わんわん！　雪中お年玉＆お年賀争奪戦！｜リアクション

わんわん！　雪中お年玉＆お年賀争奪戦！

☆かまくらでのご休憩

　綾花と珪は小さな雪だるまを崩しましたが。
「そんな……」
　雪だるまからは何も出てきませんでした。
「ハズレか……」
　力なく微笑む珪の唇が紫色になっていました。　
「珪先生、大丈夫ですか？　かまくらで暖まりましょう」
　体力の消耗を抑えるため、二人はかまくらに向かったのでした。
「あれ……？」
　空耳でしょうか、イチャイチャするようなうっとりした男女の声が聞こえてきます。

「甘くて、熱々だね……」
「かまくらの中のおしるこは最高だねぇ」
　かまくらでは、柚春とウォルターが湯気の立つおしるこを食べていました。
「あ、僕たち参加者じゃないんで。ごめんねぇ、参加者はおしるこ券がないと食べられないんだって」
　ウォルターが言い、心配そうに柚春が二人を見やります。
「大丈夫？　まだ続けるの？」
「はい、お年玉がもらえたら卒業後の引っ越し代にしたいです。珪さ……先生と一緒の時間を過ごせるだけでも嬉しいですけど」
　明るく言う綾花に、柚春は（こりゃ止められないな）と思いウォルターのほうを見ると、ウィンクされました。
（どういう意味？）　
　気になりつつ、綾花にオイルを渡します。
「はい、オイル塗って温まっていってね」
「ありがとうございます」

　かまくらの奥で、人目がなくなったのを確認してから、綾花はオイルを手に塗り珪にささやきました。
「寒いです、珪さん……温めてください」
　そのまま珪に抱き着く綾花。

「──さて、ここでかまくらの様子を見てみましょう」
　近くで聞こえた声に、綾花と珪は慌てて離れました。
「あっ、おいしそうなおしるこ食べてますね～」
　パンダが柚春とウォルターの姿を映します。
「僕は応急処置担当です。ちゃんと仕事してますよ」
「僕は風紀担当なんで、おしるこ食べ終わったら見回りにいこうかなぁ」
　口々に言う柚春とウォルター。

　パンダが去った後、綾花は言いました。
「……そろそろ戻りましょうか。ありがとうございました」
　柚春とウォルターに頭を下げ、二人は再び雪の中へと戻っていくのでした。