登校する生徒たちを見守る
高野 有紀先生の耳に、いろいろな噂話が聞こえてくる。
「浅井先生ってイケメンだよね~♪」
「でも、最近友達が下着泥棒にあったんだけどさ。逃げる後姿が浅井先生にそっくりだったって」
「うそー! まさか」
「先生女の人苦手みたいだし、ひょっとして?」
「足は、速いしね……」
まさか、な。
そう思った高野だったが、その話は頭の片隅から消えなかった。
◇
その日の休み時間。
水泳の授業でプールにやってきた女子生徒は、プールサイドで
高野 有紀先生と話している
浅井 幸太先生を見つけた。
体育科の教師同士が話していること自体は不思議ではないが、浅井の顔が妙に赤く、ありていに言えば挙動不審だ。
先生はこちらに気づいてないようだ。
「それって……まさか!」
高野の目の色が変わった。
浅井がバッグから落とした白い布きれ。
慌てて拾おうとする浅井と、手を伸ばした高野の間で、それはびよーんと広がった。
白地にイチゴ模様の……
パンツ。
汚いものにでも触れたように、高野が手を離した。
「あ、その……げふんげふん、これは、更衣室で……」
「おまえ、女が苦手だからって、それはいかんだろ!」
目の前で顔を赤くし額に汗をかいている浅井が、もはや高野には下着泥棒にしか見えなかった。
「……え? ちょっと待ってください。何を」
あっけにとられる浅井。
「軽蔑するわ……変態! 今日一日は黙っといてやる。自分で身の振り方を考えるんだな!」
高野は背中を向け、去っていく。
「ちょ、ちょっと……!」
追いかけようとするが、手にパンツを持ったままなことに気づき、慌ててしまう浅井。
その間に高野は更衣室に消えてしまった。
「なんで……俺が何をしたっていうんだ」
パンツを持ったまま途方に暮れる浅井だった。
浅井の持つパンツの話は、あっと言う間に生徒に知れ渡った。
こんにちは、または初めまして。天村です。
男子の水泳の授業の後、男子更衣室をチェックした浅井先生が、女子のパンツを見つけてしまいました。
はたしてこのパンツは誰のものなのでしょう?
女子が盗まれた? それとも、男子が履いていた?
最初に見つけた時浅井先生は3分ほど固まっていたようです。
このままだと浅井先生が下着泥棒にされてしまいそうです。
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