霊界運動会！｜リアクション

霊界運動会！

△ホラー映画？

　寝子高２年生の稲積柚春は、ポストに入っていた招待状を手に首を傾げた。
「霊界運動会……？　映画の試写会かな、何かに応募してたっけ？」
　柚春はホラーはあまり好んで見ない。特に和風だと本当に出てきそうだし。
「でも、ワットと約束もしたし………」
　ホラー映画を一緒に見る時は手を繋いでないといけないね、と言ったウォルター・B先生の言葉を聞き流す気はない。

「というわけでウォルターさん、一緒に行ってみませんか？」
　柚春に見せられた招待状を、ウォルター先生は面白そうにじっと眺める。
「映画の試写会には見えないけどねぇ？」
「とにかく招待状には違いないし。一緒なら怖くないかも。メアリさんへのお土産話にも……」
「いや、それはやめたほうがいいねぇ」
　メアリの名前に反応してウォルターは首を振る。
　ブラックウッド家の老メイド、メアリ・エヴァンズはおばけや幽霊が苦手なのだ。
「稲積がこんな怪しげなところに飛び込むなら、同行しないわけにはいかないねぇ」
「やったあ！」
　無邪気に喜ぶ柚春は、行く手に何が待ち受けているのかを知らない。

「賑やかな運動会は心弾むねぇ」
　猫又の三毛谷道哉は、幽霊の少女餅々きなこと共に霊界線に乗っていた。
「きなこは何にでるんだい？」
「とりあえず、宝骨探しにはでたいの。みちちかくんは？」
「私は二妖三脚に出るよ」
　あやかし同士だから何が飛び出すかわからない。
　油断はできないだろうが、きなこが賞品のカエル絞りジュースを欲しがっていたので勝って喜ばせたいと決めたのだった。
「カエル絞りジュースが手に入ったら、お裾分けしよう」
「ほんと？　うれしい！」
　はしゃぐきなこを、道哉は微笑ましく見つめた。
「だれとくむの？　パートナーとエントリーしなきゃだよ」
　そう言われて道哉は考える。
「誰と組もうかねぇ……」

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