六月三番目の日曜に｜リアクション

六月三番目の日曜に

◆父の日のプレゼント

雨の降り注ぐ海の上を、調査船『あじしお』は往く。
サイクロンの影響で漁船が難破した、現地の漁師二名を束の間の客として。
副船長を務める雨崎圭太に、漁師たちは礼を言うとともに身分証明書を見せた。
入っていた財布の中に、彼らに似た――しかし、ずっと小さな誰かの写った写真が入っているのに、圭太は気付く。
「……それ、お子さんの写真ですか」
頷き、照れくさそうに二人は笑う。
聞けば、一人の一番上の子供は今年で十六になるのだとか。もう一人はまだ一人目ができたばかりで、十にもなっていないらしい。
そんな話を聞いて微笑ましい気持ちになると同時に、彼らを救助できたことに心の内で安堵する。
子供たちに悲しい気持ちを味わわせることにならなくて、本当に良かった。
圭太に子供は居ないのかと、二人が問う。
「私も子供が居ます」
部屋にある写真を見せる。すると当然というべきか子供の話にまた花が咲き、
「……うちは、上はもう十五歳になりますね。この春、高校にあがったばかりで」
強面の圭太の口元にも、微かに笑みが浮かぶ。
他にも写真があるんです、と携帯を取り出して。今朝方届いていたメール、その添付画像を二人に見せた。
「これは娘たちです。みな仲が良くて。それに誰かの誕生日でもないのに今朝、メールで集合写真を送ってきましてね……」
いい子供達じゃないかと、二人の漁師は笑いかける。
「ええ、自慢の子供達ですよ」
誇らしげに、胸を張った。

雨上がりの美しい虹が、夕焼け空にかかっている。
船長が有名なロマン派詩人の詩を口ずさむ中、船は湾港へ寄港した。
漁師たちと、既に連絡を受けてやって来ていた彼らの家族、子供たちが再会する。
無事なことは伝わっていたはずだが、やはり実際にその目で確認するまでは安心しきれなかったのだろう。
ひしと強く抱き合う姿に感動し、圭太は頬を涙で濡らす。
そんな彼に、船員の一人が言う。
「今日は父の日ですよ、彼らに良いプレゼントをしてあげられましたね」
その言葉で、圭太はようやく父の日だと気付いた。
今朝方届いた、集合写真の意味にも。
「……ああ、そうだな」
気づくと、漁師たちとその家族がこちらに手を振っていた。
涙を拭いて手を振り返し、圭太は一つ考える。
今日ぐらい、家族と長電話をしよう。

――せっかくの父の日なのだから、と。

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あとがき

担当マスター：風雅宿
ファンレターはマスターページから！

ご参加いただいた全てのキャラクター、そしてプレイヤーの皆さんに感謝を。
父の日にかける思いが様々な形で込められたアクションをありがとうございました。
満足頂けるリアクションとなっていれば幸いです。

ガイド内での時間の制約（父の日の日の出～日没）に合わせて、時間が変更されたアクションもございます。
また今回は、皆さんのアクションの雰囲気を重視させて頂いた結果、GAを除く交流が殆ど無いリアクションともなりました。
これらの点については、どうかご了承ください。

またリアクションの完成が遅れてしまい、大変申し訳ありませんでした。

最後に重ねて、ご参加いただいた皆様に感謝を。
このような拙い私ですが、またご縁がございましたら他のガイドにて。

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