【中間テスト】おやつ支給、あります｜リアクション

【中間テスト】おやつ支給、あります

　テスト一日目。
　梓智依子は数学のテストに挑んでいた。ペンを走らせる智依子は昨日の勉強会を思い出していた。
（上手く出来たかしら）
　勉強会をしたクラスメート達の背中を見て、再度集中する。
（ん？）
　ふわっと空気に乗って、香ばしい匂いが鼻に届いた。
（クッキーを焼いてるのね）
　バターと小麦粉の香りなので実際は色々なお菓子を作っているのだろう。テスト中に出るお菓子の準備が行われているようだ。
　やがて、数学の試験が終了した。
「おかげで数学全問解けたよ、智依子さん、ありがとう！」
「昨日の勉強会、本当にありがたかったよ～」
　同級生たちが寄ってきて、口々にお礼の言葉を言って来る。
「得意科目だったから、教えられたのよ。皆も頑張ったわよね」
　そんなやり取りをしていると、メイドさんがタブレットを持って近づいてきた。
「失礼致します。おやつの注文を取りに来ました」
　智依子達はお互い顔を見合わせる。
「じゃあ、月餅と茉莉花茶（ジャスミンティー）を」
「智依子さん和菓子？　私はショートケーキとコーヒーかなぁ」
「あたし、マドレーヌと紅茶」
　智依子はくすくすと笑う。どうやら試験中の香ばしい匂いの影響が出ているようだ。
次の試験、社会の参考書やノートなどをチェックする。
「あー、ダメ。暗記無理！」
「あたしも苦手……」
「大丈夫よ。覚え方があるの」
　すぐにそれぞれのおやつが運ばれて来た。教室全体が甘い香りが広がる。
　月餅を一口。控え目な甘さを堪能してからジャスミンティーを飲む。
「智依子さん、ショートケーキ食べない？」
「皆で交換しよ！」
　悩んで選んだ割に、少しずつ味見をすることになり、おやつをたっぷり堪能した。
食べたおやつのおかげか、社会のテストの手ごたえもそんなに悪くない。甘いものはやはり良い。

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