魔滅まき決戦、いざ鬼退治！｜リアクション

魔滅まき決戦、いざ鬼退治！

「お姉ちゃん、ねこったーやってるの？」
「えぇ。他にも鬼退治している人はいるだろうし、鬼の状況を伝えようと思って」
　仙藤姉妹は今、建物に身を潜めていた。
　青鬼と別行動中の赤鬼は、蒼のヒット＆アウェイを食らいまくって疲れたのか、座り込んでいる。
「じゃあ赤鬼は額が弱点みたいです、って伝えてくれる？」
「分かったわ。……あら、返事が来たみたい」
「何て言ってるの？」
「情報共有をしたいので、合流していいですか、だそうよ」

◆

　仙藤姉妹と合流したラッセルは、蒼立案の作戦にのった。
　前衛は蒼とラッセル。
　紫は後方から援護射撃。
『少しずつ攻撃しながら、高い建物のある場所に誘い込み、ジャンプして上から魔滅をぶつける。正面からでもいいし、注意を逸らして上からでも行けると思うの。私のろっこんも使って牽制するし』
　チャンスがあれば、蒼とラッセルのどちらでも、弱点をとりに行くという趣旨だ。
「こらっ、鬼！　寝子島を壊すんじゃねえよ！」
『フハハッ！　悔しかったら止めてみろ』
「なら食らえ、俺の変化球をッ！」
　ビルの屋上で叫ぶラッセル。全身のバネを使って放つ魔滅が、炎と稲妻、氷など７色に変化して襲いかかる。
「こっちもいるよ！　ていやっ！」
　ラッセルとは違うビルの上にいる蒼が枝魔滅を振るうと、輝く剣風が赤鬼の顔面へと迫る。
『おおっと！』
　赤鬼は首を動かして剣風を避け、ラッセルを金棒でなぎ払おうとするが、紫の魔滅鉄砲に阻まれる。
『ぐぬぅ、うっとうしい！』
「もっとうっとうしくしてあげる！」
　蒼が飴玉を奥歯でかみ砕くと、バラバラと彼女の周りに飴が降り注ぐ。
『また豆……いや、これは……うまいではないか！』
　それは、誰も予想し得なかったこと。
　たまたま鬼の口に飴が入り、味を気に入ってしまうなんて。
「お姉ちゃん、逃げて！」
　鬼はうまいうまいと言いながら、下を向いて飴を拾い出した。紫の攻撃も気にしていないようだ。
『娘！　なかなかやるではないか。ほれ、もっと降らせてみろ！』
「な、なにぉ～！」
　蒼はイラッとしたが、ラッセルの合図と、紫の逃げる時間を稼ぐため、更なる飴を呼ぶ。
『おぉ、これじゃこれじゃ』
　赤鬼は顔を上げ、天に向かって大口を開ける。
　その隙を見逃すラッセルではなかった。
「こっちもプレゼントだ！　受け取れッ！」
　陽光に目を細めた赤鬼の死角からジャンプし、渾身の一投。
『ぐわぁっ！』
　額に直撃し、たまらず俯いた所を、蒼の枝魔滅が横殴りの一撃。
「これで、とどめよ！」
　しゃがみ込む巨体に、紫の魔滅鉄砲が炸裂した。

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