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冬。星ヶ丘。
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嵐のように吹き荒れた。人の想いも投げかけられる言葉も、ばしばしと絶え間なく焚かれるフラッシュも。
初瀬川 理緒
と
佐和崎 紗月
の純愛は堅牢な繋がりなれど、猛り狂う雷轟暴風、時に太刀風のごとく鋭き一閃にまでさらされ、二人も千々と散り行く定めかとも思われた。全てをさらう、抗いがたく何とも無慈悲な風だった。理緒の言を持って一連の流れを表現するならば、こうだ。
「っだーーーーーー!!」
「あはは。理緒ちゃん、お疲れだね」
「そりゃそうでしょ、もー。紗月は大丈夫? ヘバってない?」
「うん。何とかね」
境はハロウィンだったろうか、もう記憶もあやふやになりつつあるがそれというのも、ここ二か月も続く多忙のおかげだ。
先だって発売された二人の写真集、その書評と評判をもって、同性同士の親密な絆をスキャンダルへと直結する安直な風評にも一線が引かれたように思う。その後に出演したファッションショーでの一幕も、ラジオの生出演という(ことに紗月にとっては)稀有な体験も経て各所から好評を得た。乗り越えた。どうにかこうにか、やっとである。
そうして嵐を乗り切ったからこその多忙なのだ。あらためて理緒と紗月、個々に加えて二人としての魅力が伝わったから、グラドルの本業も付随する細々とした仕事にも広がりを持つことができた。興奮したマネージャーの話によれば、近くCM出演の仕事も入るかもしれないという。ぜひとも我が社の商品にお二人の華やかさ健康的な色気フレッシュさをもって花を添えていただきたくうんぬんかんぬん。撮影に疲れ切ってぐったりのところに聞かされたものでうろ覚えながら、多分この仕事は決まるだろう。後ほど詳細を確認しなければ。
ふう、はあとため息が重なった。人気グラドル二人、舞い込む仕事が引きも切らずなのはありがたく思うべきだろうが、それにしたって限度というものがあろう。疲弊していた。好きで始めた仕事だし誇りに思う、しかし、けれど、あんまりにも。
というわけでたまの休み、理緒が「っだーーーーーー!!」と発したのは起き抜け、昼過ぎのことだった。体型維持には欠かせない毎朝のルーティーンもすっぽかして惰眠を貪り、というのは理緒に限ってのことで紗月は少し早くに起き出し、きっちりと日課をこなしていたのだが、とはいえ理緒を責める者もここにはない。
休みだ。休日だ。今日一日は何者にも拘束されず、突き抜けるほどに自由だ。その自由を半日ほど爆睡して消費したのはもはや言うまい。二人でシャワーを浴び、すっきりとしたところで有益な過ごし方を検討・模索する。
「星ヶ丘にね、新しくカフェがオープンしたって。見てほら、写真」
「おー、センスいいね! 大きな窓からいっぱいに光が差し込んで、綺麗。この店名の、Un、アン……センスいいよね!」
「『Un ange passe』、フランス語のことわざなんだって。意味はね……」
ベッドへ二人して寝ころび、紗月のスマホで覗いたその店が何ともお洒落で、そう、センスがいい。行き先はぴたり定まった。迷いがないというのは気持ちがいい。
多忙に追われながら己の全て絞り出すのも、仕事に打ち込んでいる自分も嫌いではない。一点に向かって猪突猛進、そのくらいがちょうどいいのかもしれない。理緒は心地よくも間延びした時の流れに勤労の心がいささか疼くが、それはしまっておくことにする。今日ばかりは紗月とともに過ごす時間を大切にしよう。
スタイリストの一手間を挟まない、お気に入りの装いで二人ねこでんなど乗ったり、星ヶ丘を理緒と歩いたり。そんなふうに過ごしていると紗月の胸には寒風吹き抜ける冬を一足飛び、早くも春が訪れたかのようだ。絡まり合う指先のぬくもり、垢抜けた街並みの景観を共有する喜びに、思わず心も足取りも跳ねた。
「ふふふ。浮かれてますなー、紗月さんは」
「そう、かな? そんなことないけど……」
「やっぱりヘバってたんでしょ? この何か月か、しんどかったもんねぇ。久しぶりのお休みだもんねぇ」
恋人にはそんな紗月の浮かれようも筒抜けである。いささか粗雑に見えてその実、理緒は案外他者の心の機微に敏感だ。表に出さぬとも気を使うたちでもあるが、その反動か紗月へのからかいには遠慮がない。とはいえ距離感の表れでもあり悪い気はしないのだ。
「そうだよねぇ、生真面目カタブツキャラな紗月もたまのお休みには、スキップ踏んじゃうよねぇ」
「そ、そんなことしてないし……!」
思わず少々大きな声を出すと、行き交う通行人の目がこちらへ向く。気づかれただろうか? 今を時めく二人、売れっ子グラドルのデート風景と悟られてしまうだろうか? 先輩グラドルの理緒と違い、新人紗月はまだまだ衆人環視における振る舞い方に惑ってしまう。
「ほらほら、見つかっちゃうよ」
「ごめん……ふふっ」
目深にかぶったキャスケットに目線を隠し、ひとまずバレることはなかったようだ。ほんの数か月前には自分が人目を気にする立場になろうなどと考えてもみなかった。非現実的な状況に、しかし悲観するでもなく、何だか笑いがこみ上げた。
「ヘンな感じ。理緒ちゃんと街を歩くのに、誰かの目が気になるなんて」
「イヤ? 疲れちゃう?」
理緒の声色に少しの陰り。ほんの少しだ。紗月もまたその優しさ故に敏感で聡いから、すぐに伝わる。首を振った。
「ううん、そんなことない。何だか新鮮だし……理緒ちゃんが隣にいるから、大丈夫」
お忍びデートは秘密めかしてわくわくするし、密やかな楽しみという感じがして理緒とのちょっとした一言二言にも笑みがこぼれた。著名人なら苦労したり頭を悩まされるであろうこんなシーンでも、やっぱり紗月は足取り弾むのだ。他愛のないことに笑い合ったり、からかわれて赤面させられたり、たまにはお返しして理緒の顔を赤くしてやったり。そんな気安いやりとりができる存在は、紗月にとって理緒だけだ。
「そ? なら良かった」
あからさまにほっとした安堵顔。理緒の腕を取り、小気味よく駆けた。
小腹が空いた頃合いに、件のカフェへと到着。入店すると軽やかなベルの音。客足も落ち着いたタイミングで、窓際の席へゆったりと腰かける。
「うわ、眺めサイコーじゃん」
「本当。お庭が輝いて見えるね」
よほど丹念に手入れされているのだろう。ガラスの向こうの石庭は白くまばゆく、大海に打ち合う白波を切り取り当てはめたかのように雄大で、心に染み入る美しさだった。二人は共に喜色満面となった。
理緒はカフェオレを、紗月はストレートティーを頼む。遅めのブランチには人気メニューだというローストビーフサンドを注文し、シェアすることにした。少々摂取カロリーに躊躇うゴージャスな一品だが、まあ後日のトレーニングにていくらか発奮し帳尻を合わせればよい。と、己に言い聞かせ沸いて出てきた罪悪感を駆逐する。
「ほれは……ぜっふぃん!(絶品)」
「理緒ちゃん、口にソース、ついてる」
紗月が紙ナプキンで拭ってやると、理緒は子どもめいて開けっ広げに笑った。
理緒に促され、紗月も一口。なるほど、これは絶品だ。テレビに映る食レポで肉を扱う際に頻発するワード、「噛むときに歯がいらない」の真実を味わった思いである。
濃い味のサンドイッチを堪能しつつ、会話も弾んだ。
「そうそう、さっき通った道に、白くってでっかい家があったじゃない?」
「うん。白い壁に、屋根とドア、窓枠は水色で、地中海風の」
「あんな家に住めたらな~って思っちゃって。あ、もちろん紗月と二人でね」
「理緒ちゃんと一緒に、あの家に……うん、いいかも。すごくいいかも!」
「まあ、手が届かないが故に、っていう憧れかもしれないけど……」
「今はそうかもしれないけど、でも、いつかは届くかもしれないよ? お仕事、一生懸命頑張れっていれば」
と言いかけて紗月は言葉を呑み、苦笑いを浮かべた。南海に吹き荒ぶハリケーンを乗りこなす荒業がごとくに大波を越えたところだし、仕事の話も野暮だろうかと思ったのだ。
しかし理緒は卓に肘をつき、両手を頬に当てて微笑ましそうに紗月を眺めて言った。
「うん、そうだね。あたしたち二人の、ささやかで大きな夢。いつか叶ったらいいけど、叶わないかもしれないけど……心の中のどこか隅っこに置いといて、時どき思い出して、よしやるぞー! って思えるように。ね」
「うん。いつか……ね」
時にはげんなりすることもある人気商売だが、やりがいもあろう。理緒は重々理解しているし、そこへ足を踏み入れたばかりの紗月もいずれ身に染みるだろう。遠くとも夢があれば、一歩また一歩と歩んでいけることだろう。
「……あ、あの!」
いい気分でカフェオレに紅茶を楽しんでいたら、声をかけられた。ちょっと小声にひそめた控え目な調子は、カフェのホールスタッフだった。紗月と理緒より一回り年下、アルバイトの少女だ。怪訝そうな二人に見返され、緊張した面持ちで言った。
「きっとお忍びだろうし、邪魔しちゃ悪いと思いましたし、声かけるのはマナー違反かなって、でもあの、私その。ファンです……理緒ちゃんも、紗月ちゃんも大好きです。尊敬、してます! なのであの、こっそり、サインいただけないでしょうか……?」
引きつった真顔での懇願に、二人は顔を見あわせ、しばし後に噴き出した。
「いいよ、そのくらい。ファンだって、紗月、嬉しいね」
「う、うん。何だか恥ずかしいけど……ありがとう。これからも応援してね」
注文票の裏へ順にサインを残すと、少女は飛び上がらんばかりに喜び、跳ねて行った。その後ろ姿を見送りながら、どちらともなく互いの指先に触れ、絡ませる。
「……頑張らなきゃね。お仕事」
「そだね。よーっし、やるかぁー」
苦労もあるし心も身体も疲れは溜まるが、こうした瞬間も時に訪れる。それもきっと、一人では訪れなかった。理緒と、紗月と、共にあるからこその瞬間なのだ。
あらためて噛み締める。理緒と過ごすこの時を。紗月と歩む道行きを。二人は他の客たちに隠れてそっと、小さく甘いキスをした。
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日常
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10人
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10人
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シナリオガイド公開日
2023年08月30日
参加申し込みの期限
2023年09月06日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年09月06日 11時00分
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