【中間テスト】おやつ支給、あります｜リアクション

【中間テスト】おやつ支給、あります

　テスト前日、稲積柚春は帰路についていた。すでに夕方、家に帰宅したらすぐにテスト勉強を再開しなければ。
　先程、おやつ提供の関係で、メイドさんが学校に来るとウォルター家のメイドであるメアリ・エヴァンズに伝えた。彼女のレモンドリズルケーキは本当に美味しい。試験中に食べられたら、上手く行く気がする。
　学校行事なので、メアリが参加出来るかは分からないが。

　その翌日の朝。
　テスト初日に苦手科目は終わっているので、少し気が楽だ。
（そういえば、明日の一限目は）
「おはよう、稲積さん」
「ウォルターさんの英語だ！　頑張ろ」
「英語、頑張ってくれるの？」
　はっとして隣をウォルター・Bが微笑んでいた。
「ウォルターさ……先生……！　おはようございます」
　小さく呟いた独り言を聞かれてしまったようだ。少し恥ずかしい。
「試験の調子は？」
「心配だった教科は昨日終わったから」
「そっかぁ〜。今日も明日も頑張ってね」
「はい。あの」
「ん？」
「分からないところがあったら聞いても良いですか？」
「うん、もちろんだよ〜。じゃあね」
（偶然会えるなんて）
　今日も頑張れそうだ。
（そういえば、メアリさんは）
　その日、放課後までメアリとは会えなかった。

　翌日、テスト3日目。
　休み時間、次がようやく英語だ。何故だか妙に気合が入る。と、おやつの提供が始まったようだ。メイドさん達が教室に入ってくる。
「おまたせしました」
　と、机に置かれたおやつに目を瞬かせる。レモンドリズルケーキだった。
「え」
　顔を上げると、メアリがにこにこと笑っていた。
「頑張って下さいね」
「ありがとうございます」
　レモンティの香りとメアリ特製のケーキを食べながら、テストが始まる。
　ふと見ると、教室の外にウォルターの姿を見た。
（ウォルター、さん？）
　笑顔で頷いて、どこかへ行ってしまった。
（もしかして、様子を見に来てくれた？）
　なんとなく、そう感じた。

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