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3月、お別れの季節
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一陽来福。冬至の日には、カボチャを食べて
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鴻上 彰尋
の冬休みは慌ただしかった。
進路は早々に決まったので受験勉強からは解放されているのだが、その分、家のことがある。母子家庭で母と兄が働いている鴻上家では自然、冬休みの弟妹の相手から、掃除、食事の支度など、家事育児といったジャンルの事柄の大半が、彰尋の担当になっている。と言っても、遊びたいのにしぶしぶやっているわけではなく、彰尋は家の中のことを大切にやりたい方だった。
今日は冬至ということで、彰尋は台所でカボチャのいとこ煮を作っていた。
この料理は冬至の定番で、あずきとカボチャを甘しょっぱく煮付けたものだが、同時に鍋に入れたのでは出来上がらない。煮えにくいあずきを先に煮ておかなければいけないのだ。おいおい煮る、から、甥々……甥と甥だからいとこ、ということらしい。昔の人のダジャレ力には恐れ入る。
鴻上家のいとこ煮はさらにすこし特別で、もとはといえば舞台役者をしていた祖父の家にいた家政婦さんが作っていた味だ。あの味がうちの味、と今の家でも彰尋が味を変えずに作っている。
「今日の夕飯はカボチャのいとこ煮と合わせて、体が温まるようなうどんも作ろうかな」
冷蔵庫を覗いて、足りない食材とお風呂に浮かべる柚子を思い浮かべる。
すこしの間なら弟妹たちも留守番できるだろう。
彰尋はエプロンを脱ぎ、買い物に出ることにした。
「……冬至に合わせた『一陽来福フェア』なんてやってたんだ」
参道商店街に足を延ばした彰尋は、カボチャだらけに変身した通りの様子に目を瞠った。
買うべきものは買ったが、すこしそぞろ歩いてみたい気分になる。
自然と足を向けたのは、商店街の入り口から1本路地を入った先にある雑貨店『memoria』。幾度か訪れたことがある素敵な店だ。
「こんにちは。ああ、ここもカボチャのフェアをしているんですね」
顔なじみになっている店主の密架に挨拶をし、彰尋は店内を見て回る。
「『カボチャ猫フィギュア』?」
「それ売れ筋なのよ。ここに来た人がみんな買っていくくらい」
「そうなんですか。じゃあ俺も運試しで」
一つ買って開けてみる。
ハート形のカボチャを抱えた猫だ。
「あらすごい。それシークレットよ」
覗き込んだ密架が拍手したので、特別なものを引き当てたのだと彰尋にもわかった。
「なにかいいことがあるかもしれないわね」
密架が秘密めいた笑みを浮かべて人差し指を唇に寄せたその瞬間、店のドアが開いた。
入って来たのは――
「え、あおいさん……!?」
彰尋は、
七夜 あおい
の顔と手の中のフィギュアを見比べる。
「幸運って、こんなにすぐに効果があるものなのか……?」
まさか密架の魔法?
いや、そんなことはあり得ない……と思うけれど……。
驚き顔で固まる彰尋。あおいのほうも彰尋との遭遇に驚いたようで、
「彰尋くん? まさかこんなところで会えるなんて。びっくりしちゃった」
と、微笑んだ。
あおいは今日は、蒼を基調とした薄手のセーターとフレアスカートといったコーディネートで、
水色に澄んだ三日月と、猫の目シーグラスのイヤリング
を付けていた。
彰尋が贈ったものだ。それに気づいて彰尋ははっとし、密架のほうを横目で伺う。
密架もあおいのイヤリングに気づいたようで、そっと自分の耳たぶを触って、言外に「
あのときのでしょう?
」と彰尋にだけわかるように伝えてきた。
彰尋は、あおいにバレないように目顔で「言わないで」と懇願する。
あおいを想って何時間も手間をかけてあのイヤリングを作り上げたことを、彰尋は知られたくなかった。
重たく思ってほしくなかった。
密架は軽く握った手を口元にあててくすくすと笑みをこぼしている。
ばれるかどうかは運次第よ、といわんばかりだ。
彰尋は戸惑った。
大切なこの店であおいと偶然会えたことは、素直に嬉しい。
けれど自分が必死になっていたことは知られたくない。
彰尋はあおいの手を取って、カボチャのキーホルダーのコーナーへ向かった。
「カボチャの馬車のキーホルダー、可愛いらしいね。幸運に向かっていくっていう感じがしない?」
「そうだね。……って、どうしたの? そんなに汗をかいて」
「どうしたんだろう。すこし暑くて」
冷や汗である。
と、そこに赤髪の青年が入って来た。
「喬」
密架が声をかけると、青年は仏頂面で、髪の水滴を払う。
「みぞれになって来たから撤収して来た。……あれ、それ」
青年――
中山 喬
が指差したのは、あおいの耳に揺れるイヤリングだ。
「あーっ、わーっ」
彰尋が喬の口を塞ごうとしたが遅かった。
「こいつがめちゃくちゃ真剣に作ってたやつ」
「えっ」
あおいは彰尋を振り返る。
彰尋は尋常じゃなく真っ赤になって、逸らした顔を手で覆った。
ばれた。居たたまれない。あおいの顔が見られない。
「彰尋くん」
あおいの声がやさしく耳朶を打つ。
「ありがとう」
あおいを見遣ると、彼女はにっこりと微笑んでいた。
「あ、そうだ。カボチャの馬車のキーホルダー、これください」
あおいは先ほど彰尋が可愛いと言っていたキーホルダーを2つ買い求めると、片方を彰尋に差し出した。
「私もお揃いで買ったよ。幸運に向かっていこう?」
一陽来復。
それは、幸運に転じる日。
振り返れば、密架がにこにこと見守っている。
喬は仏頂面のまま「なんなんだよ」と呟いて、店の奥に消えていった。
<了>
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あとがき
担当マスター:
笈地 行
/
寺岡志乃
ファンレターはマスターページから!
こんにちは。笈地行です。
ご参加いただいた皆様におかれましては、お待たせいたしました。
寺岡志乃マスターはご自身で書きたいという思いを持ち続けていらっしゃったと聞いていますが
現在、ご事情があって難しいということで、引き継がせていただきました。
アクションを拝見して思ったのは、
喫茶店『novitas』も雑貨店『memoria』も
ファンの方がいらっしゃる寝子島の大切なお店なんだなあということでした。
猫の目シーグラスのシナリオなどわたしも楽しく読ませていただいていたので
至らないなりに精いっぱい書かせていただきました。
お楽しみいただけたら幸いです。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
笈地 行
寺岡志乃
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年08月10日
参加申し込みの期限
2023年08月17日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年08月17日 11時00分
参加キャラクター一覧
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