狂気の笑顔が悪意をばらまく｜リアクション

狂気の笑顔が悪意をばらまく

　万条幸次は茶色のキジトラ猫となった。のんびりした様子は普段と変わらない。海岸で顔馴染みの野良猫を集めて話し合いが行われていた。
「みんなにはこの島で起きていることについて、調べて貰いたいんだよねぇ」
「任せるにゃ」
「島全体が俺達の縄張りにゃ」
　サバトラとブチの二匹が幸次の肩をポンポンと叩いた。
「頼りになるねぇ。俺はあのトンビをなんとかするよぉ」
「俺も戦うにゃ」
　太った白猫が一歩を踏み出す。幸次は柔らかい笑みで顔を左右に振った。
「こっちは心配ないよ。心強い仲間がいるからねぇ」
「それなら俺も情報集めに参加するにゃ」
「そうして、なにかわかったら、みんなにも情報を伝えて欲しいんだけど、頼めるかなぁ」
　各々の猫が、任せるにゃ、と言って一斉に走り出した。
「それじゃあ、俺も張り切っちゃおうかなぁ」
　間延びした声に反して幸次は力強く走り出す。一気に最前線へと飛び出し、目敏いトンビが空中から狙いを定めた。