気が早いと言われればそうでしょう。今は12月。
倉前 七瀬が見据えているのは2月の半ば、まだまだ先のこと。
とはいえ、準備に時間をかけて悪いこともないはず。こだわってこだわって凝って凝り抜いて、時間をかけたその分、良いものを作れるようになればいいのです。
「うん。善は急げと言いますし」
彼は、
受け取ってくれると言いました。もし出来が悪かったとしても……なんて安請け合いもいいところです。もちろん、気安い間柄のなせるワザではありましょう。
それでも彼には、
ウォルター・ブラックウッドには、会心の一品を贈りたい。喜んでもらいたい!
そのために費やせる時の余裕があることに、むしろ感謝をすべきと七瀬は思うことにします。
挑むのは彼をうならせるような絶品チョコレートづくり。
勝負の時はもちろん、2月14日。バレンタインデー!
「……しかし、ふーむ」
と、気合を入れたはいいものの。正直なところ、七瀬の料理の腕前は実にフツーでありました。
いえ、知識だけは豊富です。普段からジャンルを問わずに読み漁る本たちの中には、時にレシピ本や食材・調理法にまつわるうんちく本、東洋・西洋の料理史について述べた学術書だったり、著名な料理研究家のエッセイなんかも含まれていたりしますから、例えばこんな料理を作りたい、あんなお菓子をこしらえたいとイメージは尽きず、必要な工程さえも仔細に思い描くことができました……ただ、それらを実現するための技術が伴わないのが致命的ではありますけれど。
七瀬は考えます。
腕前はまあ、時間と数をこなしてある程度、伸ばすことはできるでしょう。できるはず、自分がそれほどに不器用だとも思えません。幸いにしてバレンタインまであと三か月弱はありますから、きっと間に合うはず。たぶん。
それはそれとして、せっかく作るのなら、やっぱりお味は彼好みのものにしたいところ。
七瀬にとっての泣き所はそれで、つまりウォルターならばいかなるチョコレイトをご所望か? というあたりが、本では知ることのできない大いなる謎なのでした。
「謎、って程でもないけれど」
直接聞いてみる? まあそれもよし。しかしながらどうだろう、いささか風情に欠けるのではなかろうか?
首をひねったところで、ぴーん! 七瀬は思いつきました。閃きました。これはまさしく、バッチグーな誘い文句ではなかろうか?
しばしの後、七瀬は敬愛するただひとりのウォルターへと電話をかけると、声高に告げたのでした。
「たまにはウォルター先生も、僕に手料理を振る舞うべきです! いっしょに練習しましょう!」
『なんて?』
強引もよし。リクツなど後からくっつければよいのです。
その証に彼は、明るい声で笑いました。
『ま、いいよぉ。楽しそうだしね。いっしょに作ろうか』
「はい!」
彼と過ごすひと時に名前はなく、彼と自身の間柄さえ、なんと呼ぶやら。
けれど名もなきこと、その奔放な想いの広がりをこそ、七瀬は胸へと大切に抱きました。
墨谷幽です。よろしくお願いいたします~。
倉前 七瀬さん、プライベートシナリオの申請、まことにありがとうございます!
大変お待たせしまして申し訳ありません。
ガイドのイメージによらず、どうぞご自由にアクションをおかけくださいませ。
このシナリオの概要
ウォルターさんといっしょにお料理を作るお話です。
その過程で、楽しく会話が弾んだり。バレンタインデーに向けて、料理スキルの向上に努めたり。
あるいは、ウォルターさんのお好みについて、あれこれ知ることにもつながることでしょう。
舞台は、キッチンがあればどこでもOK。
倉前さんのマンション、ウォルターさんの自宅、クッキングスタジオで著名料理家による料理教室、
チョコづくりのワークショップなどなど、お好きな場所でどうぞ。
作るメニューも、チョコレートはもちろん、それ以外のものでも大丈夫です。
どんな料理でも、ウォルターさんは快く付き合ってくれるでしょう。
ふたりでのお料理を通じて、どうぞ自由な発想でお楽しみください~。
NPCについて
NPCは、登録済みのキャラクターでしたら誰でも登場可能です。
また、墨谷のシナリオに登場したNPCでしたら、登録・未登録問わず登場OKです。
ただし、不自然でないシチュエーションに限ります。登場が難しい場合もありますので、ご了承ください。
こんなNPCと絡んでみたい、なんてリクエストがありましたら、お気軽にご指定ください。
細かく指定もOKですし、マスターにおまかせもOK。
Xキャラクターも登場可能です。
口調などのキャラクター設定は、アクションに記載してください。
Xキャラ図鑑に書き込まれている内容は、そのURLだけ書いていただければ大丈夫です。
以上になります。
それでは、ご参加お待ちしております~!