さよなら、ののこ様親衛隊隊長｜リアクション

さよなら、ののこ様親衛隊隊長

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　そして、桜花寮の二人の部屋。
　ぴりりが帰ってきたのは、そろそろ完全に日が沈むという頃だった。
「ただいまなのです……」
「ぴりりさん、お帰りなさい。……って、どうしたんですか？」
　机に課題を広げていた萌々子は、ぴりりの手にしていたものを見て目を丸くした。
　それは、例の黄色い法被だった。まさか、持って帰ってくるとは思っていなかった。
「例の集団の隊長が逃げる時に、私に投げつけてったのです。ほんとは委員会においていくつもりだったのですが……。その後も探している間に、下校時間になってしまって」
「そうだったんですね。――あっ。そうだ、応援に行けなくてごめんなさい！　課題に集中してて、気づけなくって……」
「気にしないでほしいのです！　連絡したのもいきなりでしたし」
　しょうがないのですと笑うぴりりを見て、萌々子は今日何度目かの胸のうずきを感じた。風邪でもないのに、喉の奥が痛みを訴える。
ぎこちなくこわばりそうになる表情筋をごまかして、苦笑を浮かべる。
「それにしても、結局隊長の正体はわからずじまいだったのです。無念でした……」
　法被をカバンの上に置いて、ベッドの上に腰を落とすぴりり。きゅっと口を結ぶ彼女をなだめようとして、萌々子は口を開いた。

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