【球技大会】冬の熱き決戦！｜リアクション

【球技大会】冬の熱き決戦！

〇大会前

　競技発表を知るやいなや、八神修は動き出した。
「卓球男女混合ダブルスにペアで出ないか」
　まっすぐに七夜あおいの下へ行きそう訊いたのだ。
「えっと……修君、野球はいいの？　前に出たことあったよね」
　あまりに早い誘いにちょっとぽかんとした様子のあおいに、修は頷く。
「最後の大会だから、あおいと一緒に楽しみたい。受けてくれたら嬉しい」
　あおいから誘ってもらえたら嬉しいが、待っていたりしたらあおいが迷って別の選択をしないとも限らない。
　じっと見つめる修に、あおいは笑みを向けた。
「いいよ。体育は得意だし、頑張るね」
「ああ、あおいが一緒に頑張ってくれるなら百人力だ」
　修は笑顔になった。
「よし、そうと決まれば練習だ。ダブルスは連携が大事だし練度も上げたい。ので、放課後を活用して練習に励みたい」
「えっ？　修君、勉強は？」
　勉強大好きな修の言葉に、あおいは目を丸くした。
「受験勉強？　帰ってから頑張るよ」
　修の中では両立に矛盾はないらしい。
「出来るように努力する。それが俺。受験に関係なくてもだね」
「修君らしいね」
　あおいの笑みに、修は少し照れた顔になった。

　それから練習が始まった。
　級友たちを対戦相手に連携を高めたり。
「あおいとも対戦練習をしよう。練度を高めるためにね」
「そうだね、修君ともやってみたい」　
　真剣な練習だったが、持ち寄った飲み物やオヤツを楽しんだり、幸せな時間だった。
　クラスでお揃いの鉢巻きを配布されたとき、修はあおいに言った。
「提案があるんだ」

　有沢茉奈も、早々に出場競技を決めた。
「卓球よ。走り回らなくて済むし屋内だからそんなに寒くないのがありがたい……」
「あ、そういう理由？」　
　納得しそうになった友達の水上桜の顔の前で、茉奈は指を振る。
「なんて、今のは冗談。小学生のころ、卓球に熱中してたのよ。これでも多少はいける方だよ？」
「そうなんだ？」
「中学に入ってからは卓球よりおしゃれの方に目覚めて、それから友達が何人か彼氏できたりしてあたしも羨ましくなって……」
「あー、はいはい」
　以下よく知る話が続きそうなところを桜がとどめて。
「私は球技は実はそんなに得意じゃないんだよね……ソフトボールにしようかな」

　というわけで、試合前の１週間ほど、茉奈は練習に練習を重ねた。
「段々とカンも取り戻したし、今でもイケるんじゃない？」
　そして彼氏の閑野カノンに「応援に来てね」とお誘いのＮＹＡＩＮＥを送った。
（年末だから忙しくて来れないかも……）
　そう思いつつ、どこかで期待している。

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