魔滅まき決戦、いざ鬼退治！｜リアクション

魔滅まき決戦、いざ鬼退治！

　楓と智依子の梓親子と、桐子に追い詰められた青鬼が出くわしたのは、ちょうど赤鬼がうずくまって呻いているところだった。
『あ、兄者！　どうしたんじゃ！』
『弟よ、良いところに来た。２人で寝子島の奴らをギャフンと言わせて……あ痛っ！　何するんじゃ！』
『何って、何もしとらんぞ』
『嘘つけ、今わしの足蹴ったじゃろ』
『しとらんって。兄者こそなんじゃ、この散らばっとる飴は……俺がちんまいのに痛めつけられている間、甘いもの食っとったとは』
　痛めつけられている、という言葉に桐子は驚き、隣の楓と顔を見合わせた。
『これは、寝子島の奴らが勝手にぶつけてきたんじゃ！』
『なんで飴くれる事になるんじゃ、嘘ついとるのは兄者じゃろ！』
　もうその後は、取っ組み合いの兄弟げんかである。
「お姉ちゃん、今……魔滅柴が赤鬼の足噛んでたよね……」
「えっ、えぇ……１人でも大変なのに、連携されたら困ると思って……でも、喧嘩は予想外だったわ」
　蒼の言葉に、紫は子犬をなでながら目をそらした。
「ママー、楓たち、かったの？」
「う～ん、勝ったのかしら……」
　上になり下になり、どったんばったんと入れ替わる赤と青。楓は不思議そうに首を傾げている。
「なら、お兄ちゃん達にきねんさつえいしてもらえないか頼んでくる！」
「えっ？　ちょっと、楓？」
　好奇心の赴くままに行動する楓は、あっという間に桐子と仙藤姉妹、ラッセルと約束を取りつけてしまった。
「ママーっ、とってとってー！」
　智依子は一同に謝ったあと、集合写真を撮るためにスマホを構え、シャッターボタンを押した。
　何回か撮影し、データを送ったりして、お疲れ様ムードになった時。
『はっ！？　何だか急に、謝らなきゃならん気持ちになってきたわ……すまん、弟よ。お前が蹴ったのかも分からんのに、痛みでどうかしとった』
『兄者もか？　わしも、理由は分からんが喧嘩してる場合じゃない気がしてきて……すまんかった、兄者』
　鬼２人も取っ組み合いを止め、しきりに首を傾げだした。
　偶然スマホに映り込んだ彼らに、智依子のろっこん『マリアの微笑』が作用したらしい。
　その会話を聞いていたラッセルが、はっと何かを思いついた風に口を開いた。
「えーと、ちょっといいかい、鬼さんたち。良かったら教えてくれないか？　何で寝子島を壊したのかを」

このページにイラストを設定する