【中間テスト】おやつ支給、あります｜リアクション

【中間テスト】おやつ支給、あります

　月原想花は冷や汗を書いていた。1学期の中間テストは散々だった。何より追試の赤点は洒落にならない。内容的には大分ふざけていたが。
（あ、これ）
　暗記したはずの食事マナー問題。家庭科の問題は暗記したはずなのに思いっ切りド忘れした。
（見る、か？）
　想花はごくりと喉を鳴らす。
　実はカンニングを用意してきた。先輩に教わった。高度なテク。
　ただ、用意してきただけだ。お守り扱い。一応は使わないと決めている。
（逃げちゃだめだっ）
　もしも見つかれば、問答無用で全教科０点。しかも実家の方へ通報だ。
（くっ……でも、先輩のテクニックは完璧。い、１回くらい）
　心の中で葛藤していると、怪しい動きをしている生徒が目に入った。
（もしかして）
　その生徒は何食わぬ顔をしているが、目立っているし、怪しい。
　そう思っていると、
「そこ、何してる」
　監視員の教師がとある生徒の机の前に立った。
「あ、いや、これは」
　慌てる生徒。
「カンニングか」
教師の少し怒りが込められた言葉にどきりとする。
「ごごご、ごめんなさいっ」
　謝ってしまったことで、認めているということに……。
　あっという間に、教室の後ろにいた教師に連行され、退出していった。
（……うん、逃げちゃだめだ）
　と、ガトーショコラとストレートティーが運ばれてきた。静かに机に置かれる。
（落ち着け。落ち着けー）
　生クリームに切り分けたガトーショコラをつけて、一口。
　ビターな味わいが口の中に広がる。
（あ、思い出した）　
　甘いものを食べたせいか、頭が回り始めた。

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