【カード】ちはやぶる神の札引く大いくさ｜リアクション

【カード】ちはやぶる神の札引く大いくさ

◇エレメンツ＆ドレイクス

　寝子高３年の巫部紫苑は、カードゲーム会場を回っていた。
「トランプに……あ、これが花札ですかぁ……牡丹鍋って美味しそうですよねぇ♪」
　食べることが大好きな彼女らしい感想に、周囲はぎょっとさせられたりもするが、紫苑は気にも留めず先へ進む。
「トランプくらいしか知りませんでしたけど、色々とあるものなんですねぇ……あら、可愛い女の子やカッコいいモンスターが描かれたものがありますね……えっと、エレメンツ＆ドレイクス？　こんなカードゲームもあるんですね」

「このカードの女の子可愛いですねぇ……衣装も素敵です♪」
　可愛いというよりはセクシー系な女性クリーチャーのカードを見つつ、紫苑がつぶやいた時。
　ふいに、それは起こった。
（……あら、何か風が？）
　窓は閉まっていたはず、と違和感を覚えた紫苑の姿が揺らぎ、消える。
　誰もその瞬間を目撃したはおらず、不審がられないまま、そこには一枚のカードが残された。
　さっきまで見ていたカードによく似た姿だが、顔や体つきは紫苑のものだった。

（あら？）
　紫苑は周囲が教室ではないことに気づいた。
　頭の上には教室の景色が広がっていたが、周囲がなんだか平べったい。
　そして自分の体も、なんだか薄べったくなっている気がする。　
「う～ん、これはどうやら……私カードになってますね」
　ここは寝子島、何が起こっても不思議ではない。
「さっきまで見ていた女の子のカードにそっくりな格好になってますし……どうしましょう？」
　しかし紫苑は慌てなかった。
「とはいえ、カードになっても特に窮屈に感じませんし……そのうち何とかなるでしょう」
なんだか眠くなってきて、紫苑はふかふかした絨毯の上にごろん、と横になる。
「とりあえずひと眠りしましょうか……カードの中でお昼寝なんてめったにできませんし♪」