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LIQUID -Star Chronicle- 月の杯編
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【ストーリークエスト『月の杯』(3)】
チューブを通る液体の正体は依然として不明だ。
次いで目についたのは、そこかしこにうち捨てられたいくつもの死体たち。新しいものもあれば半ば腐りかけているものもある。手の爪がはがれ素手で土を掘ったと思われるもの、近くに転がっているツルハシでレンガ壁を破ったのだろうものもあった。この奇怪な空間を構築するのに酷使され、使い捨てられた者たちだろう。
しかし今の冒険者たちに、それらを仔細に確かめている余裕は無かった。
「ぬおお、なんじゃこりゃー!? こんなのがおるとは、聞いておらんぞ!」
アーロンが<召喚:闘>を発動し、新たな悪魔たちを呼び寄せる。角に炎を帯びた巨躯の鬼や牛鬼、大蜘蛛などを下水道に布陣し、迫る敵を迎え撃つ。
敵は、無数のゾンビたちだ。こうした古く奥まった施設には食い詰め者や逃亡中の悪漢などが集うものだが、そうした者たちが命を落とすと、死後ゾンビになりやすい。下水道にはゾンビがつきもの、とさえ言われるほどだ。
「ええい、寄るでない! 悪魔たちよ、一斉攻撃なのじゃ!」
号令に従い、鬼が踏み込み拳を振るい、ゾンビの首を跳ねとばす。牛鬼は突撃して燃える角を振り上げ腐肉を貫き、大蜘蛛は無数の足を振り上げ次々にゾンビをなぎ倒していく。
彼はかつてサイディア王国軍直属のイビルサモナーとして、他国からの侵略やモンスターの大進攻を退けてきた英雄の一人だ。その手腕は退役し冒険者として第二の生を歩み始めてからも衰えることなく、召喚する悪魔たちはいずれも屈強、強靭を誇る。
「ふふん。やるではないか、お前たち♪」
しかし気の遠くなるような長い年月を経て下水へ蓄積してきた群れは、少しばかり間引いたところで途切れはしなかった。
「僕らもいくよ、ポラリス!」
「うん! 凛風……!」
<縮地・天>。特殊な歩法は凛風を風のように運び、汚水に沈むことなく水面を駆け、壁を駆けあがり、天井のチューブを蹴りながら鯉口を切ると、直下のゾンビを唐竹割りに一刀両断。斬って捨てる。
凛風の愛刀<千鳥>はレアアイテムの一つで、ゴーストやスライムなど実体の無い敵にも威力を発揮する。半ば肉の腐り落ちたゾンビは斬り付けても手応えは薄いが、破邪の魔力は有効であるようだ。
ポラリスは彼の動きを注視しつつ、<極光白夜の銀界>を展開し、領域内のバッドステータス付与率を高める。
「ポラリス、凍結を頼む!」
「まかせて……! <蒼の零界>!!」
二人を中心とする一帯に広げた凍結領域は、スケートのような高速移動を可能とし、機動力を格段に向上させる。ポラリスは舞うようにゾンビの腕から逃れ、代わりに滑り込む凛風の振るう一閃が、胴と首を泣き別れにした。
前衛としてケイも踏み込み、それを追ってアヤカも前へ。
「すごい数だ! アヤカ、いけるかい?」
「は、はい! がんばりましょう!」
初心者コンビ、アヤカとケイだが連携には自信がある。普段から図書委員の業務で培ったコンビネーションは、きっとゲームでも有効だ。
鍵は声かけだろう。
「<ホーリーシールド>で、防御力を高めます!」
「分かった、前に出るよ!」
バフを受け、踏み込んだケイの剣がゾンビを斬りつける。浅い。慣れないうちは適切な間合いを測るのも難しいものだ。
しかしゾンビの反撃には、アヤカのサポートがある。
「ケイさん、あぶない!」
魔導書のページを繰り、<ホーリーシャイン>を放ちケイへ肉薄するゾンビを貫く。魔導書を繰ることで、詠唱を簡略化することができる。とっさの判断が重要なヒーラー役にはうってつけの装備だ。
コンビネーションならこちらも負けてはいない。オサムが<魔剣魂喰らい>で斬りつけ魔力を奪い取る隙に、アオイが踏み込み拳を叩き入れる。
「やった、当たった! って、きゃあ!?」
「突出しすぎるな、アオイ。総攻撃を食うぞ」
「わ、わかった!」
アオイが<三段掌>を繰り出しゾンビを弾き飛ばしたところへ、オサムの炎弾が飛び追撃をかける。<魔法召喚>で習得した魔法の一つであり、炎の活用法は多岐に渡る。
「そこだ!」
天井を炎弾が穿ち、レンガを崩落させゾンビを押し潰す。立て続けに放ち、並ぶ敵へつるべ打ちにヒットさせた。
「オサムくん、すごい! さっすが~」
「ありがとう。でも油断するなよ、次が来る」
「おっととと!」
バトルの渦中にあって、オサムは冷静に目線を巡らせていた。周囲を<索敵>の魔法で探り、警戒する。
ゾンビの出現は予想外だったが、あくまで偶発的だ。殺人事件を引き起こし、月の杯を奪い去った何者かがここには潜んでいる。いつ横やりを入れてくるか分からない。
そして警戒を強めていたのはオサムばかりではなかった。
「……見つけたわ!」
ソフィアは杖から<誘導魔弾>を鋭く放つ。魔弾は群れを縫うようにして飛翔し、標的を射抜く……その直前、盾となったゾンビの頭が弾け飛んだ。
す、と瞳を細めて、
「あなたが犯人ね。一体誰? 姿を見せなさい!」
もう一度魔弾を放つも、やはり直撃の瞬間に素早く身をかわされてしまった。
ゾンビたちがぴたりと動きを止める。やがてそれらの合間から姿を現したのは、頭に角を持つ小柄な人影だった。
「ゴブリン……?」
「ゴブリンリーダーか」
オサムが予断無く魔剣を構えながら、その正体を観察する。
ゴブリン。単体では最弱のモンスターに数えられるほどに貧弱な小鬼だが、時に群れを成して人間の生活圏へ災禍を撒き散らすこともある。しかし目の前のゴブリンは見たところたったの一匹だ。
それでいて、そのゴブリンが一連の事件の犯人であろうことは明確だった。その手には、件の遺物……月の杯が握られていたので。
「盗んだ物は返してもらうとして。どうしてゴブリンがこんなことを……?」
「……ワシハ、<ドッツ>」
ソフィアの問いに、ゴブリンは口を開いた。
「フクシュウ、ダ」
通常のゴブリンは人の言葉を解さないが、年経た個体は稀に学習し、意思の疎通が可能になる者もいるらしい。その証か、ゴブリンリーダーの顎には白い髭が一房伸びていた。
ポラリスがこてん、と首を傾ける。
「短命のゴブリンが髭を生やすことは稀……って、<LIQUID>の設定に書いてた」
「髭が生える前に死んでしまうってことか。とすると、強敵かな?」
凛風の構えには一分の隙も無い。ポラリスをいつでもかばえる位置で、再びゾンビたちが動き出しても迎撃できるよう正眼に刀を構えたまま、敵を見据える。
「復讐……? どういうこと?」
ソフィアが尋ねると、ドッツと個体名を名乗るゴブリンの瞳がぎらついて輝く。
「オマエタチ、カゾク、コロシタ」
「もしかして、あなた……あの遺跡にいたの?」
月の杯を発見した遺跡には確かに、ゴブリンの一団が巣食っていた。クエストクリアの都合上、やむなく殲滅したのは他ならぬ、冒険者たちであったが。
「ワシラカラ、カミサマ、ウバッタ。ゼッタイニ、ユルサナイ」
「神さま? 何のことじゃ、そりゃ」
アーロンが口を挟むと、ゴブリンは激昂してきいきいとわめく。
「ワシラノツキヲウバッタ! ツキハ、ワシラノモノ。ワシラノカミ、ツキノカミ……オオ、ツキヨ。ワレラガツキヨ」
やはり、魅入られているのか。ドッツの瞳は精彩を失って見えた。
「ツキヲノゾムケガワラシイニンゲンドモ、ホロビヨ……」
「!?」
途端。月の杯から、液体が湧き出した。
液体は壁を這うチューブを流れるそれに似た、碧緑がかった白に輝いている。それが一筋の奔流となり、ドッツの周囲を巡り、そして、
「アガガガ。ガガガガガガ」
口内へと吸い込まれて消えた。
ドッツの瞳は、液体の淡い碧緑と同じく輝く白に染まっていた。
「あっ……! まずいです、またゾンビたちが!」
アヤカがホーリーシャインを放つも、再びうなり声を上げ進行を始めたゾンビを前に、多勢に無勢だ。
「アヤカ、危ない!」
ケイが身体を差しこみ、代わりにダメージを受ける。よろめいた彼を支えてアヤカはどぎまぎとしつつも、ポーションで彼を回復する。
にわかに激しく場が動き、戦闘に翻弄される冒険者たちをしばし見据えて、白い瞳のゴブリンはくるり、踵を返す。
「あっ、待つのじゃー、こら! そいつを置いていかんか!」
アーロンの悪魔たちが追いすがるも、身軽なゴブリンはすいすいとくぐり抜け、やがて下水道の奥へと姿を消してしまった……遺物を握りしめたままに。
ゾンビの掃討にはかなりの時間を費やした。終わってみれば各人レベルも上がり、悪くない経験値稼ぎともなったが、取り戻すべき遺物には結局逃げられてしまった。
とはいえ、犯人は暴き出すことができたし、彼ら冒険者の調査によって真実はつまびらかとなり、事件の全貌も見えてきた。
どうやら下水へと続くあの穴は、外側から開けられたものだったらしい。あのドッツというゴブリンが下水にたむろしていた者たちを操り、研究所へと侵入させ、杯を研究所から奪い去らせた。犠牲者はその過程で操られたり、それを目撃したことで口封じをされてしまった。そんなところだろう。
事件後、地下のチューブにあの奇妙な液体は見当たらなかった。どこへ流れていったのだろう。
不明なところもあるもののフラグは立ったのか、クエストはクリアとなった。報酬は満額の10000ボトルが支払われたが、
「なんじゃ。もやもやする終わり方じゃのう」
冒険者たちの胸にはいささかすっきりとしないものが残る。アーロンもつるりと頭を撫でて憮然とした表情だ。
しかし。
「た、大変だー!」
「……何?」
唐突に耳へ飛びこんできた、焦燥に満ちた声。ポラリスは怪訝そうに振り返る。
「ご、ゴブリンだ! ゴブリンの大集団が攻めてきた……とんでもない数だ!!」
仲間たちは互いに顔を見合わせた。ぬるい風があたりを吹き抜けてゆく。
事態は風雲急を告げ、新たなクエストの幕が上がり、リキッド大陸は吹き荒れる嵐のごとき戦禍へと巻き込まれてゆくのだった。
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あとがき
担当マスター:
墨谷幽
ファンレターはマスターページから!
墨谷幽です。
<LSC>、第二弾のリアクションをお届けいたします。
ファンタジーMMORPG風のお話でした。今回も楽しく執筆させていただきました!
往年のオンラインゲームも思い出深いのですが、最近は新しい形態のオンラインゲームもいろいろと増えて、興味深いですね。
残念ながら時間が取れず、あれもこれもと遊べないのですが、常にそういった新鮮な体験をしていきたいものです。
皆さまもオススメのものなどありましたら、ぜひぜひ、教えてください~。
<LSC>のお話は、まだまだ続きます。
次回もぜひ、ご参加くださいませ。お待ちしております!
それでは、お疲れさまでした~!
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
冒険
バトル
ゲーム
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年02月05日
参加申し込みの期限
2023年02月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年02月12日 11時00分
参加キャラクター一覧
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