ピョンっ！と跳ねて、新春☆初夢フェア２０２３！　～茄子編～｜リアクション

ピョンっ！と跳ねて、新春☆初夢フェア２０２３！　～茄子編～

　ぴょん、と楽しげにウサギが跳ぶ。ぴょん、ぴょん、ぴょん、と軽やかに、踊るようにしなやかに。
　大地を蹴って、木々を越えて、空に向かってウサギが跳ぶ。愛らしいうさ耳少女の小山内海も、ウサギたちと一緒に楽しげに飛び跳ね、遊ぶ。

（今年は私たちの年）

　新しい年の始まり、ウサギの年。昔々、神様が十二の動物達に順番に「その年の大将になって、動物達を守ってやりなさい」とおっしゃったから、今年は海達、ウサギの年。
　白いウサギ、茶色いウサギ、黒いウサギ、何羽ものウサギが空へと跳ねる。新たな年の始まりを喜んで、今年は大将だぞと意気込んで、ウサギ達は喜び跳ねる。
　ねえ、と海の足元に居る小さな小さなウサギが言った。

「ボクも大将になれるかな？」
「うん、なれるよ。一緒になろう」

　不安そうに震える小さなウサギをそっとすくい上げ、海はにっこり頷いて見せる。一緒に大将になって、一緒に動物さん達を助けに行こうと、告げれば小さなウサギは嬉しそうにぴくぴくと耳を動かして、何度もこくこくと頷いた。
　どうしようか、と誰かが言う。どうしようか。まずはどこに行こうか。
　うーん、と海は少し考えてから、ぴょーん、と空高くに飛び上がった。ぐるりと辺りを見回して、困っている動物達が居ないかな？　と空からじっと目を凝らす。

「うみ、いる？」
「誰かが困ってるかな？」
「神様のお役目を果たせるかな」
「えっと……あっちの方で、猫さんが困っているみたい。助けに行こうか」

　嬉しそうな、不安そうな、ウサギ達に海がそう言いながら指差すと、猫、と何匹かが顔を見合わせた。神様のお役目を持つ動物達の中では、猫は良きにつけ、悪きにつけ、有名人だ。
　猫さんだよ、と海はそんなウサギ達に優しく微笑みかける。いつしか集まっていた何羽ものウサギ達は、くりりとした目を真っすぐに海へと向けて、その言葉をじっと待っていた。

「困っている猫さんだよ。神様は、動物さん達を守ってやりなさいと仰ったんだもん。猫さんだって動物さんだから、大将は守ってあげなくちゃいけないんじゃないかな」
「そう……？」
「そうなのかな……？」

　噛んで含めるように言い聞かせた、海の言葉にけれどもまだ何羽かのウサギが、そんな風に顔を見合わせる。海の言葉が信じられないのではなく、ただただ神様のお役目をしっかり果たさなければと緊張して、不安になっているだけだという事は、海にも伝わってきた。
　だからそんなウサギ達ごと、海はそっと抱き上げて優しくギュッと胸に抱く。大丈夫だよ、と微笑み囁きかける。

「私と一緒に、猫さんを助けに行こう。他にもたくさん、たくさん助けに行こう」
「――うん、海。一緒に行こう」
「うみといく」
「いくー」

　優しく響く海の言葉に安心をしたのか、ウサギ達が嬉しそうにくふくふ笑いながら、ぴょーんぴょん、と飛び跳ねた。海と一緒ならどこでも行けるよ、怖くないよと跳ね回る。
　うん、と海は頷いた。一緒に行こう、どこまでも。ウサギ達は今年の大将だから、困っているたくさんの動物さん達を助けて、守ってあげなくちゃ。
　ゆえにぴょーんと跳ねた、海のポニーテールが初日に煌めき楽しげに揺れる。その後を追うように、じゃれつくように、ウサギ達がぴょーん、ぴょーんと飛び跳ねる。
　そうして海はウサギ達を引き連れて、困っている猫さんを助けるために空を翔け出したのだった。