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I'll be there - 仲良くなりたい、その10
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「えーっ!!」
千絵の反応は予想以上だった。おめでとうございますっ、と飛び上がらんばかりに喜ぶ。封筒に印字された社名を見てまた大はしゃぎだ。
「大手じゃないですか! うっわー、すっごーい!」
「まあ最大手ってわけじゃなく、準大手ってくらいだけどね」
「そんなことないですよ私だって知ってますもん。あこがれちゃうな~」
すでに千絵の目は、ハリウッドスターを見る映画ファンのまなざしだ。
「なかっ、中身、見せてもらっていいですか!?」
「どうぞ」
まゆらは合格通知書を取り出す。何度見ても夢のようだ。基本明朝で印刷された通知なのに、『合格』の二文字だけ太ゴシック体なのが心憎い。
「すごい……本当にすごいことですよこれは……」
通知をもつ千絵の手がこきざみに震えていることからも、お世辞でないことがわかろう。
今度はまゆらが肩をすくめる番だった。
「とはいってもねえ。これはまだ、事務所所属になったってだけの話だから」
ようやく声優を名乗れるかもしれないが、実際に声優として活動できるかどうかは別問題なのである。
「ただ喜んでだけはいられないんだよ。ここ最近は契約を結んだりプロフィール用写真を撮ったりするなどして忙しかったし……」
契約書は数時間かけて何十回も読み直した。ここでつまずくと今後のキャリアに悪影響が出るばかりか、最悪業界にいられなくなると聞いていたからだ。ようやく納得してサインするにいたったが、ペンを持つ腕に力が入りすぎ、翌日まゆらは深刻な肩こりと筋肉痛に苦しんだ。
数日後、まゆらは都内の人気スタイリストと写真館を予約して、おめかししつつナチュラル風のポートレイトを撮影した。ナチュラルではなくナチュラル『風』というのがミソだ。徹底的に作り込んでおきながら、見る人にはまるで作為を感じさせない演出をする必要があるのだ。美人過ぎて近寄りがたい高嶺の花ではなく、近所にいるちょっときれいなお姉さんというイメージといえようか。もちろんいわゆる宣材写真だから、ぱっと見は普通の子と思わせておきながらも、初見の相手の心に鮮烈に焼き付く必要もありさじ加減がむずかしい。たった数枚のポートレートを撮影するのに丸一日をついやすことになり、その日はくたくたに疲れてしまった。だがその甲斐あってか、自分でもほれぼれするくらいいい写真が撮れたと思う。……もちろん気が遠くなるほどの費用はかかったが、これは大事な初期投資、数日間まゆらはランチ抜きで煮干しをかじって飢えをしのいだのだった。
「お恥ずかしながら」
と照れながら、事務所に送ったのと同じ焼き増しの写真をとりだす。
「はああ……」
千絵の語彙はたちまち喪失し、ただうっとりとため息をつくだけだった。何秒か何十秒かしげしげとためつすがめつして、ようやく口に出したのは、
「もう雲の上の人ですね。オーラ出てます……!」
なるしみじみとした一言だった。最高すぎる賛辞にまゆらは恐縮したほどだ。
「いやいやいや、そんな立派なもんじゃないって。でも、ありがとね」
契約書や写真撮影時のこぼれ話を面白おかしく話して聞かせたのち、「というわけで」とまゆらは言った。
「だから私、心機一転して来年春には東京に転居するんだ」
「東京、ですか」
「うん。もちろん寝子島から東京へ通えなくはないけどね。やっぱり最前線にいたいから。夢を叶えるには自分を厳しく追い込まなきゃいけない、と思ってさ」
まゆらはすでに引っ越しの準備を開始している。格安のアパートの候補をいくつか立てたし、近いうちに下見のため日帰りで上京する考えだ。
同時に職探しもはじめていた。住居も大切だが、それ以上に大切なのは生計だからだ。収入を確保しなければならない。
声優としてすぐに食べていけるようになるとは限らない。いやむしろ、長い下積み期間が待っているだろう。それでもいつか栄冠をつかめるのならいい。実際はどれだけつづけても、兼業どころかほぼフリーターという将来が待っているだけかもしれない。覚悟はしている。だからできるだけ時間の融通がきき、長くつづけられるアルバイトをまゆらは探しているのだった。
「なるほど、大変ですね……」
千絵はまだ中学生だが、『クラン=G』のやりくりを任されているだけあって生活感覚は鋭い。まゆらの言っている内容をたちどころに理解してくれたようだ。
「月並みなことしか言えませんが、がんばってください。応援しています」
「うん、ありがとう。それで……千絵ちゃんの話も聞きたいな。沖縄で明かしてくれたあの話、どうなったのかな、って」
「決めてません……」
千絵は目を伏せた。
この店、つまり『クラン=G』に米国企業から買収の話が来ているのだ。もともとゲームメーカーの会社で、本国で直営店をいくつか経営しているが、同業他社がひしめきあうアメリカではなく、日本を含むアジア圏に販路拡大を考えているらしい。成功している『クラン=G』に目を付け、経営権とノウハウを買い取るつもりだという。もちろんこれを足がかりとしたチェーン展開を目指しているのだ。当初、買収が成立すれば直営店の名前で看板をかけかえることを考えていたようだが、現在は寝子島のみならず全国的にネームバリューのある『クラン=G』のブランドを残す方向で計画を立てているという。
オーナーにして千絵の父
三佐倉 杏平
は決定権を千絵にゆだねた。売って大金を手にして悠々自適になるもよし、断って家族経営をつづけてもよしということらしい。
「返答は今年中、ってことになりました。もちろん早いほうがいいんですけど……」
店を売ったらドイツに移住しようと杏平は言っているという。ドイツの友人に誘われているそうだ。
ドイツはアナログゲーム(ボードゲーム・カードゲーム)三大供給国のひとつだ。質量ともにナンバーワンと呼ばれている。ドイツで学ぶことで千絵の夢、ゲームデザイナーへの道は大きく開かれるだろう。世界を視野に入れるなら、語学力が身につくことも重要だ。日本ではあまり聞かないが、ドイツやアメリカではゲームデザイナーはゲーム作家と呼ばれ尊敬されている。
しかしそれは同時に千絵が、寝子島の人間関係を断ち切ることでもある。
「大きな決断になるよね。まだ中学生だもん」
「はい。でも今日、落合さんから……」
「『まゆら』でいいよ。私のファン第一号なんでしょ? もっと親しみをこめて呼んでほしいな」
「じゃ、じゃあまゆらさん……」
千絵が頬を染めるのがわかった。
「今日私、まゆらさんから大切なこと、学んだ気がします。夢を叶えるには自分を追い込まなきゃ……ですよね」
「たしかにそう言ったけど、これは私の話。参考にしてくれるのはいいけど、決めるのは自分だよ。千絵ちゃんにとってドイツが、本当に必要な選択なのか考えてほしいな」
「ですね……」
決めたらきっと報告しますから、と千絵は言った。
「だから、お忙しいとは思いますけど……また年内に来て下さい。『クラン=G』に!」
千絵は笑顔だった。
だからまゆらはこう思う。
きっと大丈夫。
千絵ちゃんなら決められる。
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担当ゲームマスター
桂木京介
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ゴールドシナリオ(200)
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3人まで
シナリオジャンル
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年10月31日
参加申し込みの期限
2022年11月07日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年11月07日 11時00分
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