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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
君の音は何色で描く
もしかしたらあのときは、風邪でダウンした三折部 朝衣を元気づけようとしただけの言葉だったかもしれない。
けれど、婚約者である住沢 遥人も朝衣も同じくサーフィンが好きならば、『新婚旅行はオーストラリアで』といつ言い出してもおかしくなかっただろう。
行くならやっぱりベルズ・ビーチか、ならホテルはメルボンも許容範囲かと話が弾み、式の日取りも決める前から、新婚旅行の日程だけは早々に決まった。
シーズンで選ぶなら11月から４月。お互いの仕事の都合も考えたなら、クリスマスまでは遥人が忙しく、朝衣も長期休暇となると年末年始に合わせるのが良いから、これだけは確定事項だ。
「行くのは来年かしら。それとも再来年？」
婚前旅行にも行けたらいいのに。なんて冗談めかして笑いながら、朝衣は素敵な未来に思い馳せた。
日本との時差は２時間。
あまり身体に負担なく楽しめそうでいて、オーストラリアの南側まで飛ぶには、半日以上も空の上だ。夜の便に乗って昼過ぎに到着となれば、機内で眠るだけど言えど移動疲れも出てくる。海外ということでトラブルも想定すれば、さすがにすぐ海へ直行！ とはいかない。
サーフィンをするのは翌日に見送って、２人はゆっくり観光を楽しむつもりでまずはホテルのある市街地へ向かう。道中にある軽食屋に目を輝かせるのは、もちろん遥人だ。
「街中でもいいし、ビーチを散歩してもいいし……いくつかチェックしてる食べ物もあるんだ」
あまりに嬉しそうに笑うけれど、彼の職業はシェフ。
その料理を気に入って、再現したいとスーパーで食材巡りをしたり、食べ比べてみようだなんてことになったら、朝衣の足も胃袋も悲鳴をあげることだろう。
「それは、観光としてよね？」
「うーん……観光半分、仕事としての興味も半分、かな」
せっかくの新婚旅行なのにと呆れたように彼を小突いて、ホテルへチェックインを済ませる。特に２人の荷物で幅を利かせているのは、サーフボードだ。
長旅で欠けがないか念入りにチェックして、明日の波を楽しみにしている遥人は、どこか可愛らしい。もちろん朝衣だって、この日を満喫するために貯金もして、ウエアなども新調して楽しみにしていた。
（でも……）
冷静に考えれば、それに袖を通すことなどないのだろう。朝衣はそっとお腹に触れて、いつ切り出そうかと小さく小さく息を吐いた。
「疲れてるなら、少し休憩してから出かける？」
それもいいけれど、ディナークルーズも予約してある。夏のオーストラリアでは、ちょうどその頃に夕陽が楽しめるはずで期待しているが、あまりのんびりしていては本当に移動で１日が潰れてしまったことになってしまう。
「大丈夫よ。ほら、確認が終わったなら出発！」
楽しみにしていた新婚旅行を中止にしたくなかった気持ちと、最高のロケーションで伝えたい気持ち。その２つに背中を押されるように飛行機に飛び乗ったまでは良かったけれど、遥人はどう思うだろう。
一抹の不安を抱え、朝衣が希望したのは小さなビーチだった。
タクシーの運転手にお任せしたが、地元民が好んでやって来るやってくるというだけあって、オシャレな飲食店なども特になく、老若男女関係なく海を楽しんでいる様子が見られる。
「こういう知る人ぞ知るって場所もいいわね」
特に大会があるわけでも、映画で有名になったでもない。ただ日常として海がある……それは、寝子島で暮らす２人にも身近だけれど、国が変われば文化も違うわけで。
ゆっくり散策するつもりだった遥人は目を疑った。海外だからふくよかな人が多いのかと思っていたけれど、よくよく見れば妊婦数人がサーフボード片手に浜辺を歩いているではないか。
そりゃあ安定期に入れば多少の運動は良いとされているが、サーフボードの重さや負荷を考えると多少で済むとは思えない。
咄嗟のことに手伝いましょうかなんて簡単な言葉も出てこず、朝衣と２人呆然と見守る。そんな様子を見て、妊婦たちはケラケラと笑い出した。
『過保護な旦那は駄目よ、海は健康にいいんだから』
『そうよ、開放的でリラックスできる場所だし、出産へのスタミナ維持にももってこいだわ！』
「は、はぁ……」
豪快な様子から心配いらないのだろうけど、日本の保守的な考えではハラハラしてしまう。けれど朝衣は、どこか安心したように苦笑した。
「ワイキキの女王だなんて呼ばれている人も、予定日２週間前までサーフィンしていたらしいわよ？」
サーフガールの憧れである彼女の姿に、勇気をもらった女性も多いことだろう。もちろん、それを医師が推奨しているわけではないので、最終的には自己判断となってしまうのだけど。
「朝衣もそうな……いや、ちょっと気が早いかな」
「そうなる予定だって言ったら？」
照れくさそうに笑う遥人に口づけて、悪戯に笑う。
朝衣の懐妊報告はサーファー継続宣言とセットとなり、遥人が腰を抜かしたのは言うまでもない。
けれど、婚約者である住沢 遥人も朝衣も同じくサーフィンが好きならば、『新婚旅行はオーストラリアで』といつ言い出してもおかしくなかっただろう。
行くならやっぱりベルズ・ビーチか、ならホテルはメルボンも許容範囲かと話が弾み、式の日取りも決める前から、新婚旅行の日程だけは早々に決まった。
シーズンで選ぶなら11月から４月。お互いの仕事の都合も考えたなら、クリスマスまでは遥人が忙しく、朝衣も長期休暇となると年末年始に合わせるのが良いから、これだけは確定事項だ。
「行くのは来年かしら。それとも再来年？」
婚前旅行にも行けたらいいのに。なんて冗談めかして笑いながら、朝衣は素敵な未来に思い馳せた。
日本との時差は２時間。
あまり身体に負担なく楽しめそうでいて、オーストラリアの南側まで飛ぶには、半日以上も空の上だ。夜の便に乗って昼過ぎに到着となれば、機内で眠るだけど言えど移動疲れも出てくる。海外ということでトラブルも想定すれば、さすがにすぐ海へ直行！ とはいかない。
サーフィンをするのは翌日に見送って、２人はゆっくり観光を楽しむつもりでまずはホテルのある市街地へ向かう。道中にある軽食屋に目を輝かせるのは、もちろん遥人だ。
「街中でもいいし、ビーチを散歩してもいいし……いくつかチェックしてる食べ物もあるんだ」
あまりに嬉しそうに笑うけれど、彼の職業はシェフ。
その料理を気に入って、再現したいとスーパーで食材巡りをしたり、食べ比べてみようだなんてことになったら、朝衣の足も胃袋も悲鳴をあげることだろう。
「それは、観光としてよね？」
「うーん……観光半分、仕事としての興味も半分、かな」
せっかくの新婚旅行なのにと呆れたように彼を小突いて、ホテルへチェックインを済ませる。特に２人の荷物で幅を利かせているのは、サーフボードだ。
長旅で欠けがないか念入りにチェックして、明日の波を楽しみにしている遥人は、どこか可愛らしい。もちろん朝衣だって、この日を満喫するために貯金もして、ウエアなども新調して楽しみにしていた。
（でも……）
冷静に考えれば、それに袖を通すことなどないのだろう。朝衣はそっとお腹に触れて、いつ切り出そうかと小さく小さく息を吐いた。
「疲れてるなら、少し休憩してから出かける？」
それもいいけれど、ディナークルーズも予約してある。夏のオーストラリアでは、ちょうどその頃に夕陽が楽しめるはずで期待しているが、あまりのんびりしていては本当に移動で１日が潰れてしまったことになってしまう。
「大丈夫よ。ほら、確認が終わったなら出発！」
楽しみにしていた新婚旅行を中止にしたくなかった気持ちと、最高のロケーションで伝えたい気持ち。その２つに背中を押されるように飛行機に飛び乗ったまでは良かったけれど、遥人はどう思うだろう。
一抹の不安を抱え、朝衣が希望したのは小さなビーチだった。
タクシーの運転手にお任せしたが、地元民が好んでやって来るやってくるというだけあって、オシャレな飲食店なども特になく、老若男女関係なく海を楽しんでいる様子が見られる。
「こういう知る人ぞ知るって場所もいいわね」
特に大会があるわけでも、映画で有名になったでもない。ただ日常として海がある……それは、寝子島で暮らす２人にも身近だけれど、国が変われば文化も違うわけで。
ゆっくり散策するつもりだった遥人は目を疑った。海外だからふくよかな人が多いのかと思っていたけれど、よくよく見れば妊婦数人がサーフボード片手に浜辺を歩いているではないか。
そりゃあ安定期に入れば多少の運動は良いとされているが、サーフボードの重さや負荷を考えると多少で済むとは思えない。
咄嗟のことに手伝いましょうかなんて簡単な言葉も出てこず、朝衣と２人呆然と見守る。そんな様子を見て、妊婦たちはケラケラと笑い出した。
『過保護な旦那は駄目よ、海は健康にいいんだから』
『そうよ、開放的でリラックスできる場所だし、出産へのスタミナ維持にももってこいだわ！』
「は、はぁ……」
豪快な様子から心配いらないのだろうけど、日本の保守的な考えではハラハラしてしまう。けれど朝衣は、どこか安心したように苦笑した。
「ワイキキの女王だなんて呼ばれている人も、予定日２週間前までサーフィンしていたらしいわよ？」
サーフガールの憧れである彼女の姿に、勇気をもらった女性も多いことだろう。もちろん、それを医師が推奨しているわけではないので、最終的には自己判断となってしまうのだけど。
「朝衣もそうな……いや、ちょっと気が早いかな」
「そうなる予定だって言ったら？」
照れくさそうに笑う遥人に口づけて、悪戯に笑う。
朝衣の懐妊報告はサーファー継続宣言とセットとなり、遥人が腰を抜かしたのは言うまでもない。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2023年10月21日
- 参加申し込みの期限
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- 2023年10月28日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2023年10月28日 11時00分
