わんわん！　雪中お年玉＆お年賀争奪戦！｜リアクション

わんわん！　雪中お年玉＆お年賀争奪戦！

☆小さめの雪だるまへ

　グラウンドのあちこちにある小さめの雪だるま。
　とはいえ高さは２ｍほどあります。
　
「それにしても寒すぎませんか？」　
　冷たい風に吹かれて、綾花の口からつい弱音がこぼれました。
「風邪ひかないか心配です」
　心なしかつけてる犬耳と尻尾が元気なさそうに垂れているようです。
「無理はしないで、かまくらで暖まろうか？」
　珪先生は優しく気遣ってくれました。
　するとなんだか、心が温まってくるのを感じます。
「大丈夫です。小さな雪だるまから壊していきましょう」
　珪と協力して、手前に倒さないように気を付けながら雪だるまを崩していきました。

「このまま立ち尽くしていても寒いだけだよね
　想花は、観念してシャベルを手に小手調べに目の前の小さな雪だるまを粉砕し始めました。
「あった！」
　雪の中に何かを見つけ、急いで掘り出します。
　しかしポチ袋の中身は、硬貨が１枚。
「5円……！　そんなあ」
　がっくりする想花。
　興奮は一気に吹き飛びました。
「それでも身体が温まるから、動かないよりはマシだ」
　諦めずに次へ行こうと見渡し、目についたマンボウくん像を間髪入れずに破壊しにかかりましたが。
「なんだか、視線が……？」　
　振り返るとそこには浜マンボウくんの姿がありました。
「こ、こわすの……？」
　涙目でジーッと想花を見つめるマンボウくん。
　一瞬固まった想花ですが、次の瞬間。
「ごめん！」
　と言いながらシャベルを振りかぶり、マンボウくん像を破壊したのでした。
「……きゅう」
　失神するマンボウくん。
「……あった！」
　なんと、マンボウくん像から出てきたのは牛肉でした！
「マジで？！　マンボウくんの犠牲は無駄にならなかったよ……魚肉じゃなくてよかった」
　喜ぶ想花に、かまくらから出てきた鷲尾先生が声をかけました。
「あら大変。保健室まで運ぶのを手伝ってくれないかしら？」　
「……ええ？　……あ、はい……」
　気絶の原因になったことを考えると断ることもできず、想花は鷲尾先生と共にマンボウ君を抱えて歩き出したのでした。