this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
どんなことがあっても
<< もどる
1
…
9
10
11
12
13
つぎへ >>
成小瑛美の面談の番となった。
テーブルの前のパイプ椅子に座った瑛美は、膝に視線を落としたまま言った。
「ええと、特にありません……」
いつもこうだ。真遠は彼女は先月もそのまた先月も、毎回これで面談を終えてきた。
特に話したいことはない、そう言い切って何も明かさない。真遠やアーナンドから質問があればこたえるものの、彼女が自分から話題を提供することはなかった。まるで心にバリケードを積み上げているように。
結局のところ彼女が、キャバ嬢として欠陥があるのは閉じているからなんだろうな。
キャストが心をひらかない限り客だって心をひらかない。考えてみりゃ当然だ。
といっても真遠はこれまで、瑛美の心に踏み込もうとはしなかった。それも瑛美の個性だとむしろ尊重していた。そもそも雇い主、すなわち社長のアーナンドも問題とは思っていないようだった。「NACCHIさんみたいなキャバ嬢がいたっていいと思うんですよ。それが『プロムナード』ですからねー。先代オーナーの時代からそうだったって聞いてます」とはアーナンドの弁である。
だが、心を閉じたままでいることで瑛美に危険が近づいているのだとすれば話は別だ。
踏み込む。踏み込むしかない。
「今日は家族のことを教えてほしい」
「家族の?」
さっそく瑛美は怯えた目をした。だが真遠はためらわない。
「そうだ。家庭の事情だ。大学の学費を貯めるためにキャバ嬢になった、って話は採用面接のときに聞いてる。他のバイトをかけもちしてることも。そのあたりを詳しく聞かせてくれないか」
「でも……」
「他人の家の経済事情までつっこんだ話をするのがマナー違反だってのはわかってる。けどな、俺は法律職だ。つっこんだとこまで聞くのが仕事なんだ。力になりたい」
信頼してほしい、と真遠は頭をさげた。瑛美が来るまで、どう話を切り出そうか頭を悩ませたが結局、誠心誠意で当たることしか思いつかなかった。
瑛美はまだためらっているようだった。しかし数秒おいて、重い口を開いた。
実家の父親の急病と障碍、それに失業。母親が就職するもやはり失業。弟はずっとひきこもりで実家には余裕がない。現在は『プロムナード』のほか複数のバイトをかけもちしているが、一番やりたい仕事(保護猫カフェ『ねこのしま』の店員)は、店の経営状態が思わしくなく給料がとどこおりがちということまで。
「ぜんぶ私が悪いんです。本当は大学辞めて田舎にもどって親を助けるべきなのに、弟のことだって考えてあげるべきなのに。わがままで寝子島に残って、好きなことだけやろうとして」
真遠はため息をついた。思った以上にきつい状態のようだ。二十歳そこそこの若者が背負うには重すぎる状況だろう。なのに瑛美は自分を責めている。
「好きなことだけやってる、なんて俺は思わないが」
「私、将来は保護猫や地域猫活動の団体を作りたいんです。だから大学で勉強をつづけたいと思ってます。本当は、こんな状態の人間が大学行くなんて贅沢ですけれど……しかも儲からない夢のために」
立派なことを言ったかと思えば、すぐネガティブな言葉を加える――真遠は思った。彼女は自己評価が低すぎる。
しかし説教なんてしたくないしするべきではない。
「よしわかった。行政や公的機関から適切な支援を受ける算段をしよう」
「でもほかの人に迷惑をかけるなんて……」
「何言ってんだ。そのための行政じゃないか」
「でしたら」と瑛美は言った。「『ねこのしま』のこと、なんとかなりませんか? 鈴木さん、あ、代表の鈴木冱子さんのことですけど――は本当に立派な人で私尊敬してて……」
「おいおい、まずは自分の話だろ」
どうも調子が狂う。だがきっと瑛美が一番胸を痛めているのはその保護猫カフェなのだろうとわかった。
「ともかく、法律や行政などの手段で解決可能なものは俺や文梨が引き受けるから、状況を問題ごとにわけて整理しよう。棚卸しだ」
聞けば聞くほど瑛美が、というか成小家がどこにも助けを求めていないことがわかった。他人に助けを求めることを恥としているというよりは、はからずも彼女が口にしたように『他人様に迷惑をかけてはいけない』という戒律のような思いにしばられていることも理解できた。もちろんすすんで迷惑をかけるのは問題だが、溺れかけているのに助けを求められず窒息するのであれば、それは思いというより呪いではないか。
父親は障害年金の申請をしてないじゃないか。
母親の退職だって自己都合じゃない。あきらかな事業所都合だ。失業保険の手続きができるかもしれない。
弟君の引きこもりについては地元の地域支援センターに連絡を取る必要があるな。というか取ってなかったのかよ……。
保護猫カフェについてもまた調査するとしよう。乗りかかった船だ仕方がない。
「大丈夫でしょうか、先生……?」
「任せろ。ツテでもなんでも使ってなんとかする。なんとかできる部分がたくさんあるからな」
やれやれまた仕事が増えるな、真遠は額に手をやった。しかし朝からずっとつづいていた頭痛はもう感じていない。
希望が見えてきたからかもな。
口角が上がるのがわかった。
ここまではいい。
「それと」と、瑛美は言った。「昨夜なのですが」
来た。
真遠の予想通り、昨夜売春をもちかけられた話を瑛美は明かした。本当につらい記憶になったらしく、何度も詰まりながらゆっくりと語った。あのとき偶然に瑠住が入ってくれなければ、心を決めていたかもしれないと告白した。
だから真遠は詳しくは聞かない。瑛美が明かしてくれただけでも充分だと思っている。
「わかった。今夜は休んでくれ。俺が決めていいことじゃないが、アーナンド店長に話して有給扱いにしてもらおう」
対処を考えると真遠は返答したが、現時点ではなんの策(て)もない。
だが彼女は俺を、店を信頼して言いにくい話を口にしたんだ。信頼には応えねばならない。
さあ、どうする?
<< もどる
1
…
9
10
11
12
13
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
どんなことがあっても
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年05月07日
参加申し込みの期限
2023年05月14日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年05月14日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!