霊界運動会！｜リアクション

霊界運動会！

△宝骨探し

「宝骨探しに出場される方はこちらへお並びください」
　月原想花は、あやかしたちにおっかなびっくりしつつ出場することになった。

「きなこ頑張れーっ」
　三毛谷道哉の応援に、きなこが嬉しそうに手を振る。
「がんばるよ～」
　
　想花は周囲のあやかしたちと目を合わせたくなくて、あまりよく見ていなかったが、どうもあやかしの子供たちのための競技らしい。
「僕高校生なんだけど……まあいいか。砂に埋もれた光る骨？　のようなものを探せばいいんだね」
　早く終わらせたい想花に係のあやかしが説明してくれる。
「骨を５本見つけたらゴールしてくださいね。駄菓子セットと交換します」
　これに入れてください、と壺を渡される。
「もっとカゴとか軽いのはないの？　なんかリアルなんだけど……」
「それでは位置について～」
　文句を言っている暇はないようだ。

　ピストル代わりに、ポン！　と人魂が打ちあがる。
「音が怖くなくていいかも……いや、人魂だし怖いのか」
　怖さの定義がよくわからなくなりつつ、想花は駆け出した。
「あった！」
　きなこが砂を掘り出すのを見て、遅れじと想花もぼうと光っている砂を掘ってみる。
　光る骨が出てきた。
「これ？」
　見つけると結構楽しくなってくる。
　あたりを探し、２つ、３つと骨を掘り出したが。
「うーん、あと２本。見つからないなあ」
　次第に難易度が上がってきて、とうとう自力で見つからなくなってしまった。
「どうしよう……」
　途方に暮れて周囲を見ると。
「きつねちゃん、がんばって」
　きなこは小さな狐を連れて尻尾が指したところを掘っているようだ。
「そういえば説明があったっけ……あれが『クダギツネ』かあ。僕も借りよう」

「コーン！　あちらですぞ。あまり時間がありませんから走りましょう」
　想花が借りたクダギツネは妙におしゃべりだった。
「待ってよ、砂の上走りづらいよ……」
　クダギツネに指示された場所を掘り、どうにかもう一本発見。
「あと一本は？」
「うーむ、油揚げを食べればわかりそうですが」
「そんなのないよ……駄菓子なら後で分けてあげるから」
「仕方ないですねえ」
　クダギツネと一緒に宝骨を探し、なんとか残り時間ギリギリに５本集めることができた。
「やった……」

「駄菓子セットです、どうぞ～」
　骨の数を確認すると、係の人が袋を手渡してくれた。
「中身は……うわっ？！」
　袋を開いた想花は思わず口を押えた。
「『目ン玉グミ』『小指チップス』『ブラッドチョコ』……悪趣味ですなあ、油揚げはないのですか」
　クダギツネに解説されよく見れば、どうやら食べられるお菓子らしい。
「さすがに悪趣味すぎて、ちょっと食べる気が失せるけど……」
「いらないなら私が全部いただきますぞ」
「……悪趣味って言ったのに、食べるの？　あ、けっこうおいしそうに見えてきた」
　なんだかんだ言いつつ、想花は趣味の悪い駄菓子をクダギツネと一緒に全部食べてしまった。
「味はまあまあで良かった……」

このページにイラストを設定する