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少しだけ考えてから、「サイドカーをもらおうか」とリックはオーダーした。
ブランデーベース、オーソドックスなカクテルだ。V.S.O.P.にホワイトキュラソー、レモンジュース、氷を加えシェイクして作る。スライスオレンジを添える店もあるが、リクエストでもないかぎり静はそのまま出す。せっかくのオレンジが、レモンの酸味と相殺されてしまうように思うからだ。その分、カクテルグラスは大ぶりのものを使った。特徴はさらりとした質感、それにすっきりとした後味だろうか。ただしアルコール度数はガツンと高い。
肴(さかな)はクリームチーズとクラッカーだ。いずれも輸入食料品店でしか買えない厳選品である。
目を閉じて香を楽しみ、舌で転がすようにしてリックはカクテルを味わった。
しばらくはカクテルの余韻にひたっていた様子だが、
「日本住まいを希望しているのは、娘のそばにいてやりたいのもあるが」
おもむろにリックは言った。
「……正直、アメリカに疲れたというのもある」
静とリックの会話は基本日本語、ところどころ英語混じりで行われていたのだが、このときリックは最初から最後まで英語で『sick and tired』とはっきりと言った。
静は何も言わない。ただ、チェイサーの水を一口しただけだ。
リック・ヤンですら、そうか。
口に出さず、静はリックの心情を推察する。
――日本人が考えている以上に、あの国でアジア系は軽んじられる。
たとえ生まれがアメリカでも、片親がアングロサクソン系でも、見た目や名前がそうなら、下に見られる。
そういう社会だ。
合衆国は多民族国家と呼ばれて久しく、近年の調査では全国民に占める白人の割合は六割を切っている。だとしても、まだ多数派の支配者意識は確固として存在していた。
アメリカに住んだ数年間、静がはっきりと差別発言を聞いた回数は数えるほどしかなかった。だがレストランで注文を飛ばされる、意味もなく「ニーハオ」と呼びかけられる、「アジア系なんだから計算が得意だろ」といった決めつけをされるなど、微妙に気に障る思いをしたことは少なくない。
俺たちのスタート地点は後方に設置されている。
だから腕っぷしにしろ頭にしろ何かしらの技術才能にしろ、武器が、結果がなければやっていけない。
リックもずっと戦いつづけてきたはずだ、あの国で。
それに疲れたというのは、正直な気持ちだろうな。サービスや情報といった無形のものより、たとえよく知らないにせよ、有形の商品に興味が移ったのもそのせいかもしれない。
「いつかは」ぽつりとリックは言った。「帰ると思う」
「アメリカにか」
「ああ。俺にとってはアジアも故郷じゃない。見た目は同じでも、米語を母国語とする異邦人さ」
それに懐かしくなるだろうしな、とリックは言った。
「やたら高くて不味いダイナーのコーヒーがな。あんなものがまかり通ってるのは世界でもアメリカだけだ」
「確かに」
静にしては珍しいことだが、声を出して笑ってしまった。
「ところでジン、お前はどうしてあの国を離れた」
「俺か」
「理由は聞かずじまいだった」
隠していたわけではない。だがわざわざ説明する必要もないとも思っていた。
「つまらない話だぞ」
「Mr. Silenceが語るならどんな話でも興味深い」
古いあだ名まで持ち出してリックはうながした。
今宵くらいは饒舌になってもいい、か。
自分用にジンライムを入れ、静は新しいクラッカーの封を切った。
「向こうでの生活は満足していたよ。俺は孤独やストレス全般に耐性があるほうだし、腕っぷしもそれなりに自信があった」
「だろうな。最初の店では、バーテンというよりバウンサー(用心棒)がわりに雇われたって聞いた」
静は口元に皮肉なシワをよせるしかない。渡米直後の話だ。一番尖っていた時代かもしれない。
「その後移った店ではボスに恵まれたしな」恩人の顔を思い浮かべる。「人間的には大分ぶっ壊れた人だったが、経営者や雇い主としては完璧だった」
リックとの縁ができたのもこの店でだ。
「日本に戻った理由だったな? 単純にボスの薦めさ。小さいながら店も構えることもできた」
まぁ、と少し間を置いて静はつづけた。
「お陰で面倒なこともあったが。……いつかは片さなきゃいけない案件だったからな」
長年絶縁状態にあった父親の件だ。新たな店を買い上げる資金を、静の父親は投資すると申し出た。拒絶も頭をよぎったが静はこれを受けた。もう父親の命が尽きかけていると悟ったから――なのだろうか、自分でも理由はわからない。店は現在、『Cafe 喜望峰』の看板をかかげ営業中である。
「感謝してるよ。ボスにも、お前にも、うちに呑みに来てくれる人たちにも」
「感謝か」とリックはつぶやいてしばらくベース音に身を委ねていたが、やがて言った。「素直にそんな言葉が口に出せるのようなったのも、違和感なく聞けるようになったのも、年を取ったせいかもな。俺もお前も」
「老けたってことか」
「多少お古になった、ってことにしたいね」
静はただ肩をすくめるにとどめた。空いたグラスを下げて言う。
「それで、次は何にする」
「お任せで頼む」
うなずくと静はドライジンのボトルに手を伸ばした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年09月13日
参加申し込みの期限
2023年09月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年09月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
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