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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
【クリスマス☆green】クリスマスキャロルを聴きながら
エピローグ～桜花寮でクリスマスパーティー
２５日、クリスマス当日。
平和な朝だ。まさかサンタさんにピンチがあったなんて、ふつうの人はこれっぽっちも分からないだろう。
ふつう代表と言ってもいい、寝子島高校・桜花寮の食堂では、パーティの飾り付けの最中である。
「英二くん。このクッキーも飾って」
野々 ののこが、脚立に乗ってクリスマスツリーの高いところに飾りつけする佐藤 英二に人の形をしたクッキーを差し出した。
「いいよ。イギリスのクリスマスお菓子だっけ」
「ジンジャーマンって言うんだって」
ジンジャーマンクッキーは寮母さんの発案で、寮生の希望者たちで作ったものである。カチカチで日持ちするクッキーで、透明の袋に入れてヒモを付けてある。イギリスでもツリーに飾られたりするらしい。ののこが作ったクッキーは、他のより目がくるくるっと大きくて、楽しそうな顔をしているのですぐわかる。
今日は桜花寮の食堂で、有志によるささやかなクリスマスパーティーが開かれる。恋人や家族と過ごすために寮を離れている人も多いので、参加者はそう多くはないが、それもまた悪くない。
会場の準備もみんなでやって、後片付けもみんなでやるパーティだが、その手作り感がわりと好きだ。
飾り付けが終わると、それぞれ好きな飲み物をマイカップに注ぐ。英二は烏龍茶。ののこはオレンジジュースだ。よく見ると、英二とののこのカップはお揃いで、『LUCK COMING』と黄色のロゴが入っている。
（野々さん……あの幻の江ノ島土産、使ってくれているんだ）
英二の心は、ほんのりと暖かくなる。
マグカップを持ったののこが立ち上がった。
「ではでは、ここは３年の私が、乾杯の音頭をひとつ！」
よっ、と囃し立てる声や、飲み会じゃないんだから、というツッコミが和やかに入りつつつ。
「メリークリスマス！ 乾杯！」
ののこに続いて、英二も、みんなも、カップを掲げる。
「えへへ、おいしそー」
ののこは寮母さんに頼んで作ってもらったチキン料理に目を輝かせていた。ケーキは、みんなで笑いながら切り分けていたら倒れたりしてしまったが、それもまたご愛敬だ。
「桜花寮のクリスマスパーティー、有志での開催だからこじんまりしてるけどアットホームで良いよね」
「そうだね」
ののこはチキンを頬張りながらご機嫌で相槌を打つ。
「僕たちは３年生だから桜花寮で過ごす最後のクリスマスになるね。留年しなければだけど」
「寂しいこと言わないでよ英二君。あーあ、私、ずっと寝子高生でいたい！ だって今が一番楽しいんだもん」
「その気持ち、わかるよ」
「わかってくれる？」
「うん。僕もそうだもの」
英二はケーキを頬張った。甘い。けれどこの甘さは、いつか終わってしまう。
そう思うと、いまがとても大切に思えて、いつまでも話していたい気分になる。
ののこと英二は、とりとめなく話し続けた。学校や寮の話題、クリスマスの話題、何、と言えないような曖昧模糊とした楽しいだけの会話。ののことだけではなく、桜花寮のみんなとも。
桜花寮暮らしの桜井 ラッセル、響 蒼留人、水上 桜らも顔を出した。
「お、何やってんの」
「パーティか。俺もチキン貰ってもいいか」
「ゆうべの豪華客船もすごかったけれど、桜花寮のパーティは等身大でほっとするわね」
彼らはお開きの時間になるまで、食べて、話して、歌って、スマホで記念撮影もして、とても楽しい時間を過ごした。
「英二君」
「うん？」
「これあげる」
ののこは、ツリーに飾ってあったジンジャーマンクッキーを英二に差し出した。目がくるくるとした子だ。
「これ、野々さんが作った……」
「うん。いつかのマグカップのお礼。えーっとね、たしか、これ食べると元気になれるって！」
ののこは、ジンジャーマンと同じようにくるくると輝く目をして英二の手にクッキーを握らせた。
英二は目を丸くして、クッキーとののこを交互に見る。
「ありがとう」
「今日は楽しかったね！」
「よかった」
英二は手の中のクッキーを見つめた。食べないでずっと取っておきたいな、と思いながら。
＜了＞
２５日、クリスマス当日。
平和な朝だ。まさかサンタさんにピンチがあったなんて、ふつうの人はこれっぽっちも分からないだろう。
ふつう代表と言ってもいい、寝子島高校・桜花寮の食堂では、パーティの飾り付けの最中である。
「英二くん。このクッキーも飾って」
野々 ののこが、脚立に乗ってクリスマスツリーの高いところに飾りつけする佐藤 英二に人の形をしたクッキーを差し出した。
「いいよ。イギリスのクリスマスお菓子だっけ」
「ジンジャーマンって言うんだって」
ジンジャーマンクッキーは寮母さんの発案で、寮生の希望者たちで作ったものである。カチカチで日持ちするクッキーで、透明の袋に入れてヒモを付けてある。イギリスでもツリーに飾られたりするらしい。ののこが作ったクッキーは、他のより目がくるくるっと大きくて、楽しそうな顔をしているのですぐわかる。
今日は桜花寮の食堂で、有志によるささやかなクリスマスパーティーが開かれる。恋人や家族と過ごすために寮を離れている人も多いので、参加者はそう多くはないが、それもまた悪くない。
会場の準備もみんなでやって、後片付けもみんなでやるパーティだが、その手作り感がわりと好きだ。
飾り付けが終わると、それぞれ好きな飲み物をマイカップに注ぐ。英二は烏龍茶。ののこはオレンジジュースだ。よく見ると、英二とののこのカップはお揃いで、『LUCK COMING』と黄色のロゴが入っている。
（野々さん……あの幻の江ノ島土産、使ってくれているんだ）
英二の心は、ほんのりと暖かくなる。
マグカップを持ったののこが立ち上がった。
「ではでは、ここは３年の私が、乾杯の音頭をひとつ！」
よっ、と囃し立てる声や、飲み会じゃないんだから、というツッコミが和やかに入りつつつ。
「メリークリスマス！ 乾杯！」
ののこに続いて、英二も、みんなも、カップを掲げる。
「えへへ、おいしそー」
ののこは寮母さんに頼んで作ってもらったチキン料理に目を輝かせていた。ケーキは、みんなで笑いながら切り分けていたら倒れたりしてしまったが、それもまたご愛敬だ。
「そうだね」
ののこはチキンを頬張りながらご機嫌で相槌を打つ。
「僕たちは３年生だから桜花寮で過ごす最後のクリスマスになるね。留年しなければだけど」
「寂しいこと言わないでよ英二君。あーあ、私、ずっと寝子高生でいたい！ だって今が一番楽しいんだもん」
「その気持ち、わかるよ」
「わかってくれる？」
「うん。僕もそうだもの」
英二はケーキを頬張った。甘い。けれどこの甘さは、いつか終わってしまう。
そう思うと、いまがとても大切に思えて、いつまでも話していたい気分になる。
ののこと英二は、とりとめなく話し続けた。学校や寮の話題、クリスマスの話題、何、と言えないような曖昧模糊とした楽しいだけの会話。ののことだけではなく、桜花寮のみんなとも。
桜花寮暮らしの桜井 ラッセル、響 蒼留人、水上 桜らも顔を出した。
「お、何やってんの」
「パーティか。俺もチキン貰ってもいいか」
「ゆうべの豪華客船もすごかったけれど、桜花寮のパーティは等身大でほっとするわね」
彼らはお開きの時間になるまで、食べて、話して、歌って、スマホで記念撮影もして、とても楽しい時間を過ごした。
「英二君」
「うん？」
「これあげる」
ののこは、ツリーに飾ってあったジンジャーマンクッキーを英二に差し出した。目がくるくるとした子だ。
「これ、野々さんが作った……」
「うん。いつかのマグカップのお礼。えーっとね、たしか、これ食べると元気になれるって！」
ののこは、ジンジャーマンと同じようにくるくると輝く目をして英二の手にクッキーを握らせた。
英二は目を丸くして、クッキーとののこを交互に見る。
「ありがとう」
「今日は楽しかったね！」
「よかった」
英二は手の中のクッキーを見つめた。食べないでずっと取っておきたいな、と思いながら。
あとがき
担当マスター：
笈地 行
ファンレターはマスターページから！
ご参加ありがとうございます。笈地です。
今年は本当に暑い夏でしたね。
真夏の暑い盛りに、毎日毎日クリスマスを書いていました。笑
さまざまなクリスマス、いかがでしたでしょうか。
クリぼっち生き霊さんたちのシーンを最後に書いたのですが
久々にコメディっぽく書けて楽しかったです。
サンタさんも無事お仕事に戻ることができたので、来年も来てくれることでしょう。
それではまた別のシナリオでお会いしましょう。笈地でした。
今年は本当に暑い夏でしたね。
真夏の暑い盛りに、毎日毎日クリスマスを書いていました。笑
さまざまなクリスマス、いかがでしたでしょうか。
クリぼっち生き霊さんたちのシーンを最後に書いたのですが
久々にコメディっぽく書けて楽しかったです。
サンタさんも無事お仕事に戻ることができたので、来年も来てくれることでしょう。
それではまた別のシナリオでお会いしましょう。笈地でした。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2023年07月31日
- 参加申し込みの期限
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- 2023年08月07日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2023年08月07日 11時00分
