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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
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ピョンっ！と跳ねて、新春☆初夢フェア２０２３！ ～鷹編～
すっと瞼を伏せて、思い出すのは幼い少女。
どうかこの声が、どこまでも届きますように。いつでも君が――笑っていられますように。
そう願って、一呼吸をおく。
「よろしくお願いします」
次に目を開けたとき、浅海 珊都はアイドルの顔をしてマイクの前に立った。
今日は、新曲の収録日。
アイドルタレントとして活躍するからには、キャラ付けというものは少なからず必要だ。どういう面を見せて世に売り込んでいくのかは事務所との相談によって決まり、普段の調子でいればいいわけでもない。
風貌に合わせて爽やかな曲調ばかりでは、人気は安定しても起爆剤にはならず、風刺の効かせた意外な一面を見せても賛否両論。好きな曲ばかりを歌えないことにイライラしたこともあったが、ある程度の曲数をこなすとライブなどを意識して珊都は色んな楽曲に興味を持った。
そして今日のレコーディングは、少し切ないバラードで届かない恋心を歌い上げる。
「凄く熱が籠もってたけど、恋でもしちゃった？」
仕上がりを確認したスタッフは、冷やかすように笑う。泣いちゃうファンが多そうだとか、撮られないようにねと言う誰もが、「アイドルなんて失恋しないでしょ」という前提で話していて。
レコーディングに向けて歌詞を何度も読み込んだせいか、それとも忘れられない少女がいるせいか。珊都は嫌味にならない程度に苦笑して見せた。
「残念ながら……熱愛報道なんて出せそうにもない状態で」
幼い頃に別れたっきりだ、彼女がどんな風に成長しているのかもわからない。再びイギリスへ行って会える保証も無い。
だからあくまでも『もし』の話ではあるけれど、素敵な再会が叶うなら……拙いギターを弾いていた少年を覚えていたのなら。そう口元を綻ばせかけて、さすがにそれはドラマの中だけの話かと自嘲する。国内ではそこそこの知名度を自負していても、彼女の元まで届いているかどうか。
「なになに？ 浅海くんが苦労するなんて、どんな高嶺の花」
「あはは、教えませんよ。ライバルが増えちゃうじゃないですか。……それじゃ、お先に失礼します」
あとはミックスにお任せとなり、珊都の仕事は終わり。このあとはレッスンを少し挟んで、テレビの収録だ。
アシスタントにもきちんと頭を下げ、スタジオを出ると爽やかなアイドルは少年の顔へ。
（イギリスか……）
近年のアイドル業界に国境は無い。他国で人気がでたグループが日本へやってくることも、その逆も当たり前にある。ただ、ワールドワイドな活動ができるのは、ごく一部だ。
そこに到達するレベルかと言えば――まだ、届かない。
悔しさを織り交ぜて、エレベーターホールのボタンを強く叩く。こうしている間にも、彼女は美しくなっているだろうし、不相応な輩が手を伸ばしているのだろうと思うと、虫唾が走った。
どれだけ売り上げランキングで記録を更新しても、笑顔を絶やさなくても、得られるのはアイドルである浅海珊都に恋い焦がれるファンだけで、欲しているものなど手に入らない。
（初恋、拗らせすぎでしょ）
きっと美化しているんだ、思い出であるからこそ輝いて見えるだけ。
……幾度そう思っても、忘れられないのだから仕方が無い。
ポーン、と軽い音と共にエレベーターの扉が開く。
乗っていた少女は苦悶する珊都に驚き、茶色の瞳を見開いていた。その色を、どこかで見たことがある気がする。
「お、お疲れ様ですっ！」
「お疲れ様です」
会釈してエレベーターに入れ違うようにして乗り込んだ珊都は、閉まる扉の向こうで緊張した面持ちをしている少女に「あぁ」と微笑む。エメラルドグリーンの髪色は目立つから、去年の夏に現場で顔を合わせてからは記憶に残っていた。
（名前は、ええと……）
扉が閉まりきるまでに思い出せなくて、濁すように笑って手を振ってみせる。こんな小さな事で喜んで見せる姿が、記憶の少女とぼんやり重なった。
だから、だろうか。
大きな優しいミルクコーヒー色の瞳が、君のように笑っているように見えた。
小さなことにも全力で、手を抜かずに頑張っている……そこは控えめな君とは少し違うのかな。
（そうだ、思い出した）
ビルを出た珊都は、すれ違った彼女を探すようにビルを見上げる。
名前まで似ているなんて偶然だろうか？
「シャル、君に似た子に会ったよ」
ひと目でも会えたことに高揚する気分を隠しきれず、少女はスタジオの扉を開く。
「シャロン・ナイトプレッジです！ 本日は、よろしくお願いしますっ！」
染色で輝くエメラルドの髪を、ふわりと靡かせて元気よく挨拶をした。
どうかこの声が、どこまでも届きますように。いつでも君が――笑っていられますように。
そう願って、一呼吸をおく。
「よろしくお願いします」
次に目を開けたとき、浅海 珊都はアイドルの顔をしてマイクの前に立った。
今日は、新曲の収録日。
アイドルタレントとして活躍するからには、キャラ付けというものは少なからず必要だ。どういう面を見せて世に売り込んでいくのかは事務所との相談によって決まり、普段の調子でいればいいわけでもない。
風貌に合わせて爽やかな曲調ばかりでは、人気は安定しても起爆剤にはならず、風刺の効かせた意外な一面を見せても賛否両論。好きな曲ばかりを歌えないことにイライラしたこともあったが、ある程度の曲数をこなすとライブなどを意識して珊都は色んな楽曲に興味を持った。
そして今日のレコーディングは、少し切ないバラードで届かない恋心を歌い上げる。
「凄く熱が籠もってたけど、恋でもしちゃった？」
仕上がりを確認したスタッフは、冷やかすように笑う。泣いちゃうファンが多そうだとか、撮られないようにねと言う誰もが、「アイドルなんて失恋しないでしょ」という前提で話していて。
レコーディングに向けて歌詞を何度も読み込んだせいか、それとも忘れられない少女がいるせいか。珊都は嫌味にならない程度に苦笑して見せた。
「残念ながら……熱愛報道なんて出せそうにもない状態で」
幼い頃に別れたっきりだ、彼女がどんな風に成長しているのかもわからない。再びイギリスへ行って会える保証も無い。
だからあくまでも『もし』の話ではあるけれど、素敵な再会が叶うなら……拙いギターを弾いていた少年を覚えていたのなら。そう口元を綻ばせかけて、さすがにそれはドラマの中だけの話かと自嘲する。国内ではそこそこの知名度を自負していても、彼女の元まで届いているかどうか。
「なになに？ 浅海くんが苦労するなんて、どんな高嶺の花」
「あはは、教えませんよ。ライバルが増えちゃうじゃないですか。……それじゃ、お先に失礼します」
あとはミックスにお任せとなり、珊都の仕事は終わり。このあとはレッスンを少し挟んで、テレビの収録だ。
アシスタントにもきちんと頭を下げ、スタジオを出ると爽やかなアイドルは少年の顔へ。
（イギリスか……）
近年のアイドル業界に国境は無い。他国で人気がでたグループが日本へやってくることも、その逆も当たり前にある。ただ、ワールドワイドな活動ができるのは、ごく一部だ。
そこに到達するレベルかと言えば――まだ、届かない。
悔しさを織り交ぜて、エレベーターホールのボタンを強く叩く。こうしている間にも、彼女は美しくなっているだろうし、不相応な輩が手を伸ばしているのだろうと思うと、虫唾が走った。
どれだけ売り上げランキングで記録を更新しても、笑顔を絶やさなくても、得られるのはアイドルである浅海珊都に恋い焦がれるファンだけで、欲しているものなど手に入らない。
（初恋、拗らせすぎでしょ）
きっと美化しているんだ、思い出であるからこそ輝いて見えるだけ。
……幾度そう思っても、忘れられないのだから仕方が無い。
ポーン、と軽い音と共にエレベーターの扉が開く。
乗っていた少女は苦悶する珊都に驚き、茶色の瞳を見開いていた。その色を、どこかで見たことがある気がする。
「お、お疲れ様ですっ！」
「お疲れ様です」
会釈してエレベーターに入れ違うようにして乗り込んだ珊都は、閉まる扉の向こうで緊張した面持ちをしている少女に「あぁ」と微笑む。エメラルドグリーンの髪色は目立つから、去年の夏に現場で顔を合わせてからは記憶に残っていた。
（名前は、ええと……）
扉が閉まりきるまでに思い出せなくて、濁すように笑って手を振ってみせる。こんな小さな事で喜んで見せる姿が、記憶の少女とぼんやり重なった。
だから、だろうか。
大きな優しいミルクコーヒー色の瞳が、君のように笑っているように見えた。
小さなことにも全力で、手を抜かずに頑張っている……そこは控えめな君とは少し違うのかな。
（そうだ、思い出した）
ビルを出た珊都は、すれ違った彼女を探すようにビルを見上げる。
名前まで似ているなんて偶然だろうか？
「シャル、君に似た子に会ったよ」
ひと目でも会えたことに高揚する気分を隠しきれず、少女はスタジオの扉を開く。
「シャロン・ナイトプレッジです！ 本日は、よろしくお願いしますっ！」
染色で輝くエメラルドの髪を、ふわりと靡かせて元気よく挨拶をした。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2023年01月02日
- 参加申し込みの期限
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- 2023年01月09日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2023年01月09日 11時00分
