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ファントムバタフライの館
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真相を知って
どのくらいだろうか。
柚春とウォルターは、呆然とした夢のような心地で、蝶の幽霊が瞬き消え去るのを見守っていた。
激しい稲光に続いて、とても近くで……そう、館の方で。
飛行機でも落ちたかのような轟音がした。
温室も揺れ、ぱらぱらと埃や枯葉が落ちてくる。
柚春はぎゅっとウォルターにしがみつく。
「今の音、なに?」
「わからない。雷が落ちたのかもしれない」
火事だ! と叫ぶ声が聞こえた。
逃げろ、とも。
それはウィリアム博士の声のようでもあったが、そのときはもうパニックになっていて、柚春もウォルターも記憶が飛び飛びになっている。
「梯子があるよ!」
そう気づいたのは、柚春だったか。
そのときには焦げ臭いにおいが、温室にも漂い始めていた。
柚春とウォルターは、温室の中にかかっていた梯子を昇った。出た先は、館の庭の隅だった。
館の方を見遣るともう、火の手は大きく上がり、黒い煙が高く立ち上っていた。
遠くからカンカンと鐘とサイレンの音が近づいてくる。
誰かが通報したのだろう。
それから館全体が火に包まれるまで、さほど時間はかからなかった。
柚春とウォルターは堅く手を握り合って、ファントムバタフライの館が燃え落ちるのを見つめ続けていた。
◇
「こんにちは。ウォルターさんはいますか?」
ファントムバタフライの館の探索から、しばらく経ったある休日のこと。柚春は――いつものようにメイドの
メアリ・エヴァンズ
を訊ねるという名目で――ブラックウッド邸を訪れていた。
ウォルターが来るのを応接間のソファで待っていると、メアリが紅茶を運んでくる。
「この度は本当にびっくり致しましたよ。ウォルターさまがお出かけになられたあと、本国から連絡があって、ウィリアム様が亡くなられたというのですもの」
そうなのだ。
ウィリアム博士は、柚春とウォルターが館へ到着したのとちょうど同じころ、イギリスの自分の屋敷で息を引き取ったのだという。
「魂だけが、蝶子さんのところへ飛んできたってことなのかな」
「そうかもしれないね」
背後から声がかかって振り返る。ウォルターだ。
「あ、ウォルターさん。お邪魔してます」
「いらっしゃい」
そう言ってウォルターは柚春の隣に座った。
「それにしても、本当にあの件は不思議でねぇ。あのあと、博士からの手紙も何故か消えてしまったんだよね」
「ウォルターさんに探索の助手になるようにって、時間と場所を伝えてきたあの手紙?」
「どこを探しても見つからないんだ」
「ぜんぶ……夢だったのかな」
「夢なら夢の方が良かったよぉ。火事になったあと取り調べを受けたり現場検証に立ち会ったり……火が出たのは雷が落ちたせいだ、ってのが明らかだったから良かったけどさぁ」
「そうだったね。夢じゃなかった」
「燃えた館を手放す手続きも、結局、日本にいる僕に丸投げだし……」
ウォルターは早口の英語でぶつぶつ言っている。
何を言っているかは分からないが本国の親族への悪態のようで、柚春はメアリと目くばせして苦笑する。
幽霊屋敷と呼ばれていた四之宮邸の庭の地下に温室があり、そこから40年近くたった白骨死体が見つかった件は、すこしばかりニュースにもなったが、結局事件性はなかったようでそのうち話題にも上らなくなった。
その後の調査で、館の主で一人暮らしだった蝶子さんは、あの温室で密かに『W』という名の蝶を育てていたようだと判った。しかしその蝶も今はいない。40年という時は種を存続させてはくれなかった。ベッドルームにあった青く美しい蝶『W』の標本も燃えてしまった。柚春とウォルターの記憶の中にだけ、その姿を残して。
蝶子さんはその日も温室で作業をしていて倒れたのだろう。そして誰にも見つからないまま、帰らぬ人となった。魂が宿るという蝶の計らいであろうか、彼女は幽霊となって屋敷を彷徨った。ウィリアム博士への想いを抱えたまま――あの家が朽ちて幽霊屋敷と呼ばれるようになるほど長い間、彼女は待ち続けたのだ。
「そういえば、ウィリアム博士が蝶子さんと一緒にならなかったわけ、分かった?」
「ああ、実家に問い合わせてみたんだけど……若いころ、博士は日本に移住しようとしていたみたいだね。けれど結局、英国の森の奥に屋敷を買って、そこで一生独身で暮らした」
「どうしてだろう。蝶子さん待ってたのに」
「これは僕の推測だけれど――急に蝶子さんと連絡が取れなくなったからじゃないかなぁ。若い博士は思ったのかもしれない、自分はフラれたんだ、って。だけど後年、蝶子さんの館が幽霊屋敷と呼ばれるようになっていたことを何かで知ったんだろう。もしやその幽霊は――そう思ったかもしれないね」
「それで屋敷を買った。けれど日本に来ること叶わず、ウィリアム博士は亡くなってしまった」
「だとしたら……せつない話だねぇ」
ふわあ、とウォルターは大あくびをした。
「まったく最期まで人騒がせな人だ……おかげですっかり寝不足だよぉ」
「ワット、お疲れ様」
柚春はしみじみと目を瞑るウォルターを労った。それからあの日の蝶を想って。
「ウィリアム博士と蝶子さんも、天国で幸せになっているといいね」
<了>
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あとがき
担当マスター:
笈地 行
ファンレターはマスターページから!
すこし不思議なファントムバタフライの館、リアクションをお届けしました。笈地です。
ウォルター先生はイギリス出身、イギリスと言えばゴースト、と連想して
幽霊屋敷探索ものにたどり着きました。
あと、怖かったらちょっとくっつきやすいかな、とか……。
灯りは意外な方法で、隠し通路はテッパンで、見つけていただいて良かったです。
ウィリアム博士の正体についてはガイドですこーし伏線を張ったつもりだったのですが
どうでしたでしょうか? わたしとしてはここバレなかったーとガッツポーズです。
それではまた別のシナリオでお会いしましょう。笈地でした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
笈地 行
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオSSS(600)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
恋愛
ホラー
NPC交流
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年11月03日
参加申し込みの期限
2023年11月10日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年11月10日 11時00分
参加キャラクター一覧
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