ピョンっ！と跳ねて、新春☆初夢フェア２０２３！　～鷹編～｜リアクション

ピョンっ！と跳ねて、新春☆初夢フェア２０２３！　～鷹編～

　思い立ったがなんとやら。
　クローゼットをひっくり返し、なんだったらシーズンオフの服まで引っ張り出して、白真白はファッションショーに興じていた。
　とはいえ、広いランウェイは無くてあっちこっちに衣服は散らばっているし、観客もタンスの上に飾られたぬいぐるみくらい。煌々と照らすスポットライトも、眩しいくらいのフラッシュもないけれど、気分を盛り上げるために動画サイトで好みのBGMを流してみたりして。
「これは着回しが便利だったし、似たような色違い買っちゃおうかな～」
　胸を活かした服を着るには背丈が足りず、背丈に合わせれば胸が主張しすぎで。贅沢な悩みと言われたって、あるものは削れないし無いものを底上げするにも限度がある。
　であれば、セクシーもキュートもいいとこ取りをして、あざとかわいい小悪魔系？
　それとも天然清純を装うからこそ、ギャップボディをできる限り包み隠し露出しない色気を目指す？
「うーん……」
　さすがにキャラまで作り込むのは、ちょっと面倒かもしれない。着替えたときには、そういう設定にしようと思い込めるだろうけれど、知ってる人や楽しそうなゲームを見つけたら、途端に通常運転に戻るのは目に見えている。
「これはあんまり着る機会がなかったけど、気に入ってるんだよね。ちょっとフォーマル過ぎたかな」
　ひっくり返したついでに断捨離でもと思ったけれど、そこまではなかなか踏み切れず。一通り袖を通したところで、真白は一息いれようと楽な装いを求めてルームウェアを入れてある引き出しを開ける。
「あっ」
　そして、目当ての物は部屋のどこかで散乱していることを思い出した。手当たり次第に着ていったから、どこで脱ぎ捨てたのか、はたまたベッドの上で組み合わせを楽しんでいたのか心当たりがない。
　カーテンも閉めているし、宅配や来客の予定も無いから服装に気を遣わなくてもいいのだけど、それでもこの惨状を片付ける間は楽な格好をしていたい。できれば、意欲もわいてくるような可愛い物ならなお良し。
　とりあえず、と手を伸ばしたキャミソール……は、今の気分には地味な色だ。もこもこ素材のハーフパンツは可愛いけど、ゴロゴロしたくなるゆったりさで片付けの気分にはならない。
（そうだなぁ、どっちかというと）
　動きやすいけど可愛くて、ゆったりし過ぎず気が引き締まる物。真白は思い描くイメージにあうナイトウェアを手に取った。
「……こんな感じ？」

　カップ部分はつるりとしたシンプル素材。胸のサイズと比べれば布面積はやや小さめだが、嫌らしいほど少なくもない。ストラップと、そこから谷間を渡る部分には色違いのフリルが添えてあるも、色が華美では無いため余計に胸元を膨張させることなく、纏まりよく見える。
　アンダーから広がるオーガンジーの肌触りも良く、一見ホットパンツのようにも見えるおむつはワンポイントにカップと同じ色のリボンを添えて。ウエストがゆったりめでも脚の付け根にピッタリの裾周りだから、動きやすくも気が緩むほどでもない。
　あとは似た色合いのリボンで髪をまとめれば、結構良い感じではないかと自画自賛する。
「ふふっ、これなら片付けも頑張れそうかな～……っと」
　くるりと鏡の前でひとまわりのつもりが、散らばった衣服に足をとられてクッションの上に倒れ込んだ。それがなんだかおかしくて、真白は１人声をあげて笑ってしまうのだけど。
（自分が着替えるのも楽しいけど、誰かを着せ替えるのも楽しそうっ！）
　パジャマパーティに何着か持って行くことも考えたけれど、サイズが合わなければ着せ替えも難しい。だったら、ショッピングモールに連れ立って行けばいいだろうか。
「試着だけはタダだしねっ！　ちょうど欲しい服もあったし、誰を誘ってみようかなぁ」
　あの人にはあれを、この人にはこんな物を。考えるのが楽しくて、つい手はショッピングモールにイメージ通りのブランドが入っていたか調べようとスマートフォンに伸びてしまう。
「……じゃなくて！　今は片付けが先だね」
　まさに足の踏み場もなくなってしまった部屋を片付けるため、真白は気合いを入れるのだった。