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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
ボディタッチ日和オブウィンター
（碧南先輩は、私のものなのに……！）
嫉妬の炎は燃え上がった。浅見 柚乃は奥歯をかみしめる。夏のインターハイ、あの決勝戦。最高潮の昂りからの敗北。結果は結果だ、仕方がない。やるだけやった、悔しさは耐えがたいほどだったが、羽生 碧南の腕に抱き締められ、慰められれば乗りこえられると思った。そうであれば、次の世代として寝子高女子バスケットボール部を迷いなく率いてゆく覚悟が定まったことだろう。
しかし涙を呑んだ準優勝、碧南の腕の中にあったのは霧生 愛だった。
愛も碧南も泣いていた。一歩及ばなかった悔しさに感情が崩れたのは柚乃も同じだ。しかしそれ以上に、愛を抱きすくめ背中をなぞる碧南の姿にかき乱された。そこに収まるべきは自分であるはずなのに。
そんな激情が、形となって噴出したものだろうか。
「っ、碧南先輩……！」
「えっ。えっ？」
ぐいと手を引く。ちょうどいい、そこに公園があるではないか。今時分は子どもたちも遊びもひと段落した頃だ。無人だ。人目を気にする必要はない。
「柚乃、ちょっと何……を、ええっ！？」
正面から抱きすくめる。首筋へ舌を這わせる。少し汗っぽく、甘い味がした。止まれなかった。碧南の髪を指ですき、うなじをなぞり、肩を抱きよせ、背中から腰を撫でさする。
叫び声が上がった。
「碧南先輩に……何するのよ！」
愛は見ていた。夏のインターハイ、あの決勝戦。胸に痛い敗北。耐え切れず泣きじゃくる自分を碧南は優しく抱き寄せ、頑張ったね、良くやったね、惜しかったよねと慰めてくれた。
それを見つめる、柚乃の瞳。羨望と嫉妬、憎悪とも呼べそうな感情を涙ににじませながら、愛を睨んでいた。
柚乃の碧南への想いは知っている。何だかんだと近くで見ているから、痛いほど理解している。勝手にしてくれと思う。自分の抱く碧南への尊敬と柚乃の想いが干渉するわけではないのだから。
二人に挟まれ、針の筵のような自分にも、抑圧されるものはあったのかもしれない。その発露であったのだろうか。
「碧南先輩……碧南先輩っ」
「愛まで！？」
抗えない。しがみつく。自身の胸が碧南のやわらかさでつぶれる感触にたまらなくなり、碧南の手を取る。
「あっ！」
指を口に含む。舌を這わせる。舐めねぶる。
頬が紅潮し、頭が茹で上がるかのよう。柚乃も、碧南も同じ顔をしていた。人恋しくてたまらない、誰かにくっついていたい、くっついていなければどうにかなってしまいそうだ。
「邪魔……しないで！ 霧生！」
「浅見先輩こそっ……んんっ！？」
半ば噛みつくように、柚乃に唇を吸われた。熱く重い感情が、愛の身体の芯を貫いた。
公園の奥、トイレの裏手のちょっとした林の中へもつれこむ。
碧南は二人の暴走を止めようと手を伸ばす。制するつもりだったが、意に反して愛を抱き、柚乃にしがみついた。
「愛……柚乃……どうして、分かってくれないの。私は……私だって、二人のこと……大切なのに」
「碧南先輩、私も……先輩が！」
柚乃の手が碧南の胸元をまさぐる。下腹部へ向かい徐々に荒々しくなぞってゆくのは愛の指だ。
「浅見先輩は、いつもそう。自分勝手で、私のことなんて何も考えてくれなくて……」
「霧生こそ……！ 私の大切な場所を奪わないで！」
「そんなつもりない！ 先輩が勝手に……ああ、もう！ 先輩なんて嫌い！」
「嫌い嫌い嫌い、嫌い嫌い、あなたなんて嫌い……！」
言葉はもはや価値を生まなかった。
「仲良くしなきゃ、ダメよ？ 二人とも……ほら、こうやって……ね？」
「あ……っ」
「ああっ！？」
碧南の指が爪弾き、愛と柚乃は声を揃えて鳴った。お返しとばかり、両側から挟み込んで碧南をかき鳴らす。嬌声は首元を噛むことで抑え込む。あらぬ声を響かせ、邪魔を入れられたくはなかった。
何もかもが蕩けて、一つになってゆくかのよう。碧南は愛の唇を吸い、愛は柚乃を貪り、柚乃は二人の首筋へ噛み痕を残す。三人は循環した。止まらない。愛は碧南を、碧南を柚乃を、柚乃は愛を、碧南は柚乃を愛を。幾度も巡り巡る。
日が暮れるまで、衝動は荒れ狂った。
「…………ええと」
何か言おうとして、碧南は口をつぐんだ。記憶は鮮明で忘れがたく、身体の熱やついばみ合った痕跡さえ真新しく残されていたので。
「…………」
「…………」
「…………」
三人は乱れた制服を整えると、のろのろとして桜花寮へ歩き始めた。いずれも口を開くことなく、重苦しい夜のしじまがあたりを満たしていた。
嫉妬の炎は燃え上がった。浅見 柚乃は奥歯をかみしめる。夏のインターハイ、あの決勝戦。最高潮の昂りからの敗北。結果は結果だ、仕方がない。やるだけやった、悔しさは耐えがたいほどだったが、羽生 碧南の腕に抱き締められ、慰められれば乗りこえられると思った。そうであれば、次の世代として寝子高女子バスケットボール部を迷いなく率いてゆく覚悟が定まったことだろう。
しかし涙を呑んだ準優勝、碧南の腕の中にあったのは霧生 愛だった。
愛も碧南も泣いていた。一歩及ばなかった悔しさに感情が崩れたのは柚乃も同じだ。しかしそれ以上に、愛を抱きすくめ背中をなぞる碧南の姿にかき乱された。そこに収まるべきは自分であるはずなのに。
そんな激情が、形となって噴出したものだろうか。
「っ、碧南先輩……！」
「えっ。えっ？」
ぐいと手を引く。ちょうどいい、そこに公園があるではないか。今時分は子どもたちも遊びもひと段落した頃だ。無人だ。人目を気にする必要はない。
「柚乃、ちょっと何……を、ええっ！？」
正面から抱きすくめる。首筋へ舌を這わせる。少し汗っぽく、甘い味がした。止まれなかった。碧南の髪を指ですき、うなじをなぞり、肩を抱きよせ、背中から腰を撫でさする。
叫び声が上がった。
「碧南先輩に……何するのよ！」
愛は見ていた。夏のインターハイ、あの決勝戦。胸に痛い敗北。耐え切れず泣きじゃくる自分を碧南は優しく抱き寄せ、頑張ったね、良くやったね、惜しかったよねと慰めてくれた。
それを見つめる、柚乃の瞳。羨望と嫉妬、憎悪とも呼べそうな感情を涙ににじませながら、愛を睨んでいた。
柚乃の碧南への想いは知っている。何だかんだと近くで見ているから、痛いほど理解している。勝手にしてくれと思う。自分の抱く碧南への尊敬と柚乃の想いが干渉するわけではないのだから。
二人に挟まれ、針の筵のような自分にも、抑圧されるものはあったのかもしれない。その発露であったのだろうか。
「碧南先輩……碧南先輩っ」
「愛まで！？」
抗えない。しがみつく。自身の胸が碧南のやわらかさでつぶれる感触にたまらなくなり、碧南の手を取る。
「あっ！」
指を口に含む。舌を這わせる。舐めねぶる。
頬が紅潮し、頭が茹で上がるかのよう。柚乃も、碧南も同じ顔をしていた。人恋しくてたまらない、誰かにくっついていたい、くっついていなければどうにかなってしまいそうだ。
「邪魔……しないで！ 霧生！」
「浅見先輩こそっ……んんっ！？」
半ば噛みつくように、柚乃に唇を吸われた。熱く重い感情が、愛の身体の芯を貫いた。
公園の奥、トイレの裏手のちょっとした林の中へもつれこむ。
碧南は二人の暴走を止めようと手を伸ばす。制するつもりだったが、意に反して愛を抱き、柚乃にしがみついた。
「愛……柚乃……どうして、分かってくれないの。私は……私だって、二人のこと……大切なのに」
「碧南先輩、私も……先輩が！」
柚乃の手が碧南の胸元をまさぐる。下腹部へ向かい徐々に荒々しくなぞってゆくのは愛の指だ。
「浅見先輩は、いつもそう。自分勝手で、私のことなんて何も考えてくれなくて……」
「霧生こそ……！ 私の大切な場所を奪わないで！」
「そんなつもりない！ 先輩が勝手に……ああ、もう！ 先輩なんて嫌い！」
「嫌い嫌い嫌い、嫌い嫌い、あなたなんて嫌い……！」
言葉はもはや価値を生まなかった。
「仲良くしなきゃ、ダメよ？ 二人とも……ほら、こうやって……ね？」
「あ……っ」
「ああっ！？」
碧南の指が爪弾き、愛と柚乃は声を揃えて鳴った。お返しとばかり、両側から挟み込んで碧南をかき鳴らす。嬌声は首元を噛むことで抑え込む。あらぬ声を響かせ、邪魔を入れられたくはなかった。
何もかもが蕩けて、一つになってゆくかのよう。碧南は愛の唇を吸い、愛は柚乃を貪り、柚乃は二人の首筋へ噛み痕を残す。三人は循環した。止まらない。愛は碧南を、碧南を柚乃を、柚乃は愛を、碧南は柚乃を愛を。幾度も巡り巡る。
日が暮れるまで、衝動は荒れ狂った。
「…………ええと」
何か言おうとして、碧南は口をつぐんだ。記憶は鮮明で忘れがたく、身体の熱やついばみ合った痕跡さえ真新しく残されていたので。
「…………」
「…………」
「…………」
三人は乱れた制服を整えると、のろのろとして桜花寮へ歩き始めた。いずれも口を開くことなく、重苦しい夜のしじまがあたりを満たしていた。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2023年05月22日
- 参加申し込みの期限
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- 2023年05月29日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2023年05月29日 11時00分
