更衣室の落とし物｜リアクション

更衣室の落とし物

●陸上部

　「どういう状況で高野先生が怒ったのか知らないけど、勝手に浅井先生が黒って決め付けるのって
　一時の感情に身を任せる女性特有の現象だにゃ」
　噂を聞いた青物といきは思う。
「真実がどうであれ浅井先生から真実を聞きたいにゃ」
　といきはサラサラと何かを書き、職員室へ走った。

　八神修は、ねこったーで事情を知り職員室へ向かった。
「まずは当事者から話が聞きたいな」
　頭を抱えながら職員室に戻った浅井先生に、声をかける。
「今日は新聞部の部長ではない。ただ八神です」
　その言葉に、浅井は話の内容を察したようだ。
「短いつきあいですが先生の人柄を多少は存じております。先生を信じています。
　白が黒として糾弾されるのは好まないのです」
「ありがとう……ん、これは……？！」
　浅井は机の上にあるルーズリーフに気づいた。
　そこにはこう書かれていた。
【先生が持っているパンツはわたしのです
　お昼休みに部室棟で待っています】

　そのころ陸上部部室では。
「こーちゃんセンセがそんな事するわけないっ！」
　宇佐見望月は、同じ思いを持つであろう陸上部の仲間に片っ端から声をかけ、手分けして情報を集めることにした。
「女子はゆーきちゃんセンセにぱ、ぱ……ぱんつが見つかった時の状況を聞いてもらえるかな？」
　声がうわずっている。
「俺様はこーちゃんセンセに、いつ、何処で、どのようにしてぱぱ、ぱんつ（またうわずる）が見つかったか聞いてくるよ、うん」
「あたしもせんせーのとこに行くよ☆」
　何やらバッグを抱えて入ってきて、目を輝かせている桃原空音に、望月は疑いの目を向ける。
「……嫌な予感ガッツリするなぁ」
　部室棟で待っていた青物といきが、陸上部顧問である浅井を連れて部室に現れた。
　修も浅井に同行している。
　冴木竜司が言う。
「浅井先生、聞きましたよ。下着ドロやらかしたんですってね……」
「い、いや、違う！　俺はそんなことは」
「嘘ついて呼び出したことは謝ります。でも……はっきりさせたくて」
　といきが謝る。ルーズノートの手紙は彼女が書いたものだった。
　
「浅井せんせーは可愛いパンツを履きたかったんだよね？　パンツ一杯持ってきましたよ！」
　空音がバッグを開けると、たくさんのパンツが飛び出した。
「水玉に縞パン、イチゴに花柄……それにアルパカ柄！　好きなのはいてください！　ほらほら、遠慮しなくていいですよ！
　大丈夫、どんな性癖でも美味しゲフン悪いことじゃないですから！　欲望に素直になりましょう！　ねっ！
　あたしも手伝いますから！　脱ぐの手伝いますよ！」
「な、なんでそうなるんだ？　ま、待て桃原、落ち着け！」
　顔を赤くして焦りまくる浅井と、手をわきわきさせる空音の間に竜司が立ちふさがる。
「桃原、先生に手出しはさせん！」
　だが気にする風もなく空音は続ける。　
「ほえ？　この中に履きたいパンツがないんですか？　……し、しょうがないなぁ……浅井せんせーだけだですからね……！
　ああああたしのパンツででどどどうですか！？」
　頬を染めながらも瞳を輝かせ身を乗り出す空音。
「桃原ちゃん……」
「あ、望月先輩！　先輩もパンツ集めに協力ふぎゃ！＞＜」
「そぉい！」
　望月に首根っこをひっつかまれ、空音は宙を飛んだ。
「まったく……おにゃの子がエロイ話をするのは勘弁な！」
　そこへ邪衣士が追いかけてきた。
「やはりここか！　桃原ぁ……！
　俺が風邪気味で抵抗できないのをいいことに……覚悟はできてるな？」
　士のくすぐり攻撃に、空音が笑い転げる。
「や、やめて、アルパカさんパンツ返すから……」

　その光景に背を向け、竜司が仕切り直す。
「勿論、俺含めみんな何かの間違いだって信じてます。大体、女性関連で先生にそんな事する度胸なんてないの知ってますから」
「といきは真実が知りたいにゃ。先生が変態でも冤罪でも先生が先生なら全てを受け入れる」
「みんな……」
　安堵と悔しさの入り混じった、情けない表情になる浅井。
「とりあえず……じ、自分で買ってない限り、そのパンツ持ったままだと窃盗になるにゃ。どういう経緯でそれは今ここにあるんですか？」
　といきの問いに、浅井は口を開いた。
「あれは、男子更衣室にあったんだ……忘れ物がないか点検していて見つけた」

このページにイラストを設定する

更衣室の落とし物

シナリオ

シナリオデータ

シナリオスケジュール

参加キャラクター一覧