【球技大会】冬の熱き決戦！｜リアクション

【球技大会】冬の熱き決戦！

＜３年２組　VS　３年８組　ソフトボール＞

（卓球もソフトボールも得意ではないけど、ソフトボールなら何となくルールを理解しているし）
　というわけで、青山絢はソフトボールに出場した。
「相手は３年２組ね」

「あっ、英二くん応援に来てくれたんだ！」
　野々ののこが佐藤英二に手を振る。
「僕が出る試合にはまだ間があるからね。ソフトボールを応援に来たよ。野々さん、ポジションは？」
「ライトだよー。頑張るから応援してね！」
「僕はセンターだから、同じ外野だね。うん、頑張って」
（応援はもちろん真剣にするつもりだけど、できたら野々さんの笑顔が見られたらいいな）
　そう思う英二だった。

　２組の先攻でゲームが始まった。
　外野の絢は、飛んできたボールをなんとか処理する。
（うちのピッチャーは打たせて取るタイプだから、守備を頑張らないと）
　あっさり攻撃が終わり、次は８組の攻撃だ。
「みんな頑張れー！」
　英二は、ののこだけでなくクラスのみんなをしっかりと応援する。
　ボールがライトに転がり、はらはらしながら見守っていると。
「やった、取れたー！」
　ボールに追いついたののこが笑顔でグラブを上げる。
　はっきりとは顔は見えない距離だけど、ののこの明るい笑顔はしっかり目に浮かぶ。
　
　やがて２組が得点して、８組はピッチャー交代。
　その後回ってきた打順でののこは空振りの三振だった。
「どんまい！　野々さん」
　英二が声を上げる。
　ののこは苦笑しながらバッターボックスを去った。
　
　次の回、絢の前にランナーが出た。
（ここはバントね）
　当てるだけならなんとか、と挑戦してみる。
　コン！
　ボールはうまく転がり送りバントに成功した。
「なんとかなったわ。このままホームに帰ってくれれば……」
　しかし、次の打席で惜しくもランナーは刺されてしまい、ホームに戻ることはかなわなかった。

　試合終了。
「やったあ！」
　２組のみんなが声を上げる。
　英二は、満面の笑みでガッツポーズを見せるののこに手を振るのだった。

　一方絢のクラスでは、困った事態が起きていた。
　体調不良で真っ青な顔をした生徒が保健室へ連れていかれようとしている。
　だが彼女は悲鳴のような声をあげた。
「放送部で、実況しなきゃならないの……誰か代わりを……」
「困ったわね……そうだ、絢さんに頼みましょうよ」
「えっ？」
　急な話で絢は面食らったが。
「こないだの寝子祭の司会、良かったわよ。あれなら実況もいけるって」
「まあ、バニースーツを着るわけじゃないからいけるとは思うけど……」
　結局引き受けることになった。