霊界運動会！｜リアクション

霊界運動会！

△受付にて

　霊界運動会の会場で、寝子高体操着姿の月原想花はあたりを見回し途方に暮れていた。
「ここって……霊界、だよね……いつの間に？」
「どうぞ、出場する競技をお選びください」
　そこへ受付のろくろ首のお姉さんの長い首が伸びてきた。
　ヘアバンドに挟まれたプログラムが一枚、想花の手に落ちる。
「え、運動会に出場さしなきゃならないの？　ぼくはあんまり運動とか苦手なのに……どうしてこうなるの？」
　愚痴る想花にお姉さんは、
「運動が苦手でもできる競技もありますから、楽しんでください。決まったら手を挙げてくださいね」
　そう言って、次の人のところへ首を伸ばしていってしまった。
「……どうせなら一番楽そうなのを選んで、適当にこなして、あとは適当に見物するかな」
　プログラムを広げると、『宝骨探し』なる競技が目に入った。
「宝探しみたいなものかな？　なら、早く走れなくてもいいよね」
　手を挙げながら周りを見ると、おばけだの魔物だのなんだのがいっぱい。
「さすがに霊界の運動会だな……あれ？」
　びくびくしていると、そんな中に小さな可愛い人形が受付の列にやってくるのが見えた。
「なんか見たことある……ミスティックアリア？」

「霊界運動会かあ。あたしは赤組がいいな」
　身長２５ｃｍの付喪神、姫之崎ありあは、人気アニメ『魔法少女ミスティックアリア』の1/6スケールフィギュアだった。
　声優を目指す持ち主の家で暮らしているが、霊界からのおどろおどろしい招待状を受け取り、運動会の会場へやってきたのだ。
「鬼火リレーと、人魂入れにしようっと」

「試写会ってお祭りみたいなんだね」
　ウォルターと共に会場にたどり着いた柚春は、たくさんのあやかしに唖然といていた。
「稲積は怖くないのかい？」
「作り物……でしょ？」
　そう言いつつ柚春はしっかりウォルターと手をつなぐ。
「プログラムをどうぞ」　
　そう言って伸びてきたろくろ首が、やけにリアルだなとは思いつつ。
「これは作中に出てくる競技かな？　体験できるなんて楽しそう」
　何に出ようかな？　とワクワクしながらプログラムを見る。
「あ、これにしましょう！」
　そう言って柚春が指さしたのは『二妖三脚』の文字。
「なんだい、それ？」
「賞品があるみたい。変な名前だけど二人三脚だと思います」

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