね。秘ぃ」
サウナで整った心身の代謝が故か、寒くはない。むしろ身体の芯から熱が湧き出すかのようだ。
「……さて、帰りましょうか」
「そうだね。帰ろう」
流れるように志桜里は秘月へ腕を絡め、微笑み合うと歩み出す。蒸気にまみれながらに互いに晒した媚態があるいは、それぞれの心をアロマ水が気化するごとく熱していたのかもしれない。
猫地蔵は見て見ぬ振りをするように雪帽子を目深にかぶり、二人を見送った。
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あとがき
担当マスター:
網 透介
ファンレターはマスターページから!
網です。
冬のお話でした。
寒くなってきたり、かと思えば季節外れのあたたかさだったり、やっぱりまた寒くなったり、寒暖差の激しさに身体が持ちません。
皆さんも体調を崩してしまわないようお気をつけ下さい。
お楽しみいただけておりましたら幸いです。
それでは、また次回に。
網でした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
網 透介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年11月16日
参加申し込みの期限
2023年11月23日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年11月23日 11時00分
参加キャラクター一覧
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