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冬。星ヶ丘。
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星ヶ丘には恩がある。今さらながらに
佐藤 瀬莉
の愛着は深まった。
瀬莉は東京の生まれだが、活発な熱量にあふれるものの忙しなく埃っぽいあの空気は、幼い頃病弱であった彼女には馴染まなかったらしい。寝子島へは小学校へ上がる少し前に移住した。転地療養というやつだ。効果はてきめん、すっかり快復し今日も元気いっぱいに星ヶ丘を行く。時折、ふとしたことで生死の境を彷徨った大病が再発するのではないかと、日々の希望に隠れたかすかな不安が鎌首をもたげることもある。しかしそんな時は寝子島で身に着けた強さを発揮し、笑い飛ばすのだった。
「ま、なんとかなるでしょ!」
瀬莉の健康な身体を形作る素地となってくれたのが、星ヶ丘地区なのだ。清廉として気高く、飾り気を忘れずそれでいてお高くとまらない、寝子島特有のやわらかな気風もないまぜとなり、こうして瀬莉を磨き上げてくれた。目指す夢だってできた、18歳になったらスイスへ留学し、かの有名な時計学校へ入学していずれは時計職人となり、己の理想の時計を追求するのだ。まだずいぶんと先のことにはなろうが……そんな風に思えるようになったのも、星ヶ丘という場所に育まれた強かにして優雅、瀬莉の芯の強さのおかげだ。
星ヶ丘には恩がある。もちろん、愛娘のため一家そろっての移住を決断した両親にも感謝してやまない。いつかその恩に報いることができればいいと思う。
そんなことを瀬莉は、星ヶ丘マリーナのかぐわしい潮風を胸いっぱいに吸い込みながら考える。
「ん~っ! いい天気」
伸びをして、再び深呼吸。自室にこもりがちで暇さえあれば時計を弄り倒している瀬莉だが、時には外に出たくなる。そんな気分になることもある。どうやら今日がそれだ。幸い気温も低くはなく、羽織ってきたコートが少し重たいくらいの陽気だ。
満足ゆくまで海を眺めて、潮風を浴びて熱のこもった頭をリフレッシュしたら、立ち上がる。
「さてと。いつものあそこ、行ってみようかな」
軽やかに駆ける足取りを見て、幼少期は病弱で寝た切りであったなどと誰が信じるだろう。
「やあ。来たね、瀬莉ちゃん。待ってたよ」
行きつけで馴染みのアンティーク時計店を訪れると、瀬莉にとって青天の霹靂たる出会いが待っていた。初老の店主が不敵に笑み、店内の中央を指し示す。
「こ、これって……!?」
厳重なガラスケースで保護されており、触れることはできない。それでも瀬莉には一目で分かった。
「ミステリークロック! シングルニャクシル!?」
「ふふ、やはり瀬莉ちゃんには分かったね」
琥珀色をした水晶の文字盤に、時針と分針が浮かび上がるよう配されている。宝飾品メーカーの格式ある老舗、ニャルティエが100年も前に制作したというアンティーク時計だ。ミステリークロックとは動力機構が見る者の目につかない部分に隠され、まるで針が宙に浮いているように見えることに由来する。
瀬莉はガラスケースへ張り付くようにして見入った。
「どうして、こんなものがこの店に? あ、ごめんなさい……」
「いやいや、いいんだよ。小さな店だからね」
珍しく恐縮する瀬莉に、店主は鷹揚に笑う。確かに星ヶ丘の店らしく小奇麗に整えられてはいるが、規模は小さく、店主の趣味的な品も多く並ぶ。名だたる逸品を飾るには、やや雑多な印象も受けた。
「あ……でもこれ、レプリカ?」
「おお。さすがだね、分かるかい。ははは、さすがに本物は無理さ! けれどいつか、こいつを私の店に置きたいと思っていたんだよ」
聞けば店主はかつて、若い頃に本物を目にしたことがあるのだという。もう何十年も前のことだ。アールデコ調のデザイン、大胆に配されたシトリンの文字盤、浮かび上がる針、滑らかな駆動……その衝撃たるや、ふらふらとしていた彼を時計職人の道へと導くほどであったと、懐かしそうに語った。
レプリカといっても特殊な機構を擁する時計であり、再現するにももちろん安くはない。星ヶ丘に住まう財力の持ち主であってもだ。それが今、こうして念願叶ったのだと嬉しそうな店主を微笑ましく眺めると、瀬莉の胸もあたたかく灯った。
「ふむふむ……モデルNのダブルニャクシル・システムをさらに洗練させた、シングルニャクシル。ああ、本当だ、透明なディスクが針を回転させてるんだ。すごい……それに、ムーブメントの構造も芸術的だけど、美術品として見てもやっぱり綺麗だね」
「うん、そうだろう、そうだろう」
今のところ瀬莉の興味は懐中時計に傾いているが、これも時計の究極の形、その一つに違いない。瀬莉の内を稲妻のごとく駆けめぐった衝撃は、これからの彼女にとって何らかの礎となってくれるだろう。
満足ゆくまで眺めたら、店主へ挨拶を告げて店をあとにする。向かうは植物園『ねこの庭』だ。
植物園は盛況だった。子連れの家族が多く、小学校低学年くらいの子どもたちの群れに混じって『ホワイトパールサイネリア』を見る。
「すごい……」
七つに色を変える滑らかな花弁に思わず見入り、ほうと息をつく。周りの子どもたちも騒ぐのを忘れ、大人しく花を見つめている。
「……あ」
瞬間、瀬莉の脳裏に何かが閃いた。しかし何が閃いたのか、明確にはつかめず、悶々としながらその場を離れた。
温室に併設されたカフェでチョコパフェを頼み、絶妙な甘味を楽しみながらにノートを広げる。チョコ掛けイチゴをぱくりとほおばると、瀬莉は猛然とノートへペンを走らせ始めた。
「そう……そうだ。こんな懐中時計はどうだろう? 形はこう、駆動部分の構造は……」
星ヶ丘の整然と美しい並び。ニャルティエのミステリークロック。ホワイトパールサイネリアのきらめき。父と母のくれた優しさと、あの愛情満ちて穏やかな眼差し。全てが瀬莉の中へと結実し、混然一体となってゆく。
そうして出来上がった夢のスケッチはどうも、複雑に過ぎた。しかしいつか、作り上げられる時が来るだろうか。
瀬莉はしばしそれを眺め、やがて満足するとノートを閉じ、チョコパフェの残りを堪能した。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
網 透介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年08月30日
参加申し込みの期限
2023年09月06日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年09月06日 11時00分
参加キャラクター一覧
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