this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
さよなら、ののこ様親衛隊隊長
<< もどる
1
2
3
4
5
…
6
つぎへ >>
◆
特別教室棟の階段を駆け上がり、萌々子は屋上への扉を開いた。着込んでいるのにくわえて走ったせいで汗ばんだ肌に、秋の夕暮れの涼しさは少し心地よかった。
後ろを振り返るまでもなく、ぴりりが追いかけてくるのが、階段を駆け上がる足音でわかる。
ここまでは予定通り。そしてこの先もそのように進めることができれば、それでおしまいだ。
身体が微かに震えたのは、汗が引く時の寒さのせいだろうか?
ややあって、屋上の扉が勢いよく開く。息を切らせて飛び出したぴりりが、びしっと指を突きつけてくる。その姿は、まるで犯人を追い詰めた探偵のようだ。
「追いついたのです……! もう逃げられないのですよ!」
「逃げられない……そうですね」
萌々子はつかの間、マスクの下の目を伏せた。ぴりりに聞こえないように、小さく呟く。
「だって、逃げられないようにしましたから」
秋の夕暮れの下、風が吹く屋上で二人は対峙する。
萌々子は少し後退り、ぴりりから距離を取った。ぴりりは小柄な割に力が強い。捕まれば、そのまま組み伏せられてしまうだろう。そうなれば正体がバレてしまう。
それだけは、絶対に避けなければならない。
ぴりりもこちらの一挙一投足に注意しながら、大きな瞳に真摯な光を宿して呼びかけてくる。
「大人しくしてほしいのです。力づくで取り押さえたりは、できればしたくないのです」
「……委員長さん」
ハッ、と。
そんなぴりりに向けて、萌々子はあざけるような笑みを投げつけた。胸の奥がうずく感覚を押し殺し、精一杯の挑発的な態度をぴりりへぶつける。
「風紀委員って、なんでそんなことに拘るんです?」
「そんなこと、とは?」
ぴりりがかすかに顔をしかめたのを見て、胸のうずきが強くなる。悟られないように、それに押しつぶされてしまわないように、萌々子は大げさな身振り手振りを交えて首を傾げた。
「私たちが他人に危害を加えたりしましたか? 私たちはただ、有志でひっそり集まっていただけ……なのに、不審というだけで排除に動くと言うんですか?」
風紀委員長が、ぴくりと眉を上げたのがわかった。
◆
その問いかけと同じことを、ぴりりも自問したことがある。風紀委員の間でも、話題に上がったことがあった。
確かに不審だし目立つものの、これといった迷惑行為に関与していたわけではない。誰かに危害を加えたわけでもない。不審ではあるものの無害な集団ならば、こうもやっきになって取り締まる必要もないのではないか、と。
そしてぴりりは、既に結論を出している。
「確かにあなたたちは、無害な有志の集まりなのかもしれません」
でも、とぴりりは首を横に降った。ゆっくりと、そしてはっきりと。答えをつきつけるように。
「例え無害だとしても、それが不審者であるなら、放置するわけにはいかないのです」
校内に不審な集団が存在する。その事実が生徒や教師、保護者からの不安を招いてしまう。無害だからと看過する。そのことで、護るべき風紀の一線があいまいになってしまう。それはいずれ、校内の風紀の大きなほころびへと繋がるかもしれないのだ。
だから風紀委員として、生徒と学校を思う者として、不審な集団を見過ごすわけにはいかないのだ。
◆
その問いかけに、やっぱりと萌々子は思う。
ぴりりは生徒や学校を思う、真っ直ぐな正義感で動いている。決して風紀委員としての面子やプライドのために、躍起になっているわけではないのだ。
胸の奥がじくじくと痛む感覚に、萌々子は握った手を押し当てた。痛みと一緒にこみあげそうになったものを、もう一度胸の奥へと押し込めるように。
そして、できるだけ挑発的に、
「さすが、風紀委員長さんだけあって、ご立派な正義感ですね」
できるだけ大仰に。
ぴりりが、叩きつけるように一歩踏み出す。
「私は、」
「――まぁ」
彼女の言葉を遮って、萌々子はさらに続ける。
けして、正体を悟られないように。怒りがぴりりの目を曇らせるように。彼女の中で、萌々子と親衛隊長が、けして繋がることのないように。
肩をすくめて、口元を歪めて笑った。
「今日で消えますけどね、私も」
「えっ?」
その時、風が吹きつけた。歪めた笑いと一緒にこぼれたものを、吹き散らすような突風が。
◆
「っ!」
突風に思わず目を閉じたぴりりは、けれど親衛隊長に向けて手を伸ばしていた。
「消えるってどういう……!?」
不穏な単語と、屋上という立地の組み合わせが、最悪の連想ゲームを成立させる。いくらなんでもそんなまさかとは思いながら、背中を冷や汗がどっと伝った。
「だ、ダメなのですよ! そんなことは絶対に――」
風がおさまったのを感じ、目を開く。
次の瞬間、ぴりりの視界いっぱいに飛び込んできたのは。
黄色の法被そのものだった。
「うわぁっ!?」
風に乗って勢いよく飛んできた法被は、そのままぴりりの顔にかぶさって視界を奪った。
真っ暗、いや黄色みがかった闇の中でもがくぴりり。その耳が、傍らをすり抜けていく足音を捉える。
「し、しま……っ、もがっ! ま、待つのです! 待ちなさい! これを取るのですー!」バタン、と無慈悲に扉が締まる音。
「こ、この……もうっ!」
なんとか法被を引っ剥がした頃には、親衛隊長の姿はとっくに校舎内に消えている。
「一瞬でも心配した私がバカだったのです……逃さないのですよー!」
剥がした法被を握りしめたまま、ぴりりは特別教室棟の中へと戻った。
三階、二階、一階と、小さな体で全力で走りまわって、親衛隊長と特徴の一致する後ろ姿がないか探す。途中、特別教室で部活動を行っていたらしい生徒たちとすれ違った。
「あれ、風紀委員長どうしたんですか?」
「緑のジャージにツインテールの生徒を見てませんか!?」
「えっ? お前、見た?」
「えっ……ううん、見てないと思うけど」
「どうもなのです!」
そうやって目撃情報を集めてもみたが、逃げた親衛隊長は結局見つけられなかった。
ややあって、ぴりりは屋上へと戻っていた。
犯人は現場へ……なんてことはもちろん考えていないけど、なんとなくもう一度見ておきたくなったのだ。
太陽がだいぶ西に傾いて、夜の気配の混じり始めた空の下、ぴりりはずっと握りしめたままだった法被に視線を落とした。
おそらく、初めから投げつけるつもりだったのだろう。法被には、文字を消したような痕跡がある。消された文字の内容はわからない。集団や隊長の正体の手がかりにはならなさそうだ。
「でも、何故法被を……?」
この法被は彼ら彼女らにとってのユニフォームであり、大事な物のはずだ。逃走のための目くらましとはいえ、何故それを捨てていったのだろうか。
「……まさか?」
息を呑んだぴりりの指先が、法被に残された文字の跡をなぞった。
◆
特別教室棟一階の女子トイレ、隅の個室。
ぴりりから無事に逃げきった萌々子は、息を整えると緑のジャージを脱いだ。その下に無理やりおしこんでいた、いつもの制服姿があらわになる。
「……ふぅ。さすがに暑いですね」
服を二重に着た状態で二度も走ったから、身体はすっかり熱を持ってしまっている。なのに、頭の中だけは奇妙なほど冷えきっていた。
マスクも外して、髪をほどけば、その姿はもういつも通りの愛猫萌々子その人だ。
個室に隠しておいたカバンにジャージを、そしてマスクをしまう。カバンのジッパーをしめようとした時、ぴりりに投げつけた法被のことが脳裏をよぎった。
あの法被は回収され、二度ともどってくることはないだろう。そのうち処分され、もう二度と袖を通す機会は巡ってこない。
「それでいいんです。引退なんですから」
それを見越して、「ののこ様」の文字だってあらかじめ消しておいた。
ジッパーをしめる手つきは、素早く鋭かった。
(……さて、ぴりりさんと出くわす前に帰らないと)
きっと怒って帰ってくる彼女を、驚きながら出迎えて、なだめよう。それと、メッセージに気づかなかったことも謝っておかなければ。
そうしたら、後はいつも通りだ。
<< もどる
1
2
3
4
5
…
6
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
さよなら、ののこ様親衛隊隊長
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
風雅宿
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオS(400)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
学校生活
NPC交流
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年12月02日
参加申し込みの期限
2022年12月09日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年12月09日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!