君だけのchilling time｜リアクション

君だけのchilling time

　◆休日本編より、休日前がより楽しい

　金曜日の夜。
　休日の前夜というのは全てから解放された瞬間であり、学生や社会人にとっては何よりも至高の時間である。
　『明日は休み』という無敵の言葉はむしろ休ませるどころか、人を活発にしてしまうものだ。
　というわけでそんな無敵な時間に、佐藤英二は自室に戻って指差し確認。

「よし、夕食終わった、風呂も入った、勉強もOK。そして今日は金曜……となれば！」

　素早く座布団でかさ増ししたMyゲーム仕様の寝床に潜り込み、充電を済ませた携帯ゲーム機を掴んでゲームを開始。
　何をしようか、という考えは彼には不要。既にやるゲームは風呂に入っている時点で決めており、パッケージからカセットを取り出してすぐにスロットにセット。

　今回やるのはロボットを扱うシミュレーションゲーム。
　広大な宇宙へと進出した人々は宇宙に存在する者達によって様々な現実を突きつけられ、敗北を味わい退廃と諦観が身についてしまった時代から始まっていくストーリー。
　このゲームは様々なロボットアニメから機体が参戦しており、よく知るロボットアニメから参戦している機体や逆に英二が生まれた頃に制作されたアニメから参戦している機体があり、種類は様々。
　一部は隠し機体として存在しているが英二は攻略サイトを見ないでストーリーを進めているため、その辺りは入手していないままだ。

「予備知識無しだが、まあストーリーは行けるし大丈夫だろ。……うおっ、危ねぇ耐えた！！」

　楽勝だと笑って終わる戦いもあれば、ギリギリを攻めてヒヤヒヤする戦いもある。
　そういった場面を何度も繰り返すうちに、時間は真夜中へと突き進む。

「ん……もうこんな時間か……」

　ちらりと時計を見た時には、少しだけ頭がぽやっとしていた英二。
　しかしカレンダーに目を向けたその時には、まだ行ける、と確信を持っていた。
　何故なら、今日は金曜日。休みの前日なのだから。

「明日は特に何も用事はないし……このまま寝落ちするまでやってみるか」
「……あ、いや待てよ。朝食の準備だけしておこう……。流石に何もしないままで寝落ちはまずい……」

　一旦ゲーム機をスリープモードに切り替えて、明日の朝食の準備を行う英二。

　……目が覚めた時間帯によっては昼食になるかもなんて考えたりもしたが、それは時の流れのみが知る……。

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