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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
あなたと名もなきひと時を
【ふんわりほわほわ】
型へふわふわクリーム状となった生地を流し込んだら、いよいよ焼き上げていきます。オーブントースターの出番です。
「予熱はばっちりですね」
「どのくらい焼くんだい？」
「２５分くらいだそうです」
すでにあたたまっているオーブンへ型二つ分の生地を入れたら、スイッチオン。焼き上がるまで、しばし待機です。
赤く熱された内部を小窓から覗くウォルターを横目に、七瀬は買い揃えておいた材料の中から、最後の行程に必要なあれこれを取り出します。
「あ、焼けたら終わりじゃないんだねぇ」
「はい。せっかくなので、デコレーションしましょう！」
キッチンにずらり並んだ、チョコペン。色とりどりのカラーシュガー。定番のバタークリーム。フルーツ類。その他、アイシング用の材料をいくつも用意しました。
先ほど使ったボウルを洗って、再びまぜまぜタイムです。
「シュガーパウダーに牛乳、レモン汁。食用色素は何色かあるので、全部作りましょう」
「いいねぇ、カラフルで」
子どものような彼のわくわく感が、七瀬にも伝わってくるようです。
ボウルに投入した材料を混ぜ込み、ちょうどいい固さになったら、三角に折ったオーブンシートをくるりと巻いて、混ぜたものを中へ入れていきます。上部をテープでとめ、先端をハサミでちょきんとやれば、即席アイシングペンのできあがり！
「すぐに使えるアイシングペンも売ってるんですけど、せっかくですし、作りたいなと思って。ウォルターさんといっしょに……」
「いーんじゃない？」
不器用なりに作業するウォルターも、その過程を楽しんでいる様子。
「こういうの、あまりやらないけどねぇ。けっこう楽しいよ……あ」
「？」
ふいに、七瀬へ伸びるウォルターの指。頬に触れた瞬間、思わずぴくりと跳ねてしまいました。
「ついてるよぉ」
拭う指には、青いアイシング。それを彼がぺろりと舐めたものだから、七瀬の頬はちょっぴり熱くなってしまいました。
そうこうするうち、オーブンがチーンッと鳴って焼き上がりを知らせてくれました。
「お～。焼けた焼けた」
「ふわふわですねー」
「うん。美味そうだ」
型から外すと、ふんわりふかふか。まあるくって可愛らしいケーキがぽこぽこぽこん。初めてながら、少なくとも見た目はいい出来です。
「それじゃ、デコレーションを」
「おっけ～。どんなのでもいいの？」
「僕はウォルターさんへプレゼントするつもりでデコレーションするので。ウォルターさんも、誰かに贈るつもりでやってみたらどうでしょう」
「ふむ。なるほどねぇ」
といって七瀬はカップケーキのひとつを取り、イエローに色づけしたバタークリームを絞り出します。レモン好きなウォルター用に、レモンイエローなクリームでデコレーション！ トッピングにいちょう切りにしたレモンも添えてみました。なんてさわやかな出来ばえでしょう。
「いい感じです」
「う～む？ 案外難しいねぇこれは」
悪戦苦闘しているのはウォルター。チョコペンでなにか、絵を描こうとしているようです。
「よっ。ほっ。お、できたできた！ どうだい？ これ」
「これは……なんでしょう？」
思わず首をひねる七瀬。チョコで描いた茶色のぐるぐるがたくさん……ぴょこぴょこ下を向いているのは、四本の足？ 頭らしいところからは耳っぽいのが垂れ下がり、緑のアイシングでちょんちょん、と置かれた点は目でしょうか。
ますます首の傾きが深まる七瀬。
「…………犬？」
「当たり！ トイプードルだよぉ」
「あ、合ってましたか。でもなんでまたトイプーですか？」
にか、と白い歯を見せて、ウォルターは可笑しそうに目を細めます。
「誰かさんに似てると思ってねぇ」
飼い主をつぶらな瞳で見上げるわんこのように、七瀬は彼を見上げてぱちぱち、目をしばたかせました。
やがてテーブルに、ずらずらり。並んだカップケーキは色とりどりでカラフル！ 自作したアイシングの発色の良さが楽しくて、ふたりしてスマホで写真を撮ったりしました。
「さて、じゃあ食べてみよっかぁ」
「そうですね。いただきますー」
「いただきます」
ぱくり。かぶりついた瞬間、ふんわりほわほわ！ やわらか食感にクリームの濃厚な甘みがベストマッチ。アイシングのほのかな酸味もいいアクセントです。
「！ これは……」
「うん、なかなか上手くいったんじゃない？」
ウォルターもぱくり、ぱくん。あっという間にひとつを食べてしまい、さっそく二個目に手を伸ばしております。
「生地のふんわり感が楽しいし、このバタークリームの甘さがまた、合うねぇ」
「美味しいですね、ウォルターさん！」
「初めてにしては良くできたよねぇ」
シロウトふたりのお菓子作り。第一回目はこれが案外、大成功！ 本番に向けて、よいスタートとすることができたようです。
型へふわふわクリーム状となった生地を流し込んだら、いよいよ焼き上げていきます。オーブントースターの出番です。
「予熱はばっちりですね」
「どのくらい焼くんだい？」
「２５分くらいだそうです」
すでにあたたまっているオーブンへ型二つ分の生地を入れたら、スイッチオン。焼き上がるまで、しばし待機です。
赤く熱された内部を小窓から覗くウォルターを横目に、七瀬は買い揃えておいた材料の中から、最後の行程に必要なあれこれを取り出します。
「あ、焼けたら終わりじゃないんだねぇ」
「はい。せっかくなので、デコレーションしましょう！」
キッチンにずらり並んだ、チョコペン。色とりどりのカラーシュガー。定番のバタークリーム。フルーツ類。その他、アイシング用の材料をいくつも用意しました。
先ほど使ったボウルを洗って、再びまぜまぜタイムです。
「シュガーパウダーに牛乳、レモン汁。食用色素は何色かあるので、全部作りましょう」
「いいねぇ、カラフルで」
子どものような彼のわくわく感が、七瀬にも伝わってくるようです。
ボウルに投入した材料を混ぜ込み、ちょうどいい固さになったら、三角に折ったオーブンシートをくるりと巻いて、混ぜたものを中へ入れていきます。上部をテープでとめ、先端をハサミでちょきんとやれば、即席アイシングペンのできあがり！
「すぐに使えるアイシングペンも売ってるんですけど、せっかくですし、作りたいなと思って。ウォルターさんといっしょに……」
「いーんじゃない？」
不器用なりに作業するウォルターも、その過程を楽しんでいる様子。
「こういうの、あまりやらないけどねぇ。けっこう楽しいよ……あ」
「？」
ふいに、七瀬へ伸びるウォルターの指。頬に触れた瞬間、思わずぴくりと跳ねてしまいました。
「ついてるよぉ」
拭う指には、青いアイシング。それを彼がぺろりと舐めたものだから、七瀬の頬はちょっぴり熱くなってしまいました。
そうこうするうち、オーブンがチーンッと鳴って焼き上がりを知らせてくれました。
「お～。焼けた焼けた」
「ふわふわですねー」
「うん。美味そうだ」
型から外すと、ふんわりふかふか。まあるくって可愛らしいケーキがぽこぽこぽこん。初めてながら、少なくとも見た目はいい出来です。
「それじゃ、デコレーションを」
「おっけ～。どんなのでもいいの？」
「僕はウォルターさんへプレゼントするつもりでデコレーションするので。ウォルターさんも、誰かに贈るつもりでやってみたらどうでしょう」
「ふむ。なるほどねぇ」
といって七瀬はカップケーキのひとつを取り、イエローに色づけしたバタークリームを絞り出します。レモン好きなウォルター用に、レモンイエローなクリームでデコレーション！ トッピングにいちょう切りにしたレモンも添えてみました。なんてさわやかな出来ばえでしょう。
「いい感じです」
「う～む？ 案外難しいねぇこれは」
悪戦苦闘しているのはウォルター。チョコペンでなにか、絵を描こうとしているようです。
「よっ。ほっ。お、できたできた！ どうだい？ これ」
「これは……なんでしょう？」
思わず首をひねる七瀬。チョコで描いた茶色のぐるぐるがたくさん……ぴょこぴょこ下を向いているのは、四本の足？ 頭らしいところからは耳っぽいのが垂れ下がり、緑のアイシングでちょんちょん、と置かれた点は目でしょうか。
ますます首の傾きが深まる七瀬。
「…………犬？」
「当たり！ トイプードルだよぉ」
「あ、合ってましたか。でもなんでまたトイプーですか？」
にか、と白い歯を見せて、ウォルターは可笑しそうに目を細めます。
「誰かさんに似てると思ってねぇ」
飼い主をつぶらな瞳で見上げるわんこのように、七瀬は彼を見上げてぱちぱち、目をしばたかせました。
やがてテーブルに、ずらずらり。並んだカップケーキは色とりどりでカラフル！ 自作したアイシングの発色の良さが楽しくて、ふたりしてスマホで写真を撮ったりしました。
「さて、じゃあ食べてみよっかぁ」
「そうですね。いただきますー」
「いただきます」
ぱくり。かぶりついた瞬間、ふんわりほわほわ！ やわらか食感にクリームの濃厚な甘みがベストマッチ。アイシングのほのかな酸味もいいアクセントです。
「！ これは……」
「うん、なかなか上手くいったんじゃない？」
ウォルターもぱくり、ぱくん。あっという間にひとつを食べてしまい、さっそく二個目に手を伸ばしております。
「生地のふんわり感が楽しいし、このバタークリームの甘さがまた、合うねぇ」
「美味しいですね、ウォルターさん！」
「初めてにしては良くできたよねぇ」
シロウトふたりのお菓子作り。第一回目はこれが案外、大成功！ 本番に向けて、よいスタートとすることができたようです。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2023年07月03日
- 参加申し込みの期限
-
- 2023年07月10日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2023年07月10日 11時00分
