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冬。星ヶ丘。
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『Un ange passe』。この程星ヶ丘地区にオープンしたカフェだという。冠する名前からして洒落ているし、窓際の席から覗くテラスや自然に彩られた石庭の美しさたるや必見に値する、と早くも評判であるそうだ。
倉前 七瀬
もその美しい景観や、人気のメニューを味わってみたいと気になっていた。
「というわけでウォルターさん、案内してくれません? 僕、星ヶ丘はあまり慣れとらんけん」
「ああ、例のカフェ。ちょっと噂になってたよねぇ」
お願いしてみれば
ウォルター・B
もちょうど訪れてみようかと考えていたらしく、タイミングがよいではないか。連れ立って行ってみることにした。
星ヶ丘地区にはあまりなじみがない。七瀬はそうだ。
「ひゃ~。さすが。シャレとんじゃ~」
「ははは、なにソレ?」
「僕はこういうの、見慣れとらんですから」
街全体が何だか、きらきらと輝きを放つかのようだ。建物の壁は全てエナメルパーツで、ガラス窓はステンドグラス。道行く人々の装いはいずれもドレスかタキシード、などというのは七瀬の勝手なイメージなわけだが、少なくとも敷居の高さを感じて気後れしてしまう程度にはどこもかしこも小奇麗で、隙なく繕われている。何の変哲もないシーサイドタウンのワンルームに住まうイチ大学生にはまるで、別世界へ迷い込んだかのようだ。星ヶ丘地区。なんたる美麗荘厳か。
はえ~っと口を開けて眺めていたら、同行者には笑われてしまった。
「かわいいねぇ、倉前は」
「それは、褒めとるんですか? それとも馬鹿にしとるとですか」
「両方かなぁ」
そこへいくとウォルターは、彼自身ここへ住んでいるわけだが。どっちを向いても見慣れた風景かと思いきや、このところは少し印象が違うという。
「どう違うんですか?」
「んー。そうだなぁ」
どこか遠くを眺める青い瞳に七瀬が見い出す感情は、ほのかな寂寥だった。
ふっ、と小さくウォルターは笑む。
「いやまあ、何となくそう思っただけ。気にしないで。さ、カフェカフェ!」
寝子島は今日も冷え込んでいる。冬のそら寒さが、彼を少しばかりセンチメンタルにしているのだろうか。首を傾げた七瀬の背中と頭を、優しく叩いてさあ行こうか、と促した。
ちょうどよい時間に訪れたらしい。人気のカフェに客の姿はまばらだ。応対するホールスタッフが微笑とともに教えてくれたところでは、ちょうど人波の穴を突く時間帯だという。
「そういえば、『Un ange passe』ってどういう意味ですか?」
「それね。フランス語のことわざらしいよぉ」
明るく清潔感あるフロアの窓際へ腰を落ち着けながら、ウォルターはクリーム色の光を浴びて言った。
「天使が通りすぎる、って意味だって」
「天使……」
今のウォルターさんみたいだ、と七瀬は思ったが脳裏に言葉を起こすといささか気恥ずかしく、口にするのは止しておいた。
「楽しくも雑多な、気の置けない間柄の友人たちが談笑に興じたり、あるいは卓を囲んだ哲学者たちの熱のこもった議論かもしれない。そこへふわりと、天使が通りすぎていくわけさ」
きっと純白の翼だろう。それを一つ大きくはためかせると、卓の中央につまさきを一瞬乗せて再び舞い上がり、天へと去ってゆく。
その刹那に訪れる沈黙につけられた名を、オーナーは店名に拝借したらしい。
「天使が目の前を、ですか」
「そう。思わず見とれて黙りこくってしまう、その瞬間の得も言われぬ安堵や心地よさを……」
はたとウォルターは口を止め、窓の向こう、テラスの先の美しく整えられた石庭を見つめた。そこに何かがいるのか。七瀬には見えない誰かを、そう、通りすがる天使の美しき純白に惹き込まれているのか。
「……ってな感じかねぇ」
「は~、なるほど」
おどけて肩をすくめた彼とふと真っすぐに見つめ合って、やがて吹き出した。
カフェの景観に並んで人気だというローストビーフサンドを、ウォルターとシェアして食べる。
「おー、ジューシィ! これは、みんながこぞって食べにくるのも納得。美味いねぇ」
「ですねえ。それで……何が違うんですか?」
「うん?」
「最近の星ヶ丘」
いささか唐突だったか。七瀬は尋ねずにいられなかった。先ほどからずっと、機を窺っていたのだ。
彼はローストビーフサンドをほおばろうとしていた口をぱくんと閉じて、少し考え込んだ後、再び口を開いた。
「この街は少し、故郷に似ていてね。ロンドンあたりに比べれば、いくらか洒脱かな? とはいえまあ、肌に馴染んでね」
七瀬は黙して続きを待つ。彼は少し意識して、言葉を選んでいるようだった。
「ただ……そうだなぁ。僕は僕だし、ブラックウッド家の人間でもあるし、けれどそれでいて今は、寝子島の住人であることも気に入ってる。教師であることもね」
「はい」
「近頃は友だちと呼べる人たちと過ごすことも増えた。そんな時にふと、ね。感じることがあるのさ」
彼らとの気軽なやりとりの中に、価値観の隔たりを覚えることがあるのだそうだ。ハイ・ソサエティに連なる家柄、身分、自身の中へ育まれた感性がゆえに、そんなものが気になってしまう。寝子島の気風にあっては些事であろうに。
そう語り、彼はふうと小さくため息をついた。
「星ヶ丘は馴染む。馴染むからこそ、親しくなった人々や、君や……距離感に惑うことがあってねぇ。ま、時々ね。気にすることじゃないと、分かってはいるんだけど」
「大丈夫ですよ! ウォルターさん」
気づいた時にはそう告げていた。
「ウォルターさんと歩いて、僕も星ヶ丘が好きになりました。ウォルターさんと同じくらいに。だからきっと、大丈夫です」
深い思慮あってのことではなかった。
しかし、まさしく天使が通りすぎたその瞬間に、七瀬が心から浮かべた笑みは確かに、彼の朗らかな面持ちを誘ったのだ。
その後は言葉少なに、けれど何とも穏やかでいい気分で、コーヒーの深い味わいを楽しんだ。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
網 透介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年08月30日
参加申し込みの期限
2023年09月06日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年09月06日 11時00分
参加キャラクター一覧
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